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1.えっ!夢が現実に

(パキョッ!)

やってしまった。

私エマ・グレイスには秘密が三つある。

一つは、20歳迄生きた記憶があること、2つ目は前世の記憶が甦ったこと、三つ目は・・・


今日は8歳になるレオナルド皇太子の誕生日パーティーに同じ歳の令嬢として参加したのだが、やってしまった。

夢では、レオナルドは婚約者でもあり二十歳迄しか生きられなかった原因の人物。初めて合う人物、初めての見た建物全てが夢の中と同じだったのに、夢の中ではこんなことは起きなかった。

もしかしたら、私の未来は変わるのだろうか・・・


夢の記憶・・・

前世の記憶・・・

そして秘密によってエマ・グレイスの人生は変わってゆく。




【アメリア国】


アメリア国は南部以外は高い山々に囲まれ、北部にカディア王国、西部にナガン帝国、東部は『神鳥の霊山』という一万メートル級の大火山帯と神の森が広がっている。

南部は幅200メートル程で深さは深過ぎて底が見えない谷となっており隣接国メキシアとアメジア聖国に其々大きな橋が一つづつ繋がっている。

このアメリア国は自然に孤立された国でどうやって文明が気付かれたのか謎であり、南の橋も誰がどうやって作ったのか謎となっているがアメリア国が神鳥アメージアの形をしているため『神鳥に愛されし国』と言われている。


そのアメリア国の最北端で隣国カディア王国との峠の守護を行っているグレイス領に私は生まれた。

私はグレイス領主の長女として生まれ、父ゼニスは侯爵である。侯爵の領地といっても12月~3月まで雪のため作物が作れないだけでなく交通網も遮断されてしまうため経済が止まってしまう。

また、北の山間は魔物の巣が幾つかあり、度々集落が魔物に襲われるため、魔物を退治するため騎士の強化も計らなければいけないため領地は経済的に日々逼迫していた。世間からは「貧乏爵」と揶揄されている。


だが、エマは幸せであった。自然は豊かで家族も領民も優しい。

そんなエマだが8歳になった春に原因不明の高熱により数日魘されいた。

その高熱で魘されている中でエマは人生を一度終える夢を見ていた。

最後は20歳で処刑により刃物が落とされ首に接触しようとした時、突然目が覚めベッドから起き上がった。

ショックの反動は大きく、その反動により走馬灯のように前世の記憶が甦った。


※※※※※※


エマの専属の侍女のリナは突然飛び起き悲鳴を挙げたエマに驚きエマに駆け寄った。


「エマ様!!大丈夫ですか?」


だが、エマは再び意識を失いリナが優しく抱える腕の中にもたれ掛かるように倒れ込んだ。

リナは慌てて領主に報告し直ぐに医者が駆けつけたが、熱が下がり始めて来たと知ることが出来ると皆が安堵した。

そして、翌日に再びエマが目を覚ます。


「ここは・・・」


「お、お嬢様!!」


(あれ、もしかしてリナ?)


「皆様を呼んで参ります!!」


私が可笑しな思いに浸っている間にリナは大慌てで家族を呼びに行った。

私の部屋には心配で今にも泣き出しそうな、それでいて安堵したような目でベッドの横に震えながら立っていた従者のロイが先程までいたリナの位置に来て立て膝状態で座りエマの手を握りしめた。


「良かったです。何故こんな事に・・・」


(『何故』!?其よりも・・・)


「ロイ、実はね・・・」


少しばかりロイと話ていた所、廊下から足音が聞こえ、ロイは再び立ち上がり、エマの隣を家族達に譲った。


「エマ!良かった。数日も熱が下がらずうなされていたから心配していたんだぞ」


「エマちゃん、まだ熱が下がりきっていないから無理をしては駄目よ」


「そうだよ、エマ。早く元気になってお庭でお茶しようね」


(お父様、お母様、お兄様・・・)


エマは『無事な家族の顔』を見て心が少し落ち着いたのか再び眠りに着いた。


※※※※※


元気になったエマだが前世の記憶があるエマにとってこの世界は一言で言うと暇であった。

食文化も文明も遅れている。

ただ、この世界には魔法がある。前世にはない魔法があるため、一瞬であるがテンションが上がったがそれも直ぐに戻ってしまった。

夢の中のエマには致命的な欠陥により魔法が使えなかったからである。


そんなエマ達は王都に向かっている。

8歳になるレオナルド皇太子の誕生パーティーに参加するためである。


「はぁ~」


「や~ね~エマちゃん、さっきからため息ばかりして」


「エマ、あんなに楽しみにしていたのにどうしたんだい?」


「ちょっと緊張してしまって」


楽しめる訳がない。

あんな夢を見てしまっては・・・

夢の中では、このパーティーが切っ掛けで皇太子の婚約者に選ばれてしまう。

熱で魘される前は皇太子に会うことが楽しみで仕方がなかったが、夢を見てからはどこか楽しめないでいる。

楽しめる訳がない。

夢の中とはいえ自分を殺した者にこれから会いに行くのだから。


※※※※※


(どういう事!?)


エマは不思議に思う。初めて見るグレイス領から王都までの景色、王都にあるグレイス領事館や初めて見る一番上の兄、そして王都やパーティー会場の景色全てが夢の中と同じであった。


(何もかも夢の中と同じ・・・どういう事?)


一人一人挨拶を交わす貴族の名前、顔が何故か解る。

夢の中と同じであった。

多くの貴族と挨拶を交わしていると王家の人達が登場し本日の主役であるレオナルド皇太子も姿を現すと拍手が一段と大きくなったように思える。


黄金に輝く髪。透き通った海のような瞳。誰が見ても美少年で招待された同年代のご令嬢は皆が目を煌めかせていた。夢の中のエマも同じであった。

だが・・・


(確かに格好いいけどお父様の方が格好いいかな)


エマにも「ドキッ」とした気持ちがあった。本来のエマの気持ちであろう。だが、前世の記憶があるエマには子供にしか見えなかった。


「どうしたエマ?」


「お父様の方が素敵だと思って」


父ゼニスが嬉しさのあまり泣きそうになっている。

そんな父の袖を母マリアが引っ張っていた。


王家へ祝いの挨拶が各国の来賓から始まり私達侯爵家の順番が廻ってきたようだ。


「この度はレオナルド皇太子様の誕生日に家族共にお招き頂き有り難く存じます。今後もアメリア国の発展及び安政に尽力を尽くす所存でございます」


「ゼニス侯爵及びご家族の方々、今日は遠い領地から来て下さり感謝してます。今後の治世も期待しております」


「有り難き事です」


(近くで見てもレオナルド皇太子可愛い顔しているわね)


皇太子の顔に見惚れていると突然本人から話しかけられた。


「エマ嬢、先日まで病で寝込まれていたと伺っておりますが大丈夫でしたか?」


「は、はい。心配して頂きありがとうございます。今はこの通り元気・・・」


エマは皇太子の言葉に慌てて今は健康であると意思表示しようと腕を曲げて二の腕を叩こうとしたら後ろからセンスで叩かれたような痛みを感じたのでレオナルド皇太子にお辞儀をしてその場を後にした。


皆、挨拶も終え其々がパーティーを楽しんでいる。レオナルド皇太子の廻りには同年代のご令嬢やご令息が集まっていた。将来の側近や妃へのアピールをするためである。エマも主役を無視する訳にはいかないため輪の中に入ってはいるが皆を掻き分けて側までいきたいとは思わず輪の外側で静観していた。


(う~ん、夢の中もそうだったけど皇太子の人気は凄いわね。でも、ここまで夢の中と一緒だと彼もいるのかしら)


彼とは夢の中でレオナルド皇太子の婚約者となることになってしまった原因の男である。


(うそ!いたわ。という事は・・・)


夢の中のエマは彼に刺される。

彼は皇太子に恨みがあり皇太子に向け刃物を持って突進してきたところ皇太子を庇ってエマが刺されてしまった。この傷により王家より責任を取るという形ではエマが婚約者に選ばれてしまうのだ。

エマは夢の中での出来事を思い出しながら夢の中で自分が刺されたところにいることに気付いた。自分を刺した人物がその場にいた事で、まさか本当に起きるのかと給人を見つめていると、給人の胸元からキラリと光るものが見えた。


(えっ!夢が現実に!?)


夢の中と同じだった。給人の格好をした暴漢は皇太子目掛けて駆け出した。


(危ない!!)


「王子!!ご覚・・・」


「はっ!!」


『ドゴッ!(パキョッ!)』


「ウゲッ!」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


「・・・・・・・・」


ヤってしまった・・・

【エマ・グレイス】

8歳 女性 Lv1 

職業 〖貴族〗 適応魔法 闇

体力 20

魔力 20

力  5

守  2

速  2

知  15


火 Lv0

水 Lv0

風 Lv0

土 Lv0

光 Lv0

闇 Lv0


剣 Lv1

槍 Lv1

斧 Lv1

弓 Lv1

鞭 Lv1

拳 Lv10


スキル 〖浮遊〗〖収納〗


称号 〖アメージアの祝福〗


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