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37.えっ!また黄熱病!?

ー 国際会議 ー


今、各国代表は今回の黄熱病について話し合いが行われていた。そして、その題材にはアメリア国民の不可侵領域への侵害も含まれていた。


「アメリア国の不可侵領域への侵害は由々しき問題だ!」


「だが、其がなければ被害が更に拡大し他国にも被害が出たかもしれない」


「大義名分があれば侵害して良いのか!ならば其を真似て侵入するものが増えるぞ!」


不可侵領域について賛否が分かれている。主に断罪を望んでいるのは聖国とナガン帝国なのだが。


「少し良いかな?」


「何かなガルディア王?」


「調査した者が感染源の死体を見つけたのだが、殆ど獣等に食害されていたが残っていた部分に珍しい焼き印がされていた。非常に気になりこのように薬剤に浸して保存している。」


そう言うとガルディア王は手に小さな小瓶が握られていた。ガルディア王の発言により聖国の王は顔色を変えた。


「なぜ、不可侵の森に焼き印が入った者がいたのか?しかもこの人間が感染源であったことが解ったのだが、これについて聖国の意見を聞きたいのだが」


「私達がやったの言うのか!自分達の罪を人に擦りつけるとは何と恥知らずな王がいるものだな」


「ならこの焼き印についてどう説明する?」


「そんなもの知らん。我が国の奴隷だとしても大方貴様達が責任逃れに仕組んだ事ではないのか?」


「なるほど、ところで聖国の焼き印の歴史は罪人や高貴な者達が区別つくように行われたのだったな?」


「ふん!其がどうした」


「確かに森で見付かったのは貴国の奴隷の証である焼き印がされていたが、貴国では罪人や神官等の焼き印があるにも関わらず、どうして此が奴隷の焼き印だと解ったのだ?」


「そ、それは」


「どうしだ?」


「ゆ、指の隙間から見えてそう思っただけだ!貴様は勘違いした事をいいことに罪を擦りつける気か!」


「指の隙間からか?可笑しいな、この瓶中は只の水だぞ」


「あっ・・・」


他国の王から「フッ」と思わず笑いが漏れる声が聞こえた。


「だ、だから勘違いしたと言ったではないか?そ、其に此度の会議は何処が感染源なのか正確な答えの出ない事ではない。不可侵領域への侵入という確かな罪についてのはずだ!」


「そうだな。だから我が国は貴国が侵した不可侵違反の尻拭いをしただけだ」


「なっ!」


聖国とアメリア国で討論しているなか外が騒がしい。

すると一人の文官が部屋に飛び込んできた。


「聖王様大変でございます。我が国にも『黄熱病』の症状が発生しており、我が国で保管していた薬では足りない状況のようです」


「なんだと!貴様は処分に問題なかったのではないのか!」


「ここまで『語るに落ちる』とはな」


「あっ・・・」


「我が国の主張は何処かの国の悪意による不可侵違反の尻拭いをしただけだ。それでも我が国に罪があると思われるのか挙手を願う」


我が国を目の敵にしているナガン帝国も流石に挙手出来ず挙手したのは聖国の王だけであった。


「其では我が国は罪に問われずと言う事でこの辺で失礼する。

そうだ、聖国の王よ。如何に処分したのか知らんが貴国では大変らしいな。我が国は優秀な者達のお陰で最小限の被害に抑える事が出来て薬が余っている。

もし、欲しいようなら遠慮せず声を掛けてくれても構わん」


「くっ!赦さん、赦さんぞ!この屈辱はいつか後悔させてやる」


「ふん。聖国の王の言葉とは思えんな」


ー 会議終了後の馬車の中 ー


「おのれーーーーー!!!!」


聖国の王は此度の会議でアメリア王家の崩壊を謀っていたのだが、会議が終われば自国の立場の方が不味くなってしまい、思うように行かない結果に苛立ちを隠せないでいた。


「王よ落ち着いて下さい。どうもグレイス侯爵家のご令嬢はかなり厄介なようですがモンスターピードの騒ぎの中でご退場を願いましょう」


「ふん。今度こそあの国を滅ぼしてくれるわ!」


ー グレイス領 ー


各国の王が集まり会議が行われているなか、エマはレオナルド皇太子とお茶をしている。

エマとしてはアメリア国の今後が関わる会議であるためお茶会どころではないのだが、レオナルドの強い要望により行う事となった。


「安心したよ。会議で気が気でないかと思ってたのだけど落ち着いていて良かったよ」


「あの、私よりレオナルドの方が落ち着いてませんか?」


「そうだね。既に『カディア王国』『エルフ国』『ドワーフ国』『獣人国』其々の国と『我が国を罪に問わない』と確認をして頂いてあるからね」


成程、今回の会議は既に答えが出ていたのね。カディア国を始めドワーフ・エルフ・獣人にも薬を提供しておいて良かったわ。

意外と落ち着いたお茶会が行われていた中に執事チャンが慌てた様子で近付いてきた。


「どうしたのチャン?」


「大変でございます。聖国で黄熱病で騒いでいるようです」


「えっ!また黄熱病!?」


夢の中では黄熱病の再発等なかった。

特に聖国で発生など記憶にない。

なので、エマは驚きを隠せずレオナルドが目の前にいるにも関わらず声をあげ席を立ってしまった。

だが、レオナルドは落ち着いてお茶を飲むとゆっくりとした仕草でエマに声を掛けた。


「落ち着いてエマ、問題ないよ。聖国からは此方にこれないから」


「ですが、薬を届ける段取りとかは?」


「エマ達のお陰で我が国ではかなり薬が余っているよ。今、水面下で交渉しているところかな」


「大丈夫なのですか?まず、薬を提供してから出ないと死者が出てしまうのでは?」


「エマは優しいね。此は我が国の正当な権利だと思わないと駄目だよ。黄熱病の被害を最小限に抑えられたと言っても被害者は出ている。彼らの家族への補償は十分に行うつもりだけど、その加害者である聖国が何もしないと言うのは赦しては行けない。彼らにも責任を取らせないとね」


「その責任が黄熱病ですか?」


「因果応報ってやつかな」


「王家の駆引きは学園での授業では解らない事もあるのですね。勉強になります」


「そうだね。エマも覚えた方が良いよ」


改めて解った。『この人』はこういう事が平気で出来る人だった。夢の中では元婚約者の首を簡単に切り落とした男であった。

エマはレオナルドとのお茶会を出来るだけ穏やかに済ませると、父ゼニスに相談する事にした。


「成程、おそらく聖国での再発は偶然ではなく確実に我が国が絡んでいるね」


「私もそう思います。ですが本当に此が正しいのでしょうか?」


「王家の心情や考えも解らなくはない。『子の命は子に妻の命は妻に』と言う言葉があるからね。だけど、伝染病は非人道的な行いであって、其を非人道的な行いで返すのは違うと思う」


「このままで良いのでしょうか?」


「難しいな。表立って行動を起こせばグレイス家が王家に対して敵対したことになってしまう」


「私も王家の者が何処に潜んでいるか解りませんので下手に動いて聖国に潜んでいる王家の者に見付かるかもしれないと思うと動けません」


「ここはマリアに頼む事にしよう」


「お母様ですか?」


「マリアの姉は隣国カディア王国の王妃だと言うことはエマも知っているよね。カディア王国にも念のため薬を渡してある。今回はその薬を使って貰えるようにしよう」


ある程度、事情を知ったカディア王国は迅速に動き薬を持った間者を聖国に忍び混ませた。

此により聖国で子供や平民からの被害は少なく抑える事が出来た。

だが、エマは改めて王家の恐ろしさを解らされこの事件は覚悟を決めた事件となった。

エマ・グレイス】

15歳 女性 Lv135

職業 〖伯爵〗 適応魔法 闇

体力 725 魔力 575

力 350 守 140 速 170 知  575

火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0

剣 Lv7 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪Lv10 拳豪Lv10 拳神Lv9

スキル 〖浮遊 Lv30〗〖収納 Lv30〗〖空間移動Lv10〗

称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗

   〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv8〗

魔法ギルド  プラチナランク

商業ギルド  AAAランク

冒険者ギルド AAランク

エマ商会 108店舗

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