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2.えっ!皇太子が

小見川(こみがわ) (かえで)

空手道場の館長を父に持ち、普段から護身術として父か

ら空手を習っていた。

大学生の時は○リン○ックの代表選考会の準決勝進出と

結構いいところまで行った。

大学卒業後は、地元の農業をサポートする団体職員に就

職しつつ日々の運動として就職後も父と一緒に護身術と

して稽古を続けていた。

そう、荷崩れした荷物の下敷きになり楓としての人生を

閉じる事となったその日の朝まで続けていた。

それは反射的に対応出来るくらい毎日・・・


※※※※※


刃物を持ってレオナルド皇太子の元へと給任の格好をした暴漢が駆け出した。暴漢と皇太子の間にいた私は、前世の記憶によって条件反射により近づく刃物の腕を左手で絡め取りながらかわし、渾身の『正拳突き』を喰らわした。

エマはまだ8歳の子供。しかも女の子。男との身長差は

かなりあった。だから仕方がない。丁度、拳を出した所が『そこ』だった。

暴漢から何かが潰れたよう音がした。その後、この世のものとは思えない激しい痛みと、下腹部を襲う何とも言えない気持ち悪さに、変な汗をかきながら前のめりに倒れる暴漢がいる。

その光景を見たエマの母親も後ろ方向に倒れそうになる

が、一番上の兄が即座に支え事なきを得た。


「・・・・」


どれだけ止まっていたのだろうか。

皆が恐らく脂汗をかきながら股間を抑えている暴漢を見つめていた。

大人の男性は何故か自分の股間を抑え暴漢を哀れんでいるように見える。ご婦人は扇子で口元をかくし顔を赤らんで見つめていた。

子供達は大人の様子が可笑しい事に気付き戸惑っている。また、子供の目を隠す親達もいた。

どのくらい時が止まっていたであろうか?もしかしたら1秒にも充たない静寂だったかもしれない。

本来なら皇太子を狙った男がいるのだから衛兵くらいは素早く動かなくては行けない。だが、この光景を見て皆が頭の中の情報処理が忙しく時を動かせなくなっていた。

エマも前世でも経験する事が出来ないほどの会心の正拳突きであったことと拳に感じた奇妙な感触、空気的に何かやってしまった感で硬直状態でいる。


「な、何をしておる!早く捕らえよ!」


さすがは王妃様だ。この場で一番最初に時を動かした。

当事者であるエマは正拳突きのポーズのまま時が止まった状態だというのに。

王妃の一声で衛兵が我に返り慌てて変な汗をかきながら体を震わせて倒れている男を取り押さえた。

エマもこの場をどうしようと悩んでいたところ父ゼニスがエマに掛けよられた事で時が動き出した。


「王妃様、申し訳ございません。妻のマリアの体調が悪いため家族共々我が館に帰らせ頂きたい」


「うむ。許可します。ただし、幾つか聞かなくては行けない事があるため領事館で待つように」


「ご配慮ありがたく存じます」


父ゼニスが頭を深々と下げ申し出ると、王妃より許可を得られたため、ゼニスはエマを連れ会場を後にする。母マリアを支えていた兄ルーブルは次男エニスと共に同じく馬車へと向かい母マリアと弟のエニスを馬車に乗せた。


「父上、私は会場の対応したいと思います」 


「すまないルーブル、私達は先に領事館に戻らせて貰う」


兄ルーブルを置いて馬車が動き出す。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・」


馬車の中は沈黙が続いた。

だが、エマはふと思った。


(夢の中と同じ・・・

えっ!私処刑されるの?何もしてないのに!?

あれ?でも私ケガしてない・・・

夢の出来事を変える事が出来る・・・)


こうしてエマには1つ目の秘密〖前世の記憶〗、2つ目の秘密〖夢の記憶〗を持つこととなった。


※※※※※


ゼニスは思う。


(エマが悪い訳ではない。むしろ、エマの行動がなければエマだけではなく皇太子に被害が出ていたかもしれな

い。その事を考えるとエマの行動は誉められるべきなのだが、何せ当たりどころが悪かった。

皇太子の誕生日パーティーだ。各国の来賓や同じ年代のご令息やご令嬢が集まった中で暴漢を返り討ちにしてしまった。

そんな野蛮な令嬢など・・・

いや、そうでない。そうでなくてもアレを潰した令嬢として貴族中に広がる事は確実である。

そうなるとエマの将来は暗い。アレを潰した令嬢と友達や婚約したいと思う者などいるわけがない。

そして・・・私の可愛いエマが瀆されてしまった。

あの、暴漢を私の手で殺せないだろうか?いや、先ずはエマの『手』を清めないと!)


「エマ」


「は、はい」


「帰ったら、すぐに手を洗いなさい。」


「「はい!?」」


私だけだなく兄も父の言葉に驚いた。


※※※※※


馬車がグレイス領事館に着く。

予定より早い到着に執事ゼバスが掛け寄ると意識がなく項垂れた侯爵婦人を見て急いで数名の侍女を呼び母マリアを馬車から降ろした。


「奥様!」


ゼバスが呼び掛けても意識を戻す事がないマリアを侍女達に運ばせ母の部屋に休ませる事にした。

皆が侯爵夫人で動揺している中で父ゼニスが使用人達に指示を出した。


「エマの手が穢れてしまった。早く洗浄してくれ。念入りにだ」


(えっ!穢れてた?)


エマだけでなく使用人達も何を言っているか解らない。だが、リナは指示と共にエマに駆け寄り直ぐに浴室へと向かった。


「エマ様、どう致しました?侯爵様より『念入り』に手を洗うよう言われたのですが毒か何か触られたのでしょうか?」


「いや、ちょっと『感触』が・・・」


何処からどう見ても綺麗なエマの手をリナは忠実洗う。侯爵より『念入りに』と言われたので聖水も振り掛けた。

因みに聖水は1本1PG(プラチナ金貨)とかなり高価な物であった。


(そこまでしなくても・・・)


エマが手を浄化し終わる頃に王家直属の衛兵が訪ねて来られた。幾つか伺いたい事があるらしい。

父とエマは応接間で衛兵の質問に答える。答えると言っても『夢で見た』など誰が信じてくれるか解らないし、下手したら侮辱罪で捕まるのも嫌なので『懐から刃物みたいなのが見えた』と説明し正拳突きについてはグレイス騎士より護身術を習っていたと説明した。(これについては本当の事である)

このような簡単な質問が終わり、最後に皇太子を守った 事への謝辞の言葉を頂き衛兵が帰られた。


「エマ、手は洗ったか?」


「はい。聖水まで掛けて頂きました」


「なるほど」


ここまでしなくてもと思うも父ゼニスは逆にリナを褒めた。


「今日はもう寝なさい。そして忘れなさい」


「はい。お休みなさいませお父様」


父に挨拶を済ませ部屋を出ると兄エニスが待ち構えていた。


「たく、何かやらかすのではないかと思っていたけど、流石に僕も予想着かなかったよ」


笑いを堪えながら兄が話し掛けてくる。


「私も驚いております」


「エマ様、ケガはない?」


「エニスお兄様、大丈夫です」


「ですが、ゼニス様は『穢れた』と言ってましたけどね」


ロイの言葉に兄エニスは再び笑いを堪え始めた。

よし、兄はほっておこうと思ったエマは部屋に向かう事にした。


「何があったのです?」


「ごめんね。リナ。エマも色々あり疲れているだろうから今日は寝かせてあげて」


「あ、はい。すみませんでした」


エマは部屋に入ると直ぐにベッドに入った。


(ここまで夢の中の状況と同じって事は私って20歳で死ぬってこと?でも、全く同じ出はないから行動帰れば運命も変わるってこと?なら2年後のあの出来事も・・・

ああー色々な事が起きて眠れそうにないわ)


5分後・・・

エマは熟睡していた。


※※※※※


「エマ様、良く眠れましたか?」


「ええ」


(驚いたは私、思いっきり熟睡してしまった。寝すぎてスッキリね。手の感触も・・・残ってるわね。)


「エマ様、本日の午後に皇太子様が来られるそうですよ」


「えっ!皇太子様が!?」


「はい。先程、侯爵様からお伝え頂きました。何だかお礼がしたいそうなのですが何があったのですか?」


「暴漢に襲われたのよ」


「えっ!」


(取りあえず、朝食食べながらお父様からお話を聞きましょ。)

【エマ・グレイス】


8歳 女性 Lv2 


職業 〖貴族〗 適応魔法 闇


体力 30


魔力 30


力  8


守  3


速  3


知  20


火 Lv0


水 Lv0


風 Lv0


土 Lv0


光 Lv0


闇 Lv0




剣 Lv1


槍 Lv1


斧 Lv1


弓 Lv1


鞭 Lv1


拳 Lv10


スキル 〖浮遊〗〖収納〗


称号 〖アメージアの祝福〗


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