42.えっ!婚約解消
後日にナガン帝国とアメリア国との和平会議が行われた。
此により関税がなくなりエマ商店が一気にナガン帝国にも出店されるようになった。
また、和平会議の際にアメジア聖国から届いた書状が渡された。書状には黄熱病では失敗してしまった事やスタンピードについてなどが書かれており、後日に行われた首脳会談にてアメジア聖国の悪行が晒される事になりアメジア国は第一級犯罪国とされた。
尚、和平条約として1つの条件が提案されていた。
ー アメリア王都 学園 ー
三方の戦いから月日が経ちエマ達は三年生になっていた。
伝染病から三方の戦いと波乱の学生生活であったが、それも今は懐かしい思い出となり最後の学生生活を送っている。ただ気になるのがレオナルドと会話する機会が減りソフィアも避けられていた。
「ソフィアさん、何かありましたの?」
「解りません。最近、話をする機会がめっきり減りまして私も心配しております」
「カイン様は何か言っておりません事?」
「兄も解らないようですわ。お側にはいるようですが『何でもない』と仰られるだけのようですわ」
「どうしたんでしょうね」
レオナルド皇太子の状況が心配される中で月日が経ち、夏の終わり頃、そろそろ三方の戦いから一年が経とうしていた頃に王妃より突然のお茶会のお誘いがきた。
「突然のお茶会ですが何なんでしょうね」
「あらソフィアさんも知りませんの?」
「はい。今回は全く解りません」
「確か学園生活が大変だからお茶会はしないとの事でしたが・・・」
夢の中では暗い学園生活を過ごしていただけで特に事件はなかった。突然のお茶会が何なのか解らない状態でエマは不安に感じる日々を過ごすことになった。
ー アメリア王城 王室 ー
今回のお茶会は王室で行う事となった。
今までのお茶会と違うのは従者達が皆外に出された事とガルディア王も参加していたことである。
全員が揃うとレオナルドが話し始めた。
「君たちと婚約を解消しなくてはならない」
「えっ!婚約解消ですか?」
婚約解消と言う言葉を言い終えたレオナルドは実に暗い顔をしていた。
突然の婚約解消宣言に私達も驚きを隠せない。
夢の中と同じ・・・
少し早いような・・・
・・・
あれ!?
ソフィアさんも!?
「あの、候補者全員でしょうか?」
「詳細は私から話そう」
レオナルドから続きの言葉を聞くのが難しいかと判断しガルディア王が詳細の説明を行われた。
「先ずは昨年の三方の戦いにてナガン帝国と和平を結ぶ事になった事は皆も知っているな?」
ガルディア王の問い掛けに私達は頷いた。
「その時に幾つかの約束事があったのだが、その一つが問題となっておる」
「問題ですか?」
「ナガン帝国新王には今年16歳になるファリオナという姫君がいるのだが、その姫君と我が国の王子との婚姻を条件とされた」
そういう事か。我が国にも姫君がいるので我が国から嫁がせる事も出来る。だが、ナガン帝国の王子は既婚しており後継者も設けている。此が友好国同士ならあり得る話だが、今回は和平のための婚姻。我が国の姫がナガン帝国の側妃では我が国から不平不満が産まれてしまう。
それに嫁がせる=人質。我が国から人質を差し出しても意味はない。向こうから頂かないと。
「そうなりますと私達は邪魔になりますわ」
「私達が候補者として残っておりますと『子が設けられないと思い側妃を用意して置いた』事となり相手に対し大変な侮辱へとなりますわね」
「最初は貴女達から妃を選んだら他の者には側妃になって貰おうかと思っていたの」
王妃の言葉に皆が反応した。恐らく皆共に側妃の考えはなかったのだろう。
「それは私達の関係だから成立する事でしょうね。立場が立場の御方ですので、婚姻と同時に側妃を設けては『貴女の子はいらない』と言っているようなものとなりかなます」
「うむ」
「ファイオナ姫は16歳との事ですが婚姻は2年後ということでしょうか?」
「そうだ。今年度中に婚約を結びファイオナ姫が18歳になると共に婚姻を結ぶ事になる」
今から二年後か・・・
あれ!?
確かに夢の中のレオナルドも婚姻のパレードは20歳の時だったわね。
「解りましたわ。婚約候補の解消の件につきましてはお受け致しますわ。皆さんも宜しいですわね」
「「「はい」」」
「すまぬ。此度の婚約解消は王家の一方的なものだ。確実に我が王家が有責だ。婚約候補として頑張って貰った事なども含め賠償していきたいと思う」
「1つ問題がありますわ」
纏まりかけたところにラミーユが声をあげた。
「問題?」
「はい。私達は良いですわ。ですがソフィアさんの場合はどうするのですわ」
確かに。私達とソフィアは婚約候補となった理由が違う。
そう、あれは5年ほど前の同じく緊急で行われたお茶会だった。
ー 5年前のお茶会 ー
「新しい婚約者ですか?」
「そう、ちょっと、とある理由でソフィア嬢の事を調べる事になったのだけど、その時にソフィア嬢はダンターク公爵と血縁関係にあることが解った」
「えっ!ダンターク公爵ですか?」
【ダンターク公爵】
別名、闇公爵。
アメリア国内の上位貴族の中で唯一領地を持たない貴族。(今はエマも領地を持っていないため唯一ではなくなった)
表の仕事を王家が請け負い、裏の汚ない仕事を公爵が請け負っている。
「そうなんだ。そして、ソフィアの母親はグロレンス男爵家の侍女として働いていたところ男爵のお手付きにあい、ご婦人に誘惑したとして追い出されていた」
そう私が夢の中で知っているのはそっちの話で公爵との血縁関係だったという事は聞いてなかった。
「既にソフィアは裏でダンターク公爵の元で鍛えられている。今までグロレンス男爵にはきな臭い噂が多くあったが証拠が掴めないでいる。そこでソフィアをそれとなくグロレンス男爵の養子にさせて私との婚約候補に加えた事で油断させ証拠と共に更に男爵の上に隠れているものも芋づる式に捕まえようかと思っている」
「解りましたわ。婚約候補が目眩ましとなるわけですね」
「という事は私達とソフィアは仲良くしないで少し敵対していた方が良いかもしれませんね」
「皆の協力を感謝する。ソフィアは男爵を断罪する前にはダンターク公爵の養子する予定だから安心して欲しい」
「はい。大丈夫です」
ー 再び5年後のお茶会 ー
5年前にこのようなやり取りをしていた。
「確かにソフィアご令嬢はどうしましょ?」
このままソフィアご令嬢も婚約解消となるとソフィアご令嬢の身が危険である。
「グロレンス男爵の断罪はまだ難しいのですか?」
「グロレンス男爵の裏に隠れているのが宰相らしいという事までは解っているのだが、まだ証拠が揃っていない」
うーーん・・・
うん!?
ちょっと可笑しくない?
「ちょっと待って下さい。今回、ファイオナ姫との婚姻で婚約解消となりましたが、それがなくても来年には婚約者を決めなくては行けないかと思うのですが、その場合はどうする予定だったのですか?」
私の質問にレオナルドがいい辛そうに顔を背けている。
「その時はソフィアを婚約者として他のご令嬢を側妃にする予定だった」
「ほ、本気ですか?私達の親が皆反対するかと思いますが」
私達の中から妃と側妃が選ばれるなら解るがソフィアさんを妃として私達を側妃となると話が違う。
「勿論、ソナタ達に相談をして側妃でも残って良いと言われた場合だけだ」
「解りましたわ。そうなりますと方法がありませんわね」
「・・・」
静寂が続いた。
誰も思いつかないらしい。
仕方がない。覚悟をしますか。
「私に妙案があります。私に任せて頂けませんでしょうか?」
【エマ・グレイス】
17歳 女性 Lv170
職業 〖侯爵〗 適応魔法 闇
体力 850 魔力 650
力 410 守 165 速 215 知 650
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv9 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪Lv10 弓神Lv4 拳豪Lv10 拳神Lv10
スキル 〖浮遊 Lv37〗〖収納 Lv35〗〖空間移動Lv13〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv10〗
魔法ギルド オリハルコンランク
商業ギルド AAAランク
冒険者ギルド AAAランク
エマ商会 138店舗




