29.えっ!スライムの進化!?
レオナルド皇太子と相談したところ、一度〔伝書鳥〕でアメリア王に連絡する事にした。
おおよそであるがエルフ国とドワーフ国との友好は結べる事になる。また、戻る時間を考えると契約期間である1月となる。天帝と私達は契約延長を了承しているが王家への報告と追加経費の承認が必要であった。。
承認が得られるまでドワーフ国に滞在させて貰い、ワーモグラにはエルフ王への報告お願いしてここでお別れをしワーモグラの洞穴までドワーフ兵が送って来るれる事になった。
数日後、王家より追加経費の承認が得られた。
その間にドワーフ王より獣人王へ連絡をして頂いていた。また、紹介状まで書いて頂いたのでお礼をするとドワーフ王より「礼を申すのは私達の方だ。久方ぶりにリューグナーに会おうと思う」と逆にお礼を言われてしまった。
さて、次は獣人国である。
獣人国は広大でアメリア国の数倍以上はある。
獣王の城はかなり奥にあるためエマの『浮遊』で飛んで行く事にした。ドワーフ王より「旅の者達は空を飛ぶぞ」と知らしてくれてあるらしいので問題は起きないと思うが念のため警戒をしていると遠方より飛行して近付いて来る団体があった。
「天狗ね。烏の進化よ。安心して大丈夫だと思うけど念のため警戒は解かないで」
徐々に近付くにつれ姿が明らかなってきた。全身は黒く人の顔のようであるが口は嘴になっている。凡そ1000体はいる天狗達は黒い翼をはばたかせながら話掛けてきた。
「お主が話であったアメリア人か。空を飛べるとは昔からお前らの行動は突飛過ぎるな」
「昔から?」
「まー良い。アメリア人なら危害を加える事はない。先へ行かれるが良い」
天狗達の言葉には何か引っ掛かるものがあるが私達は警戒をしながら更に奥へと進んだ。
暫くすると王城らしきものが見えてきた。なんか禍々しい佇まいである。
「ハーミーさん、獣王様って何の進化なのですか?」
「ふふ。驚かないでね。魔物よ」
「えっ!魔物!?」
「驚いた?」
「私達、魔物の討伐とかしていますが大丈夫でしょうか?」
「あら、貴方だってお猿さんを狩るでしょ。どの人種も同じよ。言葉が通じない進化前の生き物は同族とは思っていないわ。寧ろオークに『豚は食べてはいけないのか』なんて言ったら最大の侮辱になるから気を着けてね」
城門前で降りると門番の一人が近付いてきた。
レオナルドが謁見の申し出を行うと門番が暫く黙る。暫くすると王より許可が降りたと謁見室まで案内してくれるようになった。
「早くないですか?どうやって許可をとられたのでしょう?」
「獣人族は同じ種族ならテレパシーで伝達できるのよ」
(へぇー便利ね。その能力を魔石に抽出出来れば・・・)
私が考え事をしていると謁見室に着いたようであった。
「良くきたなスライムの子らよ」
「スライムの子?」
「なんだ、忘れてしまったのか?お主らアメリア人はスライムの進化であろう」
「えっ!スライムの進化!?」
衝撃的な事を告げなれた。
だが、だからだろう。エルフやドワーフや獣人達がアメリア人が解るのは同じ獣人族であったからだ。
衝撃的な事実を告げられた私達は言葉を失う。
「正確に言えば『アメージアの祝福』により人にして貰ったスライムの子孫だ。だから私達のように長い年月を掛け少しずつ進化したのとは違うがな」
「ショックだった?古い話では貴方達先祖とエルフとドワーフと獣人が一緒に旅をして人間族と和平を結んだそうよ。でも一部不満に思っている者達が反乱を起こし先祖達に奇襲を掛けたそうなんだけど、神鳥アメージアが大地を切り裂き人間の侵入を阻止したそうよ」
「なぜ『神木の橋』があるのですか?」
「あれは『スライム砲』よ」
「スライム砲?」
「神木の中をくり貫いてスライムの溶液を溜め込んだ後に風魔法で勢い良く発射させたそうよ。勢い良く飛び出たスライムの溶液を浴びた部分が溶かされ劣勢となった悪しき人間達は降参したとされているわ。その後、西側の人間が悪しき人間を攻め悪しき人間達は南東の奥地に逃げ込んだ。其がアメジア聖国の場所よ」
「・・・」
歴史として語られていなかった部分が簡単に語られた事に言葉が出なくなった。
衝撃な事実を告げられた事により謁見室であった事を忘れ獣王を無視して話し合っていた事に気付かなかった。
「もういいかな?」
痺れを切らした獣王から言葉を発せられ自分達が何処にいるのかを気付き出した。
「取り乱してしまい申し訳ない。礼儀を欠いた行動をとってしまい恥ずかしい限りです」
「問題ない。で、何しにきた?」
「アメリア国と獣人族との友好を結びたく伺った所存です」
「いいだろう。アメリア人の入国を許そう。また、アメリア国との資源の交流も図る事も許す。但し、アメリア人以外の我が国への入国は許さんし、我が民もアメリアに入国はしない」
「なぜでしょうか?」
「我が民が解るのは『アメリア人』と『人間』の違いだけだ。カディア王国の民には申し訳ないが『カディア人』と『聖国の人間』の違いが解らん以上アメリア人以外の入国を許す事は出来ない。また、アメリア国内に聖国の者が何処にいるか解らないため我が民を危険に晒すわけにもいかん。獣人族がアメリア国に行くには『神木の橋』を燃やし破棄せよ」
獣王の意見は最もであった。
レオナルドは獣王グリムドールに許可を得て魔道具〔伝書鳥〕をガルディア王に飛ばした。
返事が来るまで時間がかかるため今日は獣人国に泊めさせて貰うことにした。
また、宴の席も儲けて下さり皆で参加する事にした。
「グリムドール殿、我が父より返信が届きましたところ『神木を燃やすのは難しい』とのことです。獣人族の人達のご意志に答えられず申し訳ございません」
「あー構わん。無理はするな。強く出て攻撃されるのはお前達だ。獣人国は広い。無理して国から出ようとはしないから気にするな」
「そのように言って頂き有り難き限りです」
食事を楽しんでいるとリナがフッと疑問に思った事を口にした。
「あれ、ロイさんもアメリア人なのですか?」
「その子は多分ハーフじゃないかしら。エマさんもハーフみたいだし。カディア王国民は半分がハーフよ」
「聖国とのハーフの場合区別着かないのでは?」
「確か古い本に書いてあったわ。悪しき民はアメージアの呪いによりアメリア人との間に子が作れないようにしたと」
宴の場ではアメリア国では消え去られた歴史が語られたため、一つ一つが驚きであった。
アメリア人の祖先であるスライムは獣人国出身だったこと、最下層の下僕であったが勇者を度々倒し四天王まで上り積めた事などである。
また、獣人国の王をかつて魔王として人間達と争っていた。その争いをなくしたのがアメリア国先祖のスライムらしい。
次の日、レオナルド一行は獣王に挨拶をするとエルフ王に会いに向かった。
エルフ国に戻るとマッケンフィールド家の処分は下されており、ハーミーさんにマッケンフィールドの領地を継いで欲しいと告げられる。
天帝の皆と話し合う必要があると言って返事をしなかったが、ハーミーさんの中では何処か覚悟を決めているかのように思えた。
そして無事にアメリア王国に戻ることが出来た。
「天帝の皆さん、エマ達、此度の王命による調査は本日をもって終了とする。報酬について後にギルドへ振込む事となるが此度の調査の収穫は想像以上のものになった。ついては臨時報酬も検討している。調査に協力して頂き感謝している」
レオナルドの解散の命により天帝の人達と別れた。
私達も魔道モーターが到着する時間となったためレオナルドと別れの挨拶をしてグレイス領に帰った。
【エマ・グレイス】
12歳 女性 Lv72
職業 〖男爵〗 適応魔法 闇
体力 470 魔力 365
力 200 守 85 速 100 知 350
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv5 槍 Lv1 斧 Lv1 弓Lv10 鞭 Lv1 拳Lv10 弓豪 Lv3 拳豪Lv10 拳神Lv1
スキル 〖浮遊 Lv17〗〖収納 Lv17〗〖空間移動Lv7〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv3〗
魔法ギルド ゴールドランク
商業ギルド Aランク
冒険者ギルド Bランク
エマ商会 25店舗




