16.えっ!温泉
月日が経ちラミーユ令嬢の強は・・・熱意が通じテキサルとグレイスの街道の開拓が行われもう少しで完成しようかと言うところまで来ていた。
「お兄様、リーサオーラ様から兄弟も含めたお茶会をしたいと申し出がありましてどう致しましょうか?」
「兄弟も?」
「はい。テキサル領との街道も完成間近ですので三つの領地のご子息ご令嬢の皆でお茶会をと提案されました」
「へぇ、其は面白い。父上、それでしたら三領繋ぐ街道の完成祝いに我が領に皆を招待するのはどうでしょうか?」
「良いアイデアなのだが、恥ずかしい事に我が領でパーティーと言うモノを開いた事がないので、準備やらが何も解らんのだ」
確かにエリュードとの街道が出来るまでは近隣の領地がないためパーティーどころかお茶会を開く事もなかった。
「あら私がいるじゃないですか。カディア王国にいた頃は何回もパーティーを開いておりましたから大丈夫ですよ」
「すまないがマリア頼めるか?」
「任せて頂戴。エマちゃんはどんなパーティーにしたい?」
「実は私も1つ提案があります」
こうして三領を繋ぐ街道の完成を祝いをグレイス領にてパーティーを拓く事にした。
母マリア指導のもと招待客のリスト作成や文書を作成しアメリア内の各貴族や王家に届けられた。
ー パーティー当日 ー
「本日、お集まり頂きありがとうございます。本日、進行を務めさせて頂きますグレイス家執事のチャンと申します。不馴れな進行でご迷惑をお掛けするかもしれませんが宜しくお願い致します。それでは、只今より三領を結ぶ街道開通を祝うパーティーを開催したいと思います。先ず最初にアメリア国代表としましてレオナルド皇太子よりお言葉を頂きたいと思います」
「まず最初に折角お招き頂いたのですが父と母がどうしても外せないようがあるため本日は私だけの参加となってしまい誠に申し訳ないと思っています。
この度は三領繋ぐ街道によりエリュード・グレイス・テキサルの三領が更なる発展をしていくモノと思われます。この三領の明るい未来を願い挨拶とさせて頂きたいと思います。また、今パーティーの主役は三領にありますので私の事は気になさらず主役の者達を祝って頂けたらと思っております」
王都からここまで約1ヶ月かかってしまう。そりゃ王・王妃はこれないよね。
「ありがとうございます。パーティーに移る前にテキサル・グレイス間の新街道を利用した新事業の計画を発表したいと思います」
『新事業の計画』と言う言葉に参加していた貴族達が一斉にざわめき出した。暫くするとざわめきが小さくなったので進行役のチャンが再び喋り始めた。
「それでは新事業のご説明を行いたいと思います。テキサルとグレイスの街道途中に地中から熱湯が出ている場所を発見致しました。これを利用してここに温泉街を開拓したいと思います」
「えっ!温泉!?」
「温泉とは天然のお風呂で御座います。また、その温泉を名物と致します『温泉饅頭』『温泉玉子』などその街ならではの食べ物をエマ商会が開発しております。尚、本日のパーティーに先程お話致しました『温泉饅頭』『温泉玉子』を用意しておりますのでパーティーの時にはお召しになって頂きたいと思います」
「それではお待たせして申し訳御座いませんでした。三領繋ぐ街道開通の記念パーティーを開催したいと思います。尚、本日のパーティーのテーマは『お祭り』でグレイス侯爵ご令嬢エマ・グレイス男爵が営んでおりますエマ商会の様々な店舗を用意しておりますのでお楽しみ下さい」
司会のチャンが手を上げるもカーテンが開き、様々な屋台が置かれていた。
『焼き鳥』『焼そば』『お好み焼き』『唐揚げ』など縁日ならではな食べ物の他に『天麩羅』『ステーキ』『ローストビーフ』など貴族ならではの屋台も並んでいた。
また、別の一角には『かき氷』『クレープ』『綿菓子』などのデザートの屋台が並んでいる。
そして通常のパーティーにはない『射的』『輪投げ』『ヨーヨー釣り』『くじ引き』などの娯楽も用意されていた。
「エマ様!」
「ど、どうしましたかリサさん」
エマはリーサオーラに呼ばれ振り返ると涙を流すリーサオーラを見て慌ててハンカチを彼女に手渡した。
「ありがとうございますわ。何もかもお懐かしく今日は朝まで楽しみたいですわ」
「そういって頂いて嬉しいです。これ等の屋台は温泉街の一角に『屋台通り』を作ろうかと思っています」
「屋台街ですの?楽しみですわ」
「ある程度完成しましたら三人で行きませんか?」
「本当ですの!楽しみですわ」
「おや?そこは兄弟皆で行くのではないのかな?」
「エ、エニス様!」
「勘弁して下さいエニス様。妹は皇太子の婚約者候補なのですから、あらぬ噂がたってしまっては困ります」
「此はカイン殿。すみません。ラミーユさんが余りにも可愛かったので、つい誘惑に負けてしまいそうでした」
「えっ!えっ!」
「だから、困ります」
「すみません。ラミーユ令嬢を見ていると昔のエマを思い出してしまいまして」
「お兄様・・・」
「ラミーユ令嬢、ご無礼をすみませんでした」
「だ、大丈夫ですわ」
「リーサオーラ令嬢もご健勝のことと、此からも妹の事宜しくお願い致します」
「ふふ、大丈夫ですわよ。私達、婚約者候補としてライバルですが親友でもありますのよ」
「そうですね。ラミ様やリサ様との話は楽しくて仕方がありません」
「う、嬉しいですわ」
「ところで、三領地兄弟皆で話会おうという事でしたが兄君はどこですか?」
「お兄様は、あそこでルーブル様との話で盛り上がっておりますわ」
パーティーが盛上っているなかで、いよいよ目玉イベントの時間となった。
「えー、楽しまれているところ申し訳ございません。本日のメイン食材である『マグロ』の解体ショーを行いたいと思います」
司会のチャンによって紹介された先には巨大な生魚が置かれていた。そしてまるで刀のような料理包丁を持っていたのはロックである。
流石は刀マニアと思わせるような滑らかな捌きによってマグロが次々と解体されていった。
「こちらの『マグロ』はグレイス侯爵夫人のご実家から魔道具〔冷凍庫〕により冷凍輸送致しましたので鮮度もよく生で食べる事が出来ます」
「生魚!?」と貴族の皆が警戒し始めた。それも仕方がない。アメリア国は内陸国で海がないため魚を生で食べる風習がない。そのため誰も手が伸びない状態が続くかと思われた。
この空気を変えたのがリーサオーラである。
リーサオーラからすれば懐かしいお刺身であったため、何の躊躇いもなくトロ、中トロ、大トロ、中落ちとそれぞれの部位を1つずつ食べる。
そのあまりにも美味しく食べる姿に他の貴族達も次から次へと手を伸ばし始めた。
「エマ、素晴らしいパーティーだったよ」
「お褒め頂き嬉しいですレオナルド様」
「だけど、このようなパーティーを行われると他の者達がプレッシャーとなるだろうね」
「本当ですわ。このような真似出来ませんわ」
「こうなるとエマ商会として次に作ろうとしている物が気になって楽しみだよ」
「街道の路面整備が出来ましたらもっと早くと到着出来るようにしたいと思っております」
「エマさん、それってもしかして・・・」
「はい。『電車』もしくは『車』を作りたいと思っております。此が出来ればグレイスからエリュードまで1日かかっておりましたが此が半時もしくはもっと早く着けるようになります」
エマの爆弾発言を周りの貴族が聞き逃す訳もなく、それぞれの貴族が街道の開拓・整備に力をいれ出した。
エマ・グレイス】
10歳 女性 Lv42
職業 〖貴族〗 適応魔法 闇
体力 300 魔力 255
力 110 守 50 速 60 知 250
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv4 槍 Lv1 斧 Lv1 弓 Lv8 鞭 Lv1 拳Lv10 拳豪 Lv5
スキル 〖浮遊 Lv12〗〖収納 Lv112〗〖空間移動Lv3〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者Lv1〗
魔法ギルド シルバーランク
商業ギルド Cランク
冒険者ギルド Dランク
エマ商会 9店舗