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34.えっ!犯人?

15歳の春、とうとう王立学園へ入学することになった。

リーサオーラとラミーユとは王都にある領事館が近くであったため一緒に通学する事にしている。

私達の車が学園の入口に停まると目の前に1台の豪華な車が止まっていた。中から降りて来たのはレオナルドと例の男爵令嬢であった。


「おはよう。三人仲良く通学かい?」


「おはようございます皇太子様。私達領事館が近くのため一緒に通学する事にしてますの」


「羨ましいです。私も皆さんと一緒に通いたいです」


ソフィアが目をウルウルさせて私達に話し掛けてきた。

この子の演技力には驚かされる。


「あら、でもソフィアさんのお家は反対でしょ。少し難しいですわね。それにレオナルド様と一緒に通学される方が羨ましく思いますわ」


そう、その構図を見た他の学生がざわついている。

皇太子と男爵令嬢に対し三人の高貴ご令嬢という構図は同じ婚約者候補同士でも勝負あったように思えてくる。


「あ、あの、おはようございます。私、ラグランド子爵・・・」


子爵の令嬢が挨拶しようとする所をラミーユが手を前に出し挨拶を静止した。


「いけませんわフラウ様」


「えっ!」


ラミーユは挨拶をしようとしていたラグランド子爵家令嬢のフラウさんの挨拶を注意し、その注意がなんの事か解らずフラウ令嬢が戸惑っている。


「レオナルド皇太子様に挨拶をしなくてはと言うお気持ちは解りますわ。でも、皆が挨拶を致しますとレオナルド皇太子様のお時間を奪う事になり不敬となってしまうのですわ。ここは会釈で済ませ相手から挨拶をされたら此方も挨拶を返すのですわ」


「し、知りませんでした。すみません。」


「問題ありませんわ。卒業するまでに少しずつ学んで行くための学園ですわ。後で皆さんに紹介したいから宜しくですわ」


「は、はい!お待ちしております」


あの、ツンデレのラミーユの成長っぷりに驚きを隠せないでいた。


「ラミさん、成長したわね」


「な、何ですのいきなり。行きますわよ」


新入生の挨拶はレオナルドが行っていた。

また、在校生代表として生徒会長をして挨拶をしているのは我が兄エニスであった。

入学式後はクラス分けのたテストである。

成績優秀な上位20名のみがAクラスに入る事が出来る。

試験の結果私達三人は勿論の事、レオナルドとカインもAクラスとなった。そして、ソフィア令嬢も同じクラスであった。


「ソフィアさん凄いですね。男爵令嬢でこのクラスに入れるなんて」


なんだかんだでソフィアに弱点はない。頭が良く顔も性格も良い。


(夢の中のソフィアは婚約者を略奪したのだから性格が良いかは解らないわね)


ソフィアの弱点は身分ぐらいしか思い付かない。

そんな弱点もレオナルドの婚約者候補に選ばれた事によりなくなり、まさに無双状態のように感じられた。


「皆も食堂にいかないかい?」


「お誘い頂いて嬉しいのですが私達は中庭にてリナが作ったお弁当を食べることになっております」


「それは残念だ。次は是非一緒に食事をしよう」


廻りでヒソヒソと話す声が聞こえる。

内容は「皇太子は男爵令嬢を選ばれた」とか「三人の婚約者が結託して何か企んでいる」など稚拙な噂話だった。


「いいんですか?あのように言わせて」


「リナさんも貴族にとって名前と顔を覚えることは非常に重要という事は知ってますでしょ」


そう、貴族は1度見た相手を覚えることは外交や防犯の両面で非常に重要とされている。


「もう、あの方達との関係を作ろうなんて失せましたわ。貴族の社会で侯爵家や公爵家との関係性が途絶えることの重要性が解らない方など相手してられませんわ」


「顔も覚えましたしね」


先程までヒソヒソと話していた者達が一気に顔が青ざめて行ったのが解る。

通常、こういった貴族の噂話は格下の相手か対象が弱っている時に行うことが多いのだけど学生だから解らない。

親の真似をして公爵・侯爵との関係性が途絶えてしまっては学園を卒業出来ても将来性はない。特にグレイス・エリュード・テキサルの三領は今やアメリア国内の経済の中心となっている。

それに・・・


「あの方達は解っているのですかね。エマ商会会長を敵に廻したことを」


今や全ての領にエマ商会の商店がある。自分の行いで商店撤退となってしまっては領地が衰退してしまう。

この一言がかなりの決め手となりヒソヒソと稚拙な噂話をしていた者達が慌てて謝りに来たがロイが「食事の邪魔になります」と丁重に追い返した。

私はこんなことで敵対する程狭量ではない。誤解されないように軽い会釈をしたら彼等は「忘れないわよ」と違った方向に捉えてしまったのか膝から崩れ落ちて絶望していた。

何故?

ラミーユとリーサオーラにクスクスと笑っている。


一つ訂正しておくと学園内はあのような者達ばかりではない。いや夢の中はあのような物達ばかりであった。

だが現実では寧ろエマ達の見方の者達の方が多い。三領親しい関係の伯爵家・子爵家やその代官(男爵)。また、エマ商会は奨励金制度を設け希望があれば学園に通わせている。

勿論、入学試験に合格する必要性があるが殆どの者が合格している。孤児院から人材を招集しているためエマと同年代の子が多く現在三学年で50名近くがエマ商会の者となっている。


今回、騒動を起こしたのは南部の伯爵家・子爵家のご令息で私達と関係が薄く学園の平等という言葉を都合の良いように捉えてしまったのかも知れない。

只、今回の件で表だって噂をするものはいなくなった。


だが、お昼休憩終了後に事件が起きた。

ソフィアの教科書が破かれていたのである。

その事実を知ったレオナルドが教師に頼み授業を中断させ犯人を探すことになった。


「エマ、何か知らないかい?」


レオナルドが突然エマに問い掛けてきた。


「ええ、知ってるわ」


皆が私が自白したかと思い「えっ!犯人?」とざわつく。

ラミーユも口元を抑え驚きを隠せないでいた。(いや、あんたは一緒にお昼してたでしょうが!)

私は皆が驚いているのを無視してある人物の前まで歩き「この子です」と指を差した。

同じAクラスの伯爵家次女ラニア令嬢は指を指され驚く。


「何で私が?証拠はあるの?証拠は」


「そこの二人が証人よ。隣のクラスの彼等が貴方が部屋でこそこそとソフィアのところで何かしていたのを見ていたようです」


「エマ商会の人なんか信用出来ないわ」


「それではもう一つ。ソフィアさん黒板を素手で触ってみて下さい」


ソフィアはエマに言われた通り黒板に触るも特に何も起きない。

だが、その後にエマが白い粉を吹き掛けるとソフィアの手の後が浮かび上がってきた。刻まれた教科書も同様である。


「この教科書に幾つかついているこの形の指のシワは黒板の指のシワと類似しているため、この指紋はソフィアさんの者と言えます。貴方の指紋がこの教科書についていなか調べさせて下さい」


彼女は諦めたのでしょうか体を震わせ叫び出した。


「私はエマ様がこの身分知らずの愚か者に馬鹿にされていると思い、エマ様の代わりに私が行っただけです」


「ラニア令嬢、私の為と言われておりますが私に容疑を掛ける事も私のためなのですか?」


「そ、それは・・・」

彼女は学園の警備の人達に取り抑えられ連れていかれた。これで事件は解決である。


(これで冤罪が一つ消えたわね)


そう、この事件は夢の中と同じであった。

そのため、エマは隣のクラスのエマ商会の者達に見張りをお願いし自分のアリバイを確実にさせるため目立つ場所で昼食していた。


「驚きましたわエマさん、まるでドラマのようでしたわ」


「リサさん・・・ドラマって・・・」


「私はエマさんが犯人だと思って驚いてしまいましたわ」


「ラミさん、お昼からずっと一緒ですよね」

【エマ・グレイス】

15歳 女性 Lv122

職業 〖伯爵〗 適応魔法 闇

体力 680 魔力 525

力 310 守 125 速 150 知  525

火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0

剣 Lv7 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪 Lv9 拳豪Lv10 拳神Lv8

スキル 〖浮遊 Lv27〗〖収納 Lv27〗〖空間移動Lv10〗

称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗

   〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv7〗

魔法ギルド  プラチナランク

商業ギルド  AAランク

冒険者ギルド Aランク

エマ商会 98店舗

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