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10.えっ!エマ様、何ですその魔法

冬、グレイス領に雪が降る。

ただ、グレイス領の雪など可愛いものだ。領都は積もっても20cm程度、北部の村でも50cm程度だ。

流石に国境沿い近くは2m近く積もることもありるが、カディア王国側は4~5m以上積もると言うから凄い。

その為、カディア王国との物流は冬の間は閉ざされてしまう。それどころか王都からの物資も途絶えてしまうのだが、エマが発明した魔道具〔温光器〕により王都からの物流は途絶える事なく改善が図れつつあった。


他にも貴族や商店へのセールス販売も順調に進み、魔道具〔温水器〕や『シャンプー』『リンス』は爆発的に売れている。

また、新商品の開発として魔道具〔インクペン〕〔魔法ケース〕〔浮遊ハンド〕などを開発。食品では『焼きそば』『クレープ』『たい焼き』『カステラ』などを開発。訪問販売の商品の充実や屋台の種類も増え売れ行きは順調であった。


此に伴い、グレイス侯爵領も少しずつ豊かになってきた。魔道具〔温光器〕により冬の活動範囲が広くなった事もあるがエマの事業が順調で支度金が利子と謝礼金を含め返済されたからである。

もう貧乏侯爵とは言われないだろうと思っていたが、お父様は全て民の冬の支援金として割り振ってしまった。

お父様らしい。


さて、そんなエマだが今日は自分の能力を試してみたく冒険者ギルドに来ている。空いた時間があれば薬草採取や輸送など、エマの能力を活かしながら依頼をこなしていたが、エマの能力に新しい可能性を見出だしたため、今回は魔物討伐をする事にした。


「さぁ、どれにしましょう!」


「ちょっと落ち着いてマック。私達のランクで受けられるものを探さないと」


「丁度良いのありますでしょうか?」


「これなどどうですか?」


「『一角ウサギ3匹討伐、上限30匹』ね。いいんじゃないかしら。それから同じ場所に出くわすであろう魔物の討伐も受けられるものがあったら受けましょ」


エマは数枚の依頼書を受付に持っていきギルド証と一緒に受付嬢に手渡すと依頼を受理された。討伐依頼書には一角ウサギはグレイス領西の森に多く住み着いていると書いてある。


「エマ様、少し調べて見ますね」


ロイが土魔法で大地の振動から伝わる事で周囲の状況を把握する魔法『レーダー』を放った。

この『レーダー』という魔法はエマが提案しロイが練習を重ね実現させたオリジナル魔法である。

この魔法にも弱点があり飛行している魔物や樹の上にいる魔物、動いていない魔物などはレーダーに反応しない。


「エマ様、こちらの方向200m先に小さい反応が幾つかあります。」


「他にもいるかもしれないから慎重に行くわよ」


「はい」


少しすると魔物の姿が見えた。


「エマ様、3匹いました」


「ロイ、マック、一匹残して後は宜しく」


「はい」


エマは『収納』のスキルを薄い板状にし、『浮遊』スキルで板状にした収納魔法を一角ウサギの首元へ狙いを定める。魔物も動いているため上手く狙いが定められないが、このために弓の技術をグレイス騎士団に学んできた。諦めずに魔物を追うと一瞬のピントが合うタイミングがあった。エマはそのタイミングを逃さず魔法を発動すると、一角ウサギを倒すことが出来た。


「えっ!何ですその魔法」


「この間、スキルの応用について夜な夜な研究していたら偶然出来てね。収納スキルを薄く板状にして間に物質を挟んでスキルを閉じるとその部分を消すことが出来るの。凄いでしょ名付けて『ギロチン』よ♪」


エマはこの時気付いていない。この魔法が凄いというレベルではないことを。

収納はエマ独自のスキル魔法である。そして消去するという事象を対応できる防御魔法の概念がなくどんな物質も切り落とせる事から防御不可の魔法ともいえる。


「どうします。これで達成ですが」


「まだ時間あるしもう少し狩りたいのだけどロイは大丈夫?」


「はい、まだ全然大丈夫です」


「そう。それじゃロイが無理しない程度にもう少し続けましょ」


2時間程であろうか。移動してはロイの探索魔法で魔物を探し、一角ウサギ以外の魔物とも遭遇したが難なく討伐する事ができた。目当の一角ウサギも22匹追加で倒す事が出来たためエマの魔法『ギロチン』の制度も上がりつつあった。


「討伐確認お願い」


エマは全ての依頼書と討伐証明となる部位を収納魔法から取り出した。


「確かに依頼12回分達成となります。これで『グレイスの女神』はGランクに昇格てすね。しかも後1つ依頼達成されますとFランクになりますよ」


グレイスの女神・・・

毎回、言われる度に恥ずかしくなるのだが早くなれなくては・・・

エマは少し顔を赤くしながら魔物の解体・買取り部署に向かった。


「魔物の買取りお願いします」


「おう。どんな魔物だ」


「『一角ウサギ25体』『ポイズンスネーク2体』『ゴブリン3体』『グリーンスライム5体』『ジャイアントグリズリー1体』『土蜘蛛10匹』それから・・・」


エマが次から次へと収納ボックスから魔物を取り出した。


「おいおい、こんなに沢山どっから取り出し・・・

おめぇこれは『ジャイアントグリズリー』じゃねえか!」


「ええ。そうみたいですね」


「ですねって『ジャイアントグリズリー』っていやDランクモンスターだぞ!それにこの切り口は・・・」


「おい、時間がないのだ。買取りにはイチイチお前の感想や質問に答えなきゃならんのか?だったらその辺の草むらに捨ててくるから返してくれ」


「ああ、すまん。そうだなこの量だと大銀貨20枚だな」


「それでいいわ」


別に詮索されても構わないのだけどマックにしては珍しいわね。


「マック、さっきはありがとね」


「もう昼だ。ここでリナの弁当を食べよう」


ギルド内には軽く飲食できるテーブルがあり、マックの横に空いているテーブルがあった。マックめ、さっきの感謝の気持ちはなしよ。こいつはただリナのお弁当が食べたいだけね。


「上手い」


「ありがとうございます」


「確かに美味しいわね。リナはいい奥さんになるわよ」


「残念ですが貴族の令嬢に料理は評価されませんので、貰って頂ける方がいるかどうか・・・」


「そんな事はない!俺だったら毎日食べたいと思う」


「あ、ありがとうございます」


「リナは器量も良いから引く手数多になるはずよ。マック頑張らないとね」


「「えっ!」」


「エマ様、午後はどうしますか?」


「午後も依頼を見に行くわ」


まだ時間もあるし午後も依頼を受けられるようなら依頼を受けようかと思う。


「ワンランク上がりましたら受注出来る依頼も増えましたね」


「そうね。どう?ロイ、何かいいのあった?」


「はい。これなどどうでしょうか?」


「『エリュード公爵領への物資の移動』ねぇ」


「多分、これは街道作りの物資輸送になるかと思われます。エマさまならかなりの量を往復くらい出来るのでないでしょうか」


「そうね。これをお願いします」


「これですか?確かに隣接された領ですが、まだ街道は繋がってなく行くにはかなり日数が掛かる依頼となりますが」


「大丈夫よ、これお願い」


「はぁ、それでは受理します」


「ありがと」


物資を依頼の15回分を収納して受け取りギルドを出ると浮遊魔法でエリュード公爵領へ飛び立つ。

ギルド内から「いいな~」という声が聞こえたような気がしたが気のせいでしょう。夜な夜な鍛えた今のレベルなら四人全員を浮遊で移動させるだけでなく、かなりのスピードで移動出来るためエリュード領の依頼場所に2時間程で着くと荷を物資置き場にを下ろす。


「あ、さっきの方ですね。受注取消されますか?」


「えっ!もう終わったわよ」


「えっ!」


「はい。これ『受渡し確認書』にサインしてあるでしょ」


「確かに、でもどうやって・・・」


「秘密よ」


この日、エマはFランクまで昇進した。

【エマ・グレイス】

8歳 女性 Lv11

職業 〖貴族〗 適応魔法 闇

体力 80 魔力 90

力  35 守   18 速  20 知  110

火 Lv0 水 Lv0 風 Lv0 土 Lv0 光 Lv0 闇 Lv0

剣 Lv3 槍 Lv1 斧 Lv1 弓 Lv4 鞭 Lv1 拳Lv10 

拳豪Lv2

スキル 〖浮遊 Lv6〗〖収納 Lv6〗

称号 〖アメージアの祝福〗〖皇太子の婚約者候補〗

魔法ギルド  ブロンズランク

商業ギルド  Gランク

冒険者ギルド Fランク

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