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レティと言う名の天才

エマが街の飲み水や農業用水として河川から水を引くため水路作りをしていた。その水路もやっと完成したのだが、水路には水だけでなく河川の土砂も少し混ざりながら流れ込んでおり、水路には僅かな土砂が沈んでいた。これだけなら、土砂の侵入を防ぐため後で入り口に網を設けるだけなのだが、流れ込んできた土砂を良く見るとキラキラと光っている。

恐らくであるが砂金かと思われる。


エマはその場で上空へと浮遊し、河川の上流をを眺めると河川は山から流れて来たいる事が解った。恐らく、この砂金らしき物はあの山から流れ混んで来たに違いない。

エマはキラキラ光る土砂を収納すると皆を連れ集会所に戻る。戻る際に水路を見ながら戻っていたが、水は計画通り人工の湖まで届いていた。


場所は代わり、ここは島の集会所である。集会所で会議を終えた後もこの場に止まる者がいた。レティである。

レティは水路作りにも人材確保にも参加していなかった。エマから魔物の解体を頼まれたからだ。

久しぶりの魔物の解体出来るとレティは心弾み鼻歌を歌いながらエマが用意した魔道具〔倉庫〕へと向かった。

この魔道具〔倉庫〕には収納と保存の魔法効果がある。

その倉庫の扉を開けると島に滞在中に討伐した魔物の死体が無数保管されていた。


レティはエマに頼まれた事と久しぶりの解体作業に嬉しく二つ返事に引き受けてしまった事に今になって後悔してしまった。

流石に此だけの量を一人では捌ききれないと思ったレティはセバスさんに相談し、何名かの人材を探してくれる事となりレティはホッと安心する事が出来た。

人材が追加されるまでは一人で頑張ろうと再び倉庫の扉を開け最初の解体する魔物を選ぼうとしていたところ、レティは再び驚く事となった。


アメリア国では幻とされている魔物や見たこともない魔物が多くいたからだ。アメリアでも似たような魔物がいるが目の前にいる魔物は体格や牙の生え方など所々に違いが見られる。レティは知っている。同系統の魔物であっても場合によっては毒を保有している場合がある。

その得たいの知れない魔物を今から解体しなければならないのだ。だが、レティはここに来たことに後悔をする事はなかった。寧ろ、此だけの魔物を今から解体出来る事に感謝するのであった。


レティは一体の魔物を簡易の魔道具〔収納袋〕に収納し解体部屋に運とギルドで稼いだお金で購入したマイ解体道具セットを取り出すと慎重ながらも素早く魔物を解体し始めた。初めて見る魔物であるがギルドで培った魔物の知識と子供の頃から行っていた解体の技術を活かした解体作業は一匹の魔物を解体するのに1時間を要することなく終える事が出来た。


レティは次々と解体を行う。最初は余りの量にセバスさんに泣きついてしまったが、今は楽しくて仕方がない。

数日後、セバスさんがサポート要因として解体補助員と鑑定員を連れて来てくれた。今のレティにとっては一人占めしている楽しみが減ってしまうため二人が邪魔に思えてしまったが、レティ自身がセバスさんに頼んでしまった手前、断る事が出来なかった。寧ろこんなに早く見つけてくれたセバスさんに感謝をしなければならないと、ひきつった笑顔で感謝の言葉を伝えた。


レティは今まで解体した素材を二人に見せた。素材は綺麗に仕分されており牙や爪等の素材、皮や鱗の素材、食用となりそうな肉と怪しい肉、そして絶対に食べては駄目な肉と分けられていた。

レティは鑑定スキルを持っていない。全てはギルドで培った経験からの知識を元に仕分されていた。


鑑定のスキルを持つフレイは驚く。レティが食用可能と仕分けた肉は確かに安全であるが食用不可と仕分けた肉も完璧であった。見たこともない魔物の解体だけではなく素材の仕分を鑑定スキルもなく、ここまで完璧に仕分できるレティの優秀さに脱帽してしまった。


フレイは怪しい肉を鑑定し安全な者と調理次第で食べられる者に仕分けた。驚く事にここには絶対に食べては駄目なものは含まれていなかった。

フレイはその他の素材を鑑定する事にした。武器や防具へと加工出来そうな素材、薬として調合出来そうな素材、魔道具や道具として加工出来そうな素材など用途に合わせて仕分を行い、価値のないものは廃棄処分へとしていった。


フレイが来てくれた事でレティの負担は軽くなった。寂しくも思えるが鑑定スキルをもつフレイが仕分をしてくれた方が確かであるため仕分の仕事はフレイに任せる事にした。今は解体補助として来たグレイの指導へと集中する事にした。


「違うわよ。その角度で包丁を入れると素材が痛むわ。もう少し包丁を寝かせて捌くのよ」


グレイは優秀であった。レティが指示した事は直ぐに覚え、ある程度の解体を任せる事が出来た。

そんなグレイが質問してきた事がある。


「今まで、この魔物らを一人で解体していたのですか?」


レティにとっては当たり前の質問であったため、「そうよ」と返事をしたが、グレイは更に疑問に思った顔をしている。


「これ等の魔物はアメリア国内だけでなく近隣諸国でも見たことありまさん。そのような魔物をどうやって、ここまで完璧に解体出来たのですか?」


「どうやってって、アメリアでも似た魔物がいるじゃない」


「似た魔物って、魔物は同一系統であっても皮膚の固さなど違うため解体作業が異なります。それらを捌くことは難しいはずです」


「そんなの違いに合わせて対応するだけじゃない?」


グレイは溜め息を吐いた。このレティと言う人物は如何に自分が凄いことをしているのか理解していないのだ。

故にグレイは諦める事にした。この人は気付いていないのだ。見た事がない魔物をここまで完璧に捌けると言う優秀さに。そしてそれに気付いたグレイはレティの事を師匠として尊敬する事にした。グレイの方がレティより年上なのだがグレイにとっては年齢ではない。解体する技術力で完璧に敗けを認めてしまい、彼女の事を心から尊敬してしまったのだ。


三人で解体を行うようになって山のようにあった魔物があと数匹となり、解体出来る楽しみもあと僅かだと元気をなくしていたレティの元にエマが訪れる。

エマは水路作りの際に護衛役としてマックウェルも連れて行っていた。


「おー!あんなにあった魔物がもう此だけしかないのかー」


驚きながらもマックウェルは護衛時に討伐した魔物を追加してきた。そこには河川にいたであろう水棲の魔物も含まれていた。また見たこともない魔物に出会えた事で喜びのあまりレティはマックウェルに両手で握手をしながら感謝の言葉を述べる。

マックウェルは何の事かチンプンカンプンであった。暫くするとリナが「まーまー落ち着いて下さい」と二人の間に入る。

エマは愛憎劇が始まる前に本題に入ることにした。


エマは収納から水路で採取した光る土砂をレティの前に出した。レティは光る土砂を見るとフレイを呼ぶ。フレイは鑑定すると「皆様が御想像されているとおり砂金でございます」と言う返答が返ってきた。

やはり砂金であった。

レティは砂金についてどうしたのかとエマに質問をする。エマは水路でのやり取りをレティに説明をした。


「確かにその山は金山に間違いありませんね。ですが、あの会議にお集まりになった人達の中には採掘が出来るものはいないかと思います。エマ様が収納スキルを使うにしても何処に金があるか解りませんので山全てを収納しなくてはなりません。しかも収納してもそこから金を探すことも困難かと思います。てすので・・・」


レティからの返答は新しい人材を探すか、河川の砂金だけ収集するかであった。

その後、セバスに相談するも採掘の知り合いはセバスにはいなかった。それも仕方がない、グレイス領には鉱山が一つもなかったのだから。


その為、エマが次に向かうべき場所が解った。砂金集めや下仕事をする人材を集めるために奴隷ギルドにエマは向かっていた。

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