3.えっ!婚約
夢の中では皇太子の誕生日パーティーで刃物を持った暴漢から皇太子の変わりに怪我をしてしまったエマの所にレオナルド皇太子が来られた。それから傷物にしてしまった事への謝罪として将来の事を思い婚約を申し込まれる。
傷が癒え目を覚ましたエマに婚約の話をすると驚きリナと抱き合いながら喜んでいた。これが死へのカウントダウンとは知らずに。
ただ、今は前世の記憶のお陰で渾身の正拳突きが極りケガすることはなかった。もしかしたら運命が変わるかも・・・
「エマ様、右手の方は大丈夫なのか?」
「はい。何でもありません」
「エマちゃん・・・」
(何だこの会話は)
「先程、リナに伝えたのだが本日の午後にレオナルド皇太子が来られるから支度しておくように」
「はい、リナより聞いております」
「エマちゃん、心配しなくてもいいのよ。いざという時は御姉様に相談してカディア王国で良い人を見つけて貰うから」
母マリアはカディア王国出身である。由緒正しき公爵家出身でしかも母の姉は現カディア王国王妃である。
母の美貌や地位からすると引く手数多だったと思うが何故グレイス領に来たのか不思議に思う。
確かに父ゼニスは整った顔をしているがこんな貧乏で田舎の領地にワザワザ来なくてもと思ったのだが、母曰く恋愛結婚で母の両親にはやはり反対されていたらしい。
「お母様もお体大丈夫でしょうか?昨日はご迷惑をお掛けしてすみませんでした」
「ちょっとショックで気を失っただけでどこもケガしてないから大丈夫よ。私こそ皆に迷惑を掛けて申し訳なかったわ」
「ルーブル兄さん、あの後はどうなったのですか?」
「あの後かい?さすが王妃様だよ。何事もなかったかのように無事にパーティーは終ったよ」
「ルーブルお兄様にもご迷惑お掛けしてすみませんでした」
「大丈夫だよ。逆に数日寝込んだと聞いて心配したけど、変わらず元気で良かったよ」
「確かに・・・そうだわ。あんなに苦しそうにしていたエマちゃんよりも元気なエマちゃんの方が良いわね」
「ああ、手も直ぐに浄化した事だし問題ないだろう」
「父上、エマは何か勲章を貰えるのでしょうか」
「暴漢を倒し皇太子を危険から守ったのだから後で城に呼ばれるかもしれない」
ゼニスの言葉に昨日何が起きたのかが解り、執事お始め控えていた使用人達が驚きを隠せないでいた。
急所に一撃入れた事を知れば更に驚いた事でしょう。
「お城にですか・・・」
「あまり先の事を心配しても仕方がない。先ずは今日のレオナルド皇太子様にご迷惑を掛けないようにしなさい」
「はい。解りました」
「それと領地に戻ったら家庭教師をエマにも着けようかと思うの」
「はい」
「この件で、エマが責められる事はないから安心しなさ
い。ただ、淑女としては褒められた行動ではなかった事は解るな?」
「はい」
朝食も終わり皇太子が来るまで部屋の中で待機しようかと思い部屋に向かっていた。
「まさか、エマ様が倒されたのですね」
「思わずね」
「それで初めて見た皇太子様はどんな人でしたか?」
「女たらしで嫌なヤツです」
「コラッ!ロイ」
(あれ?ロイってレオナルド皇太子に会ったことあったかしら?)
「私も午後のために気合いを入れないと!」
(わ~リナがなんか燃えてるわ~。ま~今回は何処も怪我してないし夢の中の出来事を変える事ができると解ったわ。これから部屋で2年後の対策を考えましょ)
※※※※※
「グレイス嬢、先日は暴漢より危険を省みず我が身を守
って頂きありがとうございます」
「いえいえ、自分も襲われると思って思わず手が出てし
まっただけですので」
「ところでグレイス嬢はどなたか好きなご令息はおられるのですか?」
「はい!?」
「突然にすみません。先日の暴漢を倒せれましたお姿があまりにも素敵でしたので・・・」
「「「えっ!!」」」
私も含め控えていたリナやロイ、護衛の騎士達が驚きぐ隠せず思わず声がハモってしまった。
「あっ!ごめんね変な事を言って」
「いいえ」
「でも、白糸のように煌めく髪がフワリとなびかせた姿はあまりにも綺麗だったよ」
髪・・・
前世の記憶が甦って最初に気になったのが髪であった。
この世界には洗髪剤がないため髪がベトついて仕方がないかった。なので、エマは邸にある材料で簡易シャンプーとリンスを作ったところ今では家族全員が使っている。
「ありがとうございます」
「先日まで病で伏されていた聞いていたのだけど、ましてやその細き腕から流れるような見事な体の動き、そして・・・全ての動きがまるで天女の舞いのようだった」
「はい!?」
どうやら、あの出来事によりレオナルド皇太子はエマに惚れてしまったらしい。呆気にとられ暫く呆けていたが、慌てて我に返ってころ、レオナルド皇太子から驚く言葉が伝えられた。
「レオナルド様?先日の件では男性の皆様は興醒めされていたようでしたが・・・」
「興醒めなんてとんでもない。僕はエマ嬢と婚約したいとも考えたいるのに」
「「「えっ!婚約」」」
また、皆と声がハモってしまった。
(えっ!ゲガしてないのに。修正が掛かり未来は変えられないって事?ヤバい!ここは不敬罪覚悟で断らないと)
「先日の件で私のような者を選ばれますとレオナルド様の評判にも影響してくるかと・・・」
「大丈夫。僕の評判は高過ぎるから少し落とした方が助かるよ」
「でも、こんな野蛮な令嬢では他の貴族が黙っていないと思いますので・・・」
「その為にこれから家庭教師に教えて貰うんだよね」
「・・・・」
「僕はエマ嬢の事を愛してる。僕の気持ちを信じて欲しい。君を生涯守ると誓うよ」
レオナルド皇太子は言葉と共にエマを見つめながらエマの手を握ってきた。
後ろに控えているロイから物凄い殺気と共に舌打ちが聞こえたのは気のせいだろう。
(ちょっと、何で8歳の子供に私照れているのよ)
握っていたエマの手をレオナルド自身の方へ持っていき手の甲に軽くキスをした。
(どどどどどどどど、どうしましょ〰️〰️〰️!!!!)
「う、嬉しいです。で、ですが『婚約』というのがまだ想像も出来なくて・・・
あの・・・
『婚約候補』という事でどうでしょうか?
もしかしたらお互いに大人になったら気持ちが変わるかもしらないですし・・・」
「お互いに!?」
「わ、私の方からお嫌いになることもありません!破棄することもありません!!」
「突然でエマ嬢を驚かしてしまったね。それでは私の『婚約者候補』になって貰えないだろうか」
「はい、喜んで。こちらこそ宜しくお願い致します」
(大丈夫よね。あくまでも『婚約者候補』出し、夢の中とは違い今回は皇太子が惚れてくれているし・・・)
(だからロイ、そんな怖い顔しないで。貴方の殺気で護衛の人達も剣に手を掛けてるし)
「それじゃ、これ以上エマ嬢を困らせたくないから今日
はここで帰るとするね」
「あ、はい」
※※※※※
グレイス領は王都まで一月程掛かるため、王城に呼ばれる可能性があるエマと領主ゼニスは領事館に残り母マリアと兄エニスはグレイス領に戻っていた。
そして事件から数日後に登城するよう書簡が届く。
※※※※※
「この度は私ごときのために時間を割いて頂き至極感謝申し上げ致します」
「突然の呼び出し申し訳ない」
「いえ」
「グレイス侯爵家長女エマ嬢には、此度我が息子を身を
呈して守ってくれたことにありがたく感じている。
此度の武勇に対し準男爵位を授けるとする」
8歳の子供に準男爵・・・
違令中の違令だけど、どうせ嫁ぐ時になくなる爵位だから誰も反対しなかったのだろう。
「有り難く頂戴致します」
「また、ご令嬢の体に傷が一つなくて良かったのだが、この武勇伝は多くの貴族にしれ渡り、エマ嬢の嫁ぎ先など将来に大きな傷を与えてしまった事を忍びなく感じている」
(えっ、そっちも傷者ですか)
「良い策はないか考えていたところ息子より申し出がありエマ嬢には我が息子レオナルドの『婚約者候補筆頭』にと考えている」
(筆頭ですってーーーー!!!!!)
【エマ・グレイス】
8歳 女性 Lv2
職業 〖貴族〗 適応魔法 闇
体力 30
魔力 30
力 8
守 3
速 3
知 20
火 Lv0
水 Lv0
風 Lv0
土 Lv0
光 Lv0
闇 Lv0
剣 Lv1
槍 Lv1
斧 Lv1
弓 Lv1
鞭 Lv1
拳 Lv10
スキル 〖浮遊〗〖収納〗
称号 〖アメージアの祝福〗