39.えっ!スタンピード
エマ16歳の夏の終わり、再び学園が騒ぎ出した。
「スタンピード発生!スタンピード発生!グレイス領北西部にてモンスターによるスタンピードが発生したと思われますので落ち着くまで学園は休校となります。繰り返します。スタンピードにより暫く学園は休校となります」
「えっ!スタンピード」
このスタンピードが発生された日、エマは学園を休んでいた。この日、エマは別の場所にいたのである。
ー グレイス領 ー
グレイス領北部にある詰所の見張り塔。
この塔からは近くに魔物がいないか不審な者がいないか日夜交代でグレイス騎士団が待機している。
ここ最近ははぐれた魔物が見られるだけで平和な日が続いており、今日も平和な1日で終ろうとしていた。
突然、各地に接地してある魔道具がなり始めた。最初は一つ、また一つと次々になり始め、今では魔道具の警戒音が異常事態を知らせていた。
待機していた騎士が魔道具〖望遠鏡〗で遠くを覗いて見た。
最初は無数の小さな点と大地から上がる土埃が見え。空に浮かぶ無数の点がドラゴン等の魔物である事が直ぐに解った。
「伝令!伝令!北西の山奥にドラゴンを含むスタンピード発生!スタンピード発生!数は数千!進路は・・・グレイス領都!グレイス領都に向かっている」
伝令を受けた警邏隊長は直ぐに伝書鳥でグレイス領主や周辺の領主、王城に伝書鳥を飛ばした。
「ここまでの規模とは思わなんだがエマ様の言われた通りになったな」
熟練したグレイス騎士でも突然に発生したスタンピードに冷静な対応は難しい。
だが、エマは騎士達にスタンピードが発生する危険性がある事を知らせていた。
騎士達はエマの秘密を知らない。
だが、エマはトップランクの冒険者だ。トップランクの冒険者の言葉は説得力があったため警戒していた中での発生であった為、冷静な対応が出来た。
ー グレイス領主館 ー
「とうとう発生したか。第1~第5騎士団は直ちにスタンピードに対応せよ。ストロング団長!スタンピードはソナタに任せる」
「おうよ。任せろ!」
「腕がなるわね」
「「・・・」」
「どうしたの?」
「セセリアお前も行くつもりか?」
「あら、私の回復魔法や支援魔法は喉から手が出る程欲しいはずよ。こんな楽しい事、仲間外れ何て酷いわ」
「フッ、確かにソナタも参加して貰えると助かる。冒険者ギルドにも連絡したからモールスとも出会えるかもな、私も行きたいところだが、流石にここから出て行くわけにはいかんからな」
「ここは私に任せて下さい!」
声と共に部屋に入って来たのはルーブルであった。
ルーブルもエマから事前に知らされており、この日はグレイス領に戻っていた。
「私は次期グレイス領主として日夜勉強して参りました。此度のスタンピードなど何なき事です」
「スタンピードが何なき事か・・・流石はお前の息子だな」
「本日よりグレイス領主及びグレイス公爵を息子ルーブルに譲位する。正式な手続きは後になるが任せたぞ」
「はい」
ー グレイス冒険者ギルド ー
「数千の魔物にドラゴン含むか、ストロングも動く見たいだし俺も行くか」
「ギルド長!ど、どうしましょ?」
「B級以上の冒険者は強制依頼とする。それと、俺も参加するからギルド長代理として後はお前に任せる」
「えっ!ギルド長!?」
ー エリュード領 ー
「リーサオーラの言う通りになったな」
「お嬢様のご学友であるグレイス家のご令嬢はトップランクの冒険者であられますから何処かで予兆みたいなモノがあったのでしょうか?」
(そうかもしれんが、我が娘は昔から少し変であった。その娘が始めて心開いたのがグレイス家令嬢だ。あの令嬢の行動見ても何らかの秘密があるのかも知れない。前に娘が言っていた『前世』に関係しているかもしれないな。)
「どう致しましょうか?」
「予定通り、準備しておいた兵士1000名を派遣せよ!」
「仰せの通りに」
ー テキサル領 ー
「娘の言う通りになったか。と言う事は・・・」
「ジョージア様、如何致しましょうか?」
北のスタンピードの発生は娘のラミーユの通りとなった。ならば・・・
「突然失礼します。西の砦にてナガン帝国に動きあり数千の兵士が境界に近付いております」
「な、なんと」
「慌てる事ではない。我が領はこの為にありこの為に日々準備をしてきた。全兵にナガン帝国への防衛に向かうよう伝えよ。それからグレイス領や近領に応援要請を、王都には報告だけで良い」
「ですが、グレイス領はスタンピードの対応で・・・」
「構わん」
(ナガン帝国を含め娘の進言通りとはな。グレイス公爵の娘め何処まで見通しているのだ。願わくば敵ではなく味方であって良かったか)
ー 聖国との境界の町 ー
ビー!ビー!ビー!
「お前は聖国の者だな。聖国の者は入国を許されない。直ちに戻られよ」
聖国の民として入国を揺らされなかった男は踵を返し戻ると列にならんでいた男に合図を行う。
列に並んでいた男の前を通ると衛兵に魔法の一撃を加え衛兵を倒すと、これを機に次々と聖国の者が侵攻してきて暴れだし境界の町は暴動に包まれた。
北西のスタンピードやナガン帝国の侵攻は夢の中と同じであったがこの聖国による侵攻は夢の中ではなかった。
ー アメリア王都 ー
「伝令!グレイス領北西の奥よりモンスターピード発生したとの事です!」
「伝令!西のナガン帝国が進軍してきているとのことです!」
「伝令!聖国との国境にて聖国が侵攻致しました!」
三方向からの知らし合わせたかのような同時発生に王都での対応をどうしたものかと国王は悩んでいた。
「国王様、南部の暴動は放置していても王都までの被害はさほど大きくありません。ここは北のスタンピードとナガン帝国に全勢力を投入すべきかと」
「宰相よ。全勢力の投入は危険ではないか?王都は誰が守る?」
「王都は安全でございます。危険なのは北と西でございます」
宰相の進言に皆がその通りにした方が良いように思え始めたが一人の者が声をあげた。
「ガルディア王様、宜しいでしょうか?」
「申してみよ。レオナルド」
声をあげたのはレオナルド皇太子であった。
「テキサル領主及びグレイス領主からは『報告』のみで応援の要請は来ておりません。また、聖国が魔道具を嫌うため進行が遅いと見るのは危険かと、此をいい機会に魔道具を使い一気に王都に責めいって来ましたら守りを失った王都など簡単に陥落してしまいます。ここは半数の兵を南部に集中させ残りを兵は待機させ今後の戦況によって対応していく方が良いかと思います」
「しかし、それでは手遅れになるかもしれませんぞ」
「宰相、わしはレオナルドの意見に賛成したい。他の者はどうだ?」
ガルディア王の言葉に大臣一同が一気にレオナルドの意見に賛成した。
「宰相及び第1及び第2兵団を南部の鎮圧に向かってくれ。宰相よ心配してくれて助かる。願わくばお主が思う最悪な事態にならぬよう早急な鎮圧を期待している」
「解りました。我が私兵全力をもって早急に鎮圧して参ります」
三方向からの責めにアメリア国全勢力を使って対応しているなかエマの姿は何処にもなかった。
【エマ・グレイス】
17歳 女性 Lv158
職業 〖侯爵〗 適応魔法 闇
体力 800 魔力 620
力 385 守 155 速 200 知 620
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv8 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪Lv10 弓神Lv2 拳豪Lv10 拳神Lv10
スキル 〖浮遊 Lv35〗〖収納 Lv35〗〖空間移動Lv12〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv9〗
魔法ギルド オリハルコンランク
商業ギルド AAAランク
冒険者ギルド AAAランク
エマ商会 120店舗




