32.えっ!ソフィア令嬢
ー グレイス領主館 ー
王妃お茶会の帰り伝書鳥にて父ゼニスに連絡していたエマは戻るやいなや家族会議を行うことにした。
「なるほど、そのような話が・・・」
「はい。本来なら極秘の話なのですが・・・」
今回のお茶会は『ソフィア・グロレンス男爵』『新しい婚約者候補』などの事以外の話は王家より内密にするよう言われている。
王家には『影の公爵』と言われる領地を持たない公爵がおり、王家の影となり情報収集などを行っておりグレイス領内に潜んでいる可能性があったが、夢の中で冤罪された事を考えるとエマの側にはいないと思い話をしたのである。
其にもし罪に問われたとしてもいざと言う時は例の計画を実行に写すだけである。
「それで、今回の件は夢の中とは違うんだね」
「はい。養子になる時期は同じですが初めて会うのは2年後のはずでした。それに夢の中では理由を聞いてませんでした。もしかしたら夢の中でも同じ理由だったのかもしれません」
「なるほど・・・」
「ただ・・・同じ理由だったとしても何故私に冤罪を掛けたのか解りませんし何故処刑されなのかが解りません」
いや、冤罪を掛けた理由は理解している。
夢の中の私と現実の私は全く違う。
夢の中の私は
魔法が使えないエセ貴族令嬢。
田舎者の貧乏令嬢。
背中に傷がある傷物令嬢。
リナがいなくなり笑うことがなくなった能面令嬢。
皆からばかにされていた。
だから、冤罪を掛けても婚約破棄したかったのだろう。
だけど、処刑までする必要があるだろうか?
私が心の中で葛藤していると心配した父が話し掛けてきた。
「大丈夫かい?」
「すみません。やはり理不尽に思うところが強いです」
「そうだね。でも今回はアレから説明された訳だからエマが苛めをする理由や根拠ははずだ。。なので冤罪を掛けられる事はないと思う。だが王家の事を完全に信用しているのは危険であるから計画は継続したままの方が良いだろう」
「そうですね。それと念のためリーサオーラ令嬢やラミーユ令嬢と極力一緒にいてアリバイ作りはしていこう。」
「はい。解りました」
「あの二人はエマの秘密をどこまで知っているんだい」
「今回のソフィア令嬢の件で私の様子がおかしい事に気付かれまして問い詰められ夢の話を致しました。また、リーサオーラ令嬢は私と同じように前世の記憶があるようで、私の発明が懐かしい物ばかりであったことで直ぐに気付かれていたようです」
「そうか。リーサオーラ令嬢もか。それでもエマには悪いが3つ目の秘密は明かさない方がいい」
「はい」
「あっちの方も上手くいっているようだね」
「はい。獣人族やドワーフと友好を結べるようになってから一気に進むようになりました」
「私の方もいつ事が起きてもいいように準備万端だよ」
「私の方も大丈夫よエマちゃん」
「はい。カディア王国やグレイス領の協力は凄く助かってます」
「今回、話を聞かなかったこととして王家に抗議のふりでもしておこうかな」
ー テキサル領主館 ー
「どういう事だ!王家は私達を馬鹿にしているのか?」
テキサル領主ジョージア侯爵は怒りを露にした。
ラミーユは王家より内密にするよう言われているため父に『グロレンス男爵家のご令嬢が婚約者候補に加わった』としか説明が出来なかった。
だからジョージア侯爵が怒るのも仕方がない。
今時期に婚約者候補を一人加えるとなれば誰もがそのご令嬢が本命だと思われても仕方がない。それが男爵家のご令嬢となれば侯爵家の面子が丸潰れである。
「こんな侮辱許されるものか!婚約者候補も辞退だ!」
「嫌ですわお父様。エマさんやラミさんが辞退しない限り私も辞退したくありませんわ」
「どうしたラミーユ。グレイス侯爵のご子息エニス殿はまだ婚約者がいないそうだ。今回辞退したら再度申し込もうと思っていたのだが」
「本当ですの!でも・・・まだお二方と一緒にいたいですわ」
「解った。グレイス侯爵家やエリュード公爵家と相談しよう。だがラミーユ、このタイミングで加わると言うことは既に殿下のお心は決まったと思われる。特に世間はそういった目でおまえ達見るようになることを忘れるな」
「はい。解っていますわ」
ー エリュード領主館 ー
リーサオーラも王家より他に伝えても良いとされた部分のみを父エドモンドに話した。
「なるほど、このタイミングとなると王家で何かあったか・・・取りあえずは『見』でいいであろう」
「はい。私も他のお二方が辞退しない限り候補者として継続したいと思っております」
「解った。だが、今まではいかにグレイスご令嬢が優秀であったとしても公爵家として有利にあったがこのタイミングでの候補者の追加だ。もしもの時の為にも彼にも話をしておこうと思う」
「ありがとうございます」
「ただ、これから世間からやな視線や噂がお前を襲うだろう。
耐える事が辛かったら私にいいなさい」
「大丈夫ですわ。私には見方がおりますから」
そして、世間に婚約者候補が1名加わった事が知らされる事となった。
グロレンス男爵家のご令嬢ソフィア・グロレンスという名と共に。
ー グロレンス男爵家 ー
「お前の所の娘が婚約者候補になったみたいだな」
「ええ。あの王子も単純で助かりました。娘に男が喜ぶような言葉や仕草など仕込んでおりましたが、こんなにも簡単に行くとは思いませんでした」
「聖国と交流断然されてしまった時や大臣達が処刑された時はどうなるものかと思ったが問題ない。レオナルド皇太子もまさか身近に裏切り者がいるとは思わないだろう。」
「それにしても、まさか聖国と人間との区別がつく魔道具が出来るとは思いもしませんでしたから。あのエマ令嬢が一番の邪魔者となるかもしれませんね」
「あの娘か。更に邪魔するようなら排除するだけだ」
「ソフィア!」
「はい。お父様」
「学園に通うようになったらエマという小娘を陥れて殿下との婚約を破棄させろ!他の二人も巻き込んでも構わん!」
「はい。お父様」
「これで、アメリア国は私の物になる」
ー グレイス領主館でのお茶会 ー
「凄い美味しいですこのお茶♪」
「・・・」
「グレイス領は自然が沢山あって素敵ですわ」
「・・・」
「でも最先端の都市エリイスも近くにあるのですよね?いつか行ってみたいです」
「・・・」
「あっ!グレサルの温泉も行ってみたいですわ」
「・・・」
「ミナカのカレーも魅力ですよね」
「・・・」
グレイス領で久しぶりに三人でお茶会をしていた。そのお茶会に数刻前より姿を現したのはソフィア令嬢であった。
エマは驚きをを隠せず『えっ!ソフィア令嬢』と声を出してしまった。
招待していないのに来るなんて流石はソフィア令嬢である。
「何でソフィア令嬢がおりますの?」
「えー、今日お茶会をするって聞きまして来ちゃいました。同じ婚約者ですし仲良くして下さい」
「グロレンス男爵家って確か南部の方でしたわよね。確か聖国の近くだったかと」
そうグロレンス男爵家は聖国との橋の出入口にある街の代官である。
グロレンス男爵家の街は現在出入りが制限されている。
「そうなんです。父が納める街は王家により強いたげられておりましてグロレンスの民は可愛そうな状況ですわ」
「ソフィアさん、貴方も婚約者候補なら王家の悪口は良くないのでは?」
「心配して頂きありがとうございます。でも大丈夫だと思いますよ。私を婚約者候補にしたのはレオナルド様ですもの」
「・・・」
「貴方、演技が上手ですわね」
「・・・。お褒めの言葉として受け取っておきます」
【エマ・グレイス】
13歳 女性 Lv90
職業 〖伯爵〗 適応魔法 闇
体力 560 魔力 420
力 240 守 102 速 122 知 410
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv6 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪 Lv6 拳豪Lv10 拳神Lv5
スキル 〖浮遊 Lv20〗〖収納 Lv20〗〖空間移動Lv9〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv5〗
魔法ギルド プラチナランク
商業ギルド AAランク
冒険者ギルド Aランク
エマ商会 58店舗




