45.えっ!三つ目の秘密?
兄エニスから『レオナルド』と言うワードを聞くとエマの身体が震えだした。
「冗ーーーー談じゃないわ!」
突然のエマの怒鳴り声に皆が驚く。
エマも大声を上げたことで冷静を取り戻すことができ、話の続きは落ち着いて話し出した。
「私、アメージア様に教えて貰ってたの。あの夢の中の世界も現実世界だって」
「えっ!現実世界」
「そう。あの世界は本当に起こった世界。そしてその世界で私達は全員処刑されるの。ラミーユさんはエニスお兄様の夫人としてリーサオーラさんは王家の間違いを正そうとして二人も処刑された」
「私達もですの?」
「ええ。秘密にしていてご免なさい。そして、これが切っ掛けにアメリア国はナガン帝国とカディア王国から攻められ滅んだそうなの。其を嘆いたアメージア様が時を戻した世界がこの世界だそうよ」
私の話を聞いて皆が呆けている。突然突拍子もない話を聞かされたのだから仕方がない。
「この計画はいつから?」
「実は高熱の時にアメージア様から教えて貰っていたらしいのだけど、色々な事が起きたから忘れてしまったみたいなの。あのあと、10歳の時の崖崩れで『浮遊』と『収納』の合成スキル『空間移動』を覚えたのだけど突然の事で目標地点が定まっていない中をアメージア様に助けられここに連れて来て貰ったわ。その時に再び教えて貰って今回の計画を立てる事にしたの」
「エマが私達に教えてくれた三つの秘密、『前世の記憶』『回帰の記憶』『空間移動』だったよね。」
「ご免なさいお兄様。『前世の記憶』『回帰の記憶』はそうですが三つ目の秘密は違うの」
「そんな・・・」
「そうそう、アメージア様の本当のお名前は『スザク』って言うらしいの。そしてこの島を守るのがアメージア様の旧友である『ゲンブ』様で、アメージア様も咄嗟にだったから思わずここに飛んでしまったらしいの。
其とアメージアの爪痕は正式には『せいりゅう』様の爪痕らしいわ」
「はは、まだ秘密があったなんて・・・」
ここでリーサオーラが1つ疑問に思った。そしてここまで来たらその疑問も聞かずにはいられなかった。
「1つ宜しいかしら?最初の回帰はエマさんが基点でしたのでエマさんの回帰は解りますわ。ですが、エマさんが崖から落ちた時はなぜ助けられたのです?あの場でエマさんが亡くなられてもグレイス家が滅ぶことはないから助けなくても良かったと思いますわ」
「それね。アメージア様は昔『四神』といって四人の神様だったらしいわ。『スザク様』『ゲンブ様』『セイリュウ様』そして『ビャッコ様』らしいのだけだ、その内のビャッコ様が私の祖先らしいの」
「「「えっ!」」」
「本当に驚いちゃうわよね。だって私達アメリア人ってスライムから進化したって言われてたけどビャッコ様もスライムの進化からだったのだから」
「いやいや、エマ、違うと思うよ。いや、と言うか僕たちが驚いているのはそこじゃないから」
皆が私の話を聞いて驚いている姿を見て愉悦に浸っていると後ろの方から女性が近付き話し掛けて来た。
「エマ様、そろそろ紹介しても宜しいのでは?」
「ごめんなさいハーミーさん、皆の驚く顔が楽しくて」
「もしかして天帝のハーミー殿か?」
「さすがお兄様、ある方を助けるのに悩んでおりましたらハーミーさんが是非にと協力して下さいまして」
「好きな人のためなら命なんて欲しくないわ」
「誰を助けたのですの?」
「久しぶりだなラミーユ」
自分の名を呼ぶ男を見るとラミーユは驚きと共に何が起きているのか解らないが、その姿を見て涙が溢れてきていた。其も仕方がない、本当ならアメリアで奴隷として労働を課せられているはずの男なのだから。
「お兄様!どうしてここに?」
「エマ陛下に助けて頂いたのだ」
「今頃、アメリアは大騒ぎですわね」
「大丈夫よ。魔道具〔アンドロイド〕が代わりに働いているわ」
「「「アンドロイド?」」」
「そう。アメージア様とゲンブ様のスキルを付与してある程度完成したのだけど、最後に『命』が課題だったの」
「命!?」
「ゲンブ様のお力の1つに命の譲渡と言うのがあるのだけど譲渡する元の命が必要だったの。その命をハーミーさんが提供して下さると言ってくれて」
「なっ!」
「気にしなくていいわよ。愛する人のためなら命なんて本当にいらないしほんの一年だから」
「一年?」
「ええ。一年後にはカインさんは過労でお亡くなりなる予定です。寿命でなくなる分には大騒ぎをしないでしょうから」
「何で、お兄様を助けて下さいましたの?」
「あらラミーユさんのお兄様だからでは駄目かしら。確かに其だけではないわね。実はカインさんは私達の仇『夢の中のレオナルド』を討ち取って下さった方ですから」
「えっ!」
「夢の中で皆がレオナルドによって処刑された事はお話しましたよね?ラミーユさんも処刑されたと。其に納得がいかなかったカインさんがレオナルドに刃を向けて下さったそうです」
「お兄様・・・」
「あっ、因みにハーミーさんとカインさんは愛が結ばれこの島で婚姻したわ」
「お兄様!?」
「愛の力は凄いわね」
「愛の力か。エマ侯爵もレオナルド皇太子様の事が好きなのだと思っていたんだけどな」
「全て演技です」
「たまに本性が出そうな時がありましたが」
「だって仕方がないじゃないロイ、あの男に『君を守る』何て言われた時にはあの男にも一撃加えて男性機能を失わせて上げようかと思ってしまったわ」
あっ、私の言葉に男性陣が血の気を引いてしまった。何であんな男に同情するのよ。
「いいかしら、エマさんがいなくなったあのパーティーでエマさんとレオナルド皇太子の別れのシーンを覗かれていた方がいまして、その方が言うには感動的な別れだったと言われてましたが、もしかして其も・・・」
「演出よ。だってしょうがないじゃない。あの男の性格はよーーーく知っているわ。あの男は私の返事次第では王城に監禁していたと思うし、下手に別れると皆さんに危害を加えてくる可能性があったわ」
「あーー、そうかも知れん。あいつ、密かにエマ専用の部屋を設けてあるらしい。何時でも戻ってこれるようにとね」
「本当ですの?ルーブル様」
「ああ、実際に指示され準備した侍女が相談してきてね『レオナルド皇太子様が壊れてしまったかもしれません』とね」
「ところでエマ?そんなに憎んでいるのにパーティーの時に何でカイン君から助けたんだい?」
「だってお兄様、あそこでカインさんを助けないとカインさんが処刑されてしまい助ける事ができなくなってしまいますから。それに・・・」
エマが視線を反らすとそこには父ゼニスと母マリアが立っていた。
「父上!其に母上もどうしてここに?グレサルで隠居すると言われておりましたが・・・」
「実はエマちゃんに誘われてここに来ていたのよ」
「どういう事ですのエマさん?」
「私、夢の中での仕打ちは忘れないわ。でも復讐何てどうでもいいの。私は夢の中の世界でも変わらずに私に助言して下さったり、正義を貫こうとして下さったりと私の大事な仲間と一緒に過ごせるだけでいいの。此が私の本当の三つ目の秘密よ」
「えっ!三つ目の秘密!?」
「ええ。この島で家族や友達と一緒に楽しく暮らす計画です。夢が叶って良かったわ」
─ 10年前 ─
「ロイ、私決めたわ。ここに私だけの街を作るわ。そして皆でここで暮らすのよ」
「レオナルド様は・・・」
「レオナルドとは婚約破棄するつもりよ」
「其では、その時が来ましたら私をエマ様の伴侶にして頂けませんか?」
「えっ!」
「エマ様への想いを『身分』と言う言葉に遮られ諦めておりましたがこの島にはその遮るものが御座いませんので貴方を諦める事が出来ません」
「私でいいの?」
「エマ様しかおりません」
「そう・・・そうね。8年後に成人なったら迎えに行って上げるわ。それまでこの計画は二人の秘密よ」
【エマ・グレイス】
20歳 女性 Lv250
職業 〖女王〗 適応魔法 闇
体力 999 魔力 800
力 555 守 200 速 270 知 800
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣Lv10 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪Lv10 弓神Lv10 拳豪Lv10 拳神Lv10
スキル 〖浮遊 Lv50〗〖収納 Lv50〗〖空間移動Lv20〗
称号 〖アメージアの祝福〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv10〗
魔法ギルド オリハルコンランク
商業ギルド AAAランク
冒険者ギルド AAAランク
エマ商会 175店舗




