13.えっマーダック領ですか?
10歳になったエマは人生の分岐点となる出来事が近づこうとしていた。侍女のリナがこの時のケガで2年後亡くなってしまう。
それを回避するために努力した。
スキル『浮遊』『収納』を限界までレベルを上げた。
新しいでデザートを必死に思い出しながら開発しマーダック伯爵婦人とも手紙を交わす仲までになっていた。
計画は順調である。
そして、夢の中の私は婚約者として王家とお茶会を行っていたが今回は候補者同士としてお茶会に参加している。
そう同日に・・・
「サラテーユ王妃様、本日は招待して頂きありがとうございます。レオナルド様もご健勝の事とお喜び申し上げます。こちら、商会にて新しく売り出す予定のスキンケアセットです。使用方法が紙も含め侍女の方に渡しておきます。」
「エマさん、いつも悪いわね。今度のも楽しみだわ」
「エマさんはの商会はすごいてすわ」
「そのまま商人になられても大丈夫と思うのですわ」
少し嫌みっぽくラミーユ令嬢が話しかけてきた。
「エマ嬢は商売だけでなく農地改革も素晴らしいよ」
「知ってますわ。ですけど領地改革はエニス様の尽力が、合ってこそと聞いておりますわ」
「確かに兄と父のお陰で幸せに暮らさせて頂いております」
「それにしても、まさかエリュード公爵様が本当に街道を拓かれるとは思いませんでしたわ」
「ええ。お陰でエリュード公爵領も今まで以上に賑わっておりますわ」
これは本当の事でグレイス領とエリュード領を結ぶ街道の行き来は盛んに行われており、魔道具〔温光機〕によりカディア王国との物流が冬の間も行えるようになった事により更に拍車をかけている。街道中継地のエリイスの街は最前線の町並として観光客や移住者が増え今では千人を越えるほどであった。
これによりエマは男爵へリーサオーラは準男爵へと授かる事となった。
因みにこの時点でエマ商会はグレイス領に4店舗、エリュード領に1店舗、王都に2店舗、アメリア国内の主要都市にそれぞれ1店舗、カディア王国主要都市に1店舗とCランクまで成長していた。
「それにしてもお二人でお茶会されたりと狡いですわ。しかもレオナルド様と私抜きでお会いしたりと同じ婚約者候補なのに酷い扱いですわ」
「ふふふ。レオナルドどうします?」
「ラミ嬢ごめんね。でも新しい街道の視察は王家の職務だから解って欲しいな」
「王妃様、レオナルド様、気にしないで下さい。ラミさんは私とエマさんの二人でお茶会をしたことに焼きもちを焼いているだけですわ」
「あら、そうなの?」
「ちょっとリサさん!」
「テキサル侯爵も街道を拓いてしまえばよいのですわ」
「えっ!街道ですか?」
「確かにテキサルとの街道が出来れば三人でお茶が頻繁に行う事が出来て楽しいかもしれませんね」
「えっ!本当ですの?」
「エマさん、仕方がありませんわ。ラミさんのテキサル領はナガン帝国との防衛に力を注がなくてはなりませんから街道なんて拓いている予算なんてありませんわ」
「な!」
「ただ、婚約者候補が流行についていけないなんてなられましたら大丈夫かしら。ラミさんがダサいと思われるのはお友達として辛いですわ」
「ダ、ダサい!」
「ちょ、ちょっとリサさん。言い過ぎですよ」
「ちょっと、エマさん。言い過ぎとはエマさんも同じように思っていると言うことですわ」
「あ、いや、ちょっとドレスがチカチカして目が疲れるだけでダサいなんて思っておりません」
「チカチカ!?」
「レオナルド様どう思われます」
「えっ!えーと、奇抜で凄いかな」
コラっ!レオナルド、目が泳いでいるのがバレバレ。
「ふふ、レオナルド駄目ですよ。もう少し顔に出さないようにして言葉も濁すように隠さないと行けません」
「王妃まで酷いですわ」
「あら、御免なさいね。でも、ラミさんは少し無理されているのではないかしら」
「無理ですか?」
「ええ。エマさんとリサさんより一つ下だからと無理に大人っぽく見せなくても良いと思いますよ。ラミさんはスタイルも良いからシンプルなデザインの方が上品さがより際立つかと思います」
「そ、そうですか」
「そうですわ。あんまり無理をなせれないで」
「な、何の事ですの?」
「テキサルが街道を拓く事は金銭的難しいという事ですわ」
「誰がそんな事言いました」
「ふふふ。冗談ですわ。先日グレイス領でエマさんと二人でお茶会した事が羨ましいだけですものね」
「ですから違うと」
「今度は両方の領地から開拓していけば短い工期で完成するのではないでしょうか?」
「誰もやるなんて言ってませんわ!」
「でも、ラミさんともお茶会開きたいですし・・・」
「えっ!」
「街道が出来たらその間に出来る宿場町は兄エニスが納めるようになるのかしら」
「そ、そこまでエマ様が言うならお父様に話をしてみますわ」
「無理されないで下さい」
「無理ではありません!」
「ふふ。ラミさん、領主を説得するには少々強気が良いですわよ」
「強気・・・」
「それにしてもお三方は仲良いわね。婚約者候補同士なのに」
「逆に僕の方が除け者のように感じるよ」
「仕方がないですわ。私達似た者同士ですもの」
「似た者同士?」
「ええ。兄がおり、長女で王都から離れた領地に住むなど似た部分が多いですわ」
「そう言えばそうだね」
「ですから街道が出来たら三人でお茶会出来ると思うと楽しみで仕方がないですの」
「リサさん・・・」
「ですから街道の件、宜しくお願いいたしますわね」
「い、言われなくても街道を拓いて見せますわ」
「その時は僕もお茶会に誘って欲しいな」
「いいですわよ。でも女子だけの秘密の話し合いもございますからたまにとなってしまいますわ」
「それは何だか怖いな」
「ふふふ。」
本当にテキサルとグレイスの街道が拓かれるか解らないが王妃とのお茶会も無事に終える事が出来た。
いよいよグレイス領に戻る時がきた。レオナルド皇太子から「北に盗賊が出るらしいから気を付けるように」と忠告をうける。
行程も順調に進みマーダック男爵領に入りると天候が一段と悪くなってきたので護衛長がエマに話し掛けてきた。
「エマ様、この先の峠を越えるとリナ様のお父様が納める領に入ります。日が落ちる前に峠を越えられると思いますので本日はそこで休ませて貰おうかと思います」
「いえ、この天候で峠越えは危険です。皇太子様から盗賊が出るとも言われてますので、無理せずマーダック領で休むことにしましょう」
「えっ!マーダック領ですか?」
「ええそうよ」
「ですが、マーダック伯爵はサザンピーク侯爵との寄り子関係で我がグレイス侯爵との関係は殆どありませんが」
「大丈夫よ。マーダック夫人とは親しくさせて頂いているの。着いたら私の名前を伝えて」
貴族が急な来客を泊められるのはよっぽど仲が良くないと難しい。護衛長もその事を知っておりグレイス領と関係が薄いマーダック伯爵と話をしても難しいだろうと思うが、エマの指示のため仕方がなく向かうのであった。
門番にエマの名前と事情を説明すると門番の一人が領主に伝令を出したところ直ぐに戻って来られた。
「護衛の方は代表2名以外は離れで休んで頂く事になりますが宜しいでしょうか?」
「は、はい。助かります」
まさか承諾を得られるとは思わなかった護衛長は慌てて指示を出した。館に入る護衛は護衛長とロイが入り、エマご令嬢の身の回りの世話役としてリナも館に入る事となった。
「まー今日は生憎の天気で大変でしたわね」
「いいえ、手紙で書きました通り婦人に早くお会いしたいと思っておりましたので天の恵みかと思っております。ただ、先触れなくお伺いする事になってしまい、誠に申し訳ございません」
「気にしないで下さい。困った時はお互い様ですわ」
「もしご迷惑でなければ、手紙でお伝えしていた話をしても良いでしょうか?」
「「ええ是非!」」
エマはマーダック夫婦よりハモリながら承諾を得られたので、エマのスキル〔収納〕より冷蔵庫を取り出し冷蔵庫の中から『アイス』『クレープ』『団子』『かき氷』などの色々のデザートを取り出した。また、ラーメン類、パスタ類、ピザ類など各料理が描かれた資料をマーダック夫婦に渡した。
「「こちらは?」」
以外と仲良い見たいで度々ハモってくる。
「これは私が開発・登録したデザート類や料理です。既に幾つか出店にて売り出しておりますが、まだ販売されていないものが殆どとなっております」
「ほう。これが今有名なエマ商会の商品ですかな?」
「はい。これらの商品を専門として扱う『デザート専門店』の初店舗をここマーダック伯爵領から出したいと考えております」
「なぜ、私達なのですかな?グレイス領でも王都でも十分なように思えますが」
そう、グレイス領でも王都でも問題ない。マーダック伯爵と繋がりを持ちたく考えた策なだけなのだから。
ただ、全く関係ないのに話を持ちかけても怪しまれるだけなのでマーダック伯爵と関係のあるものを選んでいた。
マーダック伯爵は貴族社会で有名な渾名がある。
『グルメ伯爵』
その中でもご婦人はデザートに関して右に出るものはいなく、グレイス領にて初めて飲食店でプリンなどを販売したところ、一番最初に食べにこられた貴族がこの婦人でもあった。
「グルメに関してマーダック伯爵ご夫婦は有名でございます。そしてデザートに関してご婦人の右に出るものなどおりません。エマ商会の様々なデザートがご婦人の紹介により評判が広がりエマ商会を発展させて頂きました。そんなご夫婦がおられますマーダック領が発祥の地となることでお店の価値が数倍に上がります。王都やグレイス領よりもマーダック領こそがこの専門店の発祥の地として欠かせないと思っております」
「そんな風に思って下さってたなんて嬉しいわ」
何か心が痛いが話を続ける。
「そしてこちらが一人辺りの平均予想購入額で1日これだけの来店がこられるとすると、売上がこれだけとなり、年間マーダック領に納める税金はこれだけになるかと思います」
「「こんなに」」
「そして将来的にはプリン専門店など各デザートの専門店もマーダック領から増やしていきたいも思っており、そうなった場合の売上はこれだけで税金がこうなります」
「「凄い・・・」」
「どうでしょうか?デザート専門店1号店をここマーダック領から出させて頂けませんでしょうか?」
「素晴らしいですわ。あなたいいわよね?」
「ああ、私達が断る理由はあるまい。もし良ければ他の店も来て頂きたい」
「ありがとうございます。後日、担当の者が細かい打合せも含め契約書を持って参りますので宜しくお願い致します」
「いや~今日は実に有意義な話を頂いて私達にとっては恵みの雨ですな。エマご令嬢もお疲れのなか有り難く思ってます。部屋の準備も出来たようですのでゆっくりり休まれて下さい」
「ありがとうございます。お言葉に甘え休ませて頂きます」
これで計画通りだ。
これでリナの運命は変わるだろうか・・・
【エマ・グレイス】
10歳 女性 Lv32
職業 〖貴族〗 適応魔法 闇
体力 155 魔力 180
力 80 守 38 速 45 知 165
火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0
剣 Lv4 槍 Lv1 斧 Lv1 弓 Lv6 鞭 Lv1 拳Lv10 拳豪 Lv3
スキル 〖浮遊 Lv10〗〖収納 Lv10〗
称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗
〖エマ商会の会長〗
魔法ギルド シルバーランク
商業ギルド Cランク
冒険者ギルド Dランク
エマ商会 9店舗