15.えっ!どうして知ってますの?
「お父様、レオナルド皇太子とリーサオーラ様から伝書鳥が届きどちらも会って話したい事があるそうです」
「リーサオーラご令嬢も?」
「はい。レオナルド皇太子は先日の秘密の告白に対する返答かと思いますが、リーサオーラ様については心当たりがありません」
「普通にエマへの見舞いかもしれないが、もしかしらエリイスの街でトラブルが発生したかもしれないな。どちらも早急にお会いする手配をしなさい」
「はい、リサさんとは問題なければ今週中にお会いしたいと思います。レオナルド皇太子とも出来るだけ早く調整したいと思います」
「そうだね」
ー エリイスの街 ー
「リサさま、御無沙汰しております」
「聞きましたわエマ様、お茶会の帰り土砂崩れに会われたんですって」
「はい。どうにか大きい怪我なく生還出来たのですが、護衛の方や御者の方が亡くなってしまい・・・」
「ごめんなさい、エマさん。お辛いのに思い出させてしまって」
「いいえ、心配して下さりありがとうございます。この間、ラミさんにも伝書鳥を送ったのですが心配されて5回程伝書鳥が往復しました」
「あの魔道具ですわね。突然に変な鳥が飛んできて喋り出すんですもの驚きましたわ。」
「突然すみません。あの魔道具があると連絡のやり取りが早く出来ると思いまして」
「父も気にいってましたわ。これ、注文書ですわ」
「こんなにですか!ありがとうございます」
「ラミさんからも注文書が届くのではありませんか?あそこほど必須に思われますもの」
確かにテキサル領は輪国ナガンを警戒しており防御壁で国境間が塞がれている。警備塔では常にナガン国の動きを観察している。この伝承鳥があれば報連相がスムーズに行う事が出来る。
「はい。来月には街道が完成するかと思いますので、その時のお茶会でお受取りする事になってます」
「あら、それでしたら皆でお茶会にしません?」
「いいですね。完成しましたら相談致しますね」
「そうそう、折角だからご兄弟皆でしませんこと?」
「えっ!兄もですか?」
「ええ、私のお兄様もグレイス領にお伺いしたいと話してますの?」
「そうですね。それですと来週末というのは難しいかと思いますので兄と相談して日を改めたいと思います」
「良かったわ。兄も喜びますわ」
「ところで、リサさんのお話とは?」
レオナルド様との会話と違いいつも通りの会話であったが気になって仕方がない。なかなかリサさんが話して下さらないので私の方から聞いてしまった。
「あら、たいしたことではありませんわ。今回の〔伝書鳥〕でエマさんとの距離が近くなりましたでしょ、もしかしたら移動に関しても何か考えられているのかと思いまして」
(なんだそんな事ね。緊張して損したわ)
「まだ研究段階ですが完成すれば今より早くリサさんに会いに行く事が出来ます。ただ、それには橋を丈夫に作り直したりしないと。それに王都に行くには峠とか難しいところがありますので最初は領地内だけの利用になります」
「あら、大丈夫ですわよ。橋は念のため丈夫に作ってありますから。それにラミさんにもそうするように手紙で伝えてありますわ」
「そ、そうなのですね。何だか準備が早いですね」
「エマさんから褒められると嬉しいですわ。何が出来るのか楽しみですわ。『車』かしら『電車』かしら?」
「『電車』も良いのですが車・・・」
「どうなされました?」
「えっ!どうして知ってますの?」
リサさんがニコリと笑った。
私、車の話した?電車の話も。
何で知っているの?
頭の中が混乱してきた。
「私、驚きましたわ。初めてエマさんとお会いした事覚えております?婚約者候補としての顔合わせの時に『シャンプー』と『リンス』を頂きましたでしょ。
あの時思いましたの。『ああ彼女には知識があるのね』と。
だから私は急ぎましたわ。
必ず貴方はこの堪らない世界を変えて下さると信じておりましたもの。グレイス領との街道を作るのにどれだけ父や兄を説得したことか。
でも私の願った通りになりましたわ。
それにエマさんが手掛けたエリイスの街!
この街を見たとき感動致しましたわ。
だって、懐かしいモノが取り入れられて生活の不便さの殆どが改善されましたもの。ですので、今はこの街に別荘を建て住んでおりますのよ」
「リサさん、もしかして前世の記憶が・・・」
「私、前世は5歳で亡くなってしまったらしくて記憶はあるのですが知識が全くありませんでしたの。
ですから、この世界が堪らなくて仕方がありませんでしたわ。食事も物足りないし、遊ぶモノも何もないしと不満だらけでしたが知識がなくて何も変える事が出来ませんでしたが、エマさんに出会えて嬉しかったですわ」
「まさかリサさんもとは思いませんでした」
「ふふふ。驚かせて御免なさいね」
「いいえ、逆に嬉しいです」
「そういって下さると嬉しいですわ。実はお願いがありますの?」
「お願いですか?」
「私をエマ商会のメンバーに入れて下さいませんか?」
「えっ!」
「私、知識はありませんが記憶がありますでしょ。私が思うアイデアなど提供できると思いますわ。お手当てなどは入りませんわ。ただ、もっとエマさんとお近づきになって前世の記憶も含め話し合いたいの」
「そうですね。相談役としてエマ商会に入って頂くので宜しいでしょうか?」
「嬉しいわ。ありがとう♪」
リサさんの伝えたい事・・・
私にとって嬉しい知らせであった。
次はレオナルドとの話し合い。
-レオナルドとのお茶会の日-
「あの魔道具凄いね。王都から伝書鳥についての注文書を預かっているので後で見てくれるかな」
「解りました」
「・・・」
どことなくぎこちなくなってしまう。
あの話の後だ、いつもと同じように普通の世間話をしているつもりだが何処か他人行儀だ。
皇太子の護衛も何か様子が可笑しいと思っているようにこちらをチラチラと見ている。
「あの後、私はあの時の暴漢に会ってきたよ」
「えっ!」
「あの暴漢は前に私が横領の罪でクビにした事での逆恨みでの反抗かとされていたがそうではなかった。
あの者は無実の罪を着せられたのに私は気付かず裁いてしまったのだ。君の言った事は正しかったよ。私は身近の者の言葉を信じろくに調べようともしなかった」
「レオナルド様・・・」
「だが、解って欲しい。夢の中の私は愚かであったかもしれない。けれど、私は生まれ変わると誓おう。冤罪なんて起こさせない。私は絶対に君を選ぶ。だから信じて欲しい」
「レオナルド様・・・」
「約束しよう。私は絶対に君を守ると!だから・・・だから信じて欲しい」
「解りましたわ。レオナルド様を信じたいと思います」
「本当か!?」
「はい。ですが裏切ったら怖いですよ。今回の私は」
「参ったな。もしかしたら私の代で『王政』から『王妃政』なってしまうかもね」
「あら、頑張りますわ」
※※※※※
その夜、グレイス領にて会議が行われた。
「レオナルド様とのお茶会は以上の通りです」
「エマちゃんは本当に信じられるの?」
「はい。信じてみます。それに直ぐに処刑される訳でもありませんし、もし婚約破棄されても問題ありません」
「確かに今の皇太子は何も悪いことはしていないのだしね」
「そうだな。だが、もしもの事がある。だが用心にこしたことはないだろう」
エマ・グレイス】
10歳 女性 Lv38
職業 〖貴族〗 適応魔法 闇
体力 280 魔力 240
力 100 守 45 速 55 知 225
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv4 槍 Lv1 斧 Lv1 弓 Lv7 鞭 Lv1 拳Lv10 拳豪 Lv4
スキル 〖浮遊 Lv11〗〖収納 Lv11〗〖空間移動Lv2〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗〖遠島の開拓者〗
魔法ギルド シルバーランク
商業ギルド Cランク
冒険者ギルド Dランク
エマ商会 9店舗