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43.えっ!婚約破棄を致しましたが

お茶会から少し時が経ちソフィア男爵令嬢がダンターク公爵の養子となることが決まった。

それ以外の話しはまだ伏せた状態であったため、誰しもがソフィア令嬢がレオナルド皇太子の婚約者に選ばれるものと思う。グロレンス男爵も同様であった。


あのようなお茶会があったなど夢のように私達は普通に学園生活を過ごしていた。いや、過ごさなければいけなかった。なので、レオナルドのようにチラチラと私達を覗き見したり挨拶がぎごちないなどあってはならない事だ。


ある日、片付けのため図書室に向かった帰りの廊下にレオナルドが立っていた。


「エマ、少しいいかな?」


「二人になるのは難しいですのでこの場で宜しいでしょうか?」


二人でいる場所を他の生徒に見られる訳には行かない。なのにこの男は話し掛けて来た。ため息を我慢し発した言葉にレオナルドが周囲を確認しながら話し出す。


「後継ぎが産まれれば5年と経たずとも側妃を迎えることが出来る。だから待っていてくれないか?」


「・・・」


私が話そうとすると遠くの方から人の話し声が聞こえたのでその場を後にした。その後もレオナルドと話をする機会がなく卒業パーティーを迎える。


私のパートナーはロイにお願いし、ラミーユのパートナーにエニスお兄様が名乗り出て、その時のラミーユの慌てようは可愛らし過ぎた。更に驚いたのが、リーサオーラがルーブルお兄様に申込むとルーブルお兄様も顔を赤めながら引き受けていた。

あら、私達って将来は友達から姉妹になるのかしらと思いながらパーティー会場に向かう。


私達は会場に入ると皆が拍手で迎えると共にざわつきも聞こえ始めた。誰も皇太子がパートナーでないからである。最後に皇太子がソフィアと一緒に入場するとざわめきは更に大きくなった。この光景を見ているグロレンス男爵は笑みを隠せないでいる。


卒業のパーティーが一通り行われると、ガルディア王より合図が送られ楽団が動きを止める。

そして、ガルディア王より皆が待ち望んだ言葉が語られ始めた。


「今宵の卒業パーティーにて我が息子レオナルドの婚約者を決めたいと思う。レオナルドの婚約者はファイオナ姫とする」


ガルディア王が言葉を発すると、王の後ろから一人のご令嬢がゆっくりと姿を現す。

『誰?』と誰もが思う事だろう。


「彼女はナガン帝国の姫君であり、此度の和平と共に我がレオナルドの元に嫁ぐ事となった」


この言葉に皆が理解した。『人質』だと。しかし、ファイオナ姫の若い姿を見て可愛そうに思った皆は拍手で彼女を祝った。

その中で一人だけ声を荒げ反論した者がいる。

グロレンス男爵であった。


「馬鹿な・・・妃はソフィアではないのか!何のために公爵の養子にしたのだ!」


「グロレンスよ。『馬鹿な』とは我に向かって言ったか?お主は言葉使いがなってないらしいな。『何のため』?そんな事は簡単だ。ソフィアご令嬢とダンターク公爵が血縁関係であると解ったからだ」


「まさか!?」


「それに早く公爵の養子にしないとソフィアご令嬢も裁かなければならないからな」


「えっ!?」


「エマ・グレイス侯爵!」


ガルディア王がエマの名を呼ぶと魔道具〖映写機〗を発動させた。合図と共に室内は暗くなり天井に映像が写し出される。其処にはグロレンス男爵と宰相及び幾人かの貴族が裏で聖国の者ともしくは裏社会の者と話しており、裏金やエマなどの暗殺の指示、王家転落等の企てが写し出されていた。


「な、何なんだこれは?」


「此は私が開発した魔道具〖撮影機〗から取り出した映像を魔道具〖映写機〗に写し出されたモノです。貴女方の会合している部屋に忍び込んで仕掛けさせて頂きました」


「あの部屋は鍵がかかって入れないはず。どうやって?」


宰相の言葉を聞くとエマは今いる場所から宰相の隣まで移動した。一瞬の移動だったため皆が驚いている。


「此は私の新しいスキル〖空間移動〗です。私は10歳の頃に馬車の転落時にてこの能力に目覚め今では遠くの方まで多くの者を携え移動が可能となりました。エルフやドワーフを戦場に運ぶ程度に」


「や、やはり、あの冒険者は貴様だったのだな!」


「ガルディア王、騙すような事をしてしまい申し訳ございません。彼らを油断させるためには秘密にしておきたかったのです。何せレオナルド皇太子の側には常に裏切り者がおりましたから」


エマがこの言葉を発すると映像が切り替わった。映像にはレオナルドの側に常にいた人物が写っていた。


「嘘ですわ。何であそこに写っておりますの?『お兄様』!!」


ラミーユが声を発生すると共に兄を見つめると兄カインは剣を抜いていた。そしてレオナルドに飛び掛かろうとしたがエマの空間移動と収納によりカインの剣は消され、エマの正拳突きがカインを鳩尾に一撃を加えるとカインは吹き飛び壁にヒビが入った。


映像の続きにはラミーユが強迫のネタとされていた事やカインが頭を抱えて悩んでいる姿も写し出されていた。

私は、ガルディア王に合図を行うとガルディア王が手をあげ言葉を発した。


「ラスボス宰相とグロレンス男爵には国家反逆罪、強迫罪、機密漏洩罪、殺人未遂等の様々な罪の疑いがある。ああ、グロレンス男爵には先程の王家侮辱罪も付け加えてやろう。証拠もお主達の部屋からここにある。言い逃れは出来ん。衛兵捉えよ!」


王の言葉と共にラスボス宰相とグロレンス男爵、カインが連れていかれた。


「尚、ここに写っている貴族は既に捕まえておる。皆騒がせてすまなかった。パーティーの続きをしてくれ」


ガルディア王の言葉と共にパーティーは再開された。

ラミーユさん動転しておりパーティーどころではない。私が手を差し伸べようとすると「結構ですわ」と払われてしまった。エニスお兄様が「ここは俺が」とラミーユさんに付き添いながら会場を後にした。


「エマさん、何時からしっておりましたの?」


リーサオーラから問い掛けられた。彼女も怒りが隠せないでいるのか手に持っているワインが震えている。


「カイン様が映像に初めて出て来たのが二年前からでした。ラミーユに話をするとラミーユが黙っていられないと思いました。そうなるとラミーユの命も危ないと思い黙っていました。私に出来る事はこのパーティーの前にテキサル候補にカイン様を除籍して頂く事だけでした」


「そう、確かにそうですわね。ですが・・・」


リーサオーラが持っていたワインが私に目掛けかけられた。

私は顔がワインに濡れ顔からヒタヒタとドレスに染みとなって滴り落ちていった。


「エマ様!」


「ロイ、いいのよ」


「貴女のいいたい事は解りましたわ。それでも・・・それでもラミさんを傷付けた事は許せませんわ!」


リーサオーラが怒りの言葉を私に投げ掛けるとその場を後にした。私はルーブルお兄様に目で合図を送るとお兄様はリーサオーラの後を追う。


「エマ様、着替えに行きましょう」


「いいわよ。ドレスは殆ど濡れてないわ。それよりちょっと風にあたって来るわね」


エマはロイに告げると誰もいないバルコニーに出ていった。騒ぎの張本人達がその場からいなくなった事でパーティーは再び盛り上がっていった。


「大丈夫かい?」


言葉の方に振り向くとレオナルドがそこにいた。


「大丈夫よ」


「この前の返事が聞きたい」


「待っていて欲しいって事?」


「ああ」


「そうね・・・(何故かしら今日の月は綺麗ね)」


「難しいわね」


「えっ!?」


「だって5年よ。私だって23になるわ。私だって貴族としての立場があるの。アメリア国にいる限り私も貴族としての勤めを果たさないといけないわ」


「わ、私を捨てるのか?」


「えっ!婚約破棄を致しましたが?棄てられたのは私達ですわ」


エマはレオナルドに言葉を告げると宙に浮くとバルコニーの外に移動した。


「レオナルドは『絶対に私を守る』って言ったのに嘘つきね」


「それは・・・」


「いいわ。こうなる事は解っていたもの。でも皆に嫌われたのは悲しいかな」


「エマ・・・」


「皆に伝えて貰えるかしら。ご免なさいって」


「駄目だ・・・」


「ご免なさい。リーサオーラ、ラミーユ」


「行くな・・・」


「さようなら。私の王子様」


最後の言葉を告げるとレオナルドの前からエマの姿が消えた。

この日を境にエマの姿を見かけたものは誰もいなかった。

【エマ・グレイス】

17歳 女性 Lv190

職業 〖侯爵〗 適応魔法 闇

体力 900 魔力 700

力 450 守 180 速 235 知  700 

火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0

剣Lv10 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪Lv10 弓神Lv6 拳豪Lv10 拳神Lv10

スキル 〖浮遊 Lv39〗〖収納 Lv39〗〖空間移動Lv15〗

称号 〖アメージアの祝福〗

   〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv10〗

魔法ギルド  オリハルコンランク

商業ギルド  AAAランク

冒険者ギルド AAAランク

エマ商会 145店舗

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