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第4節「戦闘と不穏」1

15話目にして初めてまともに冒険し始める異世界ファンタジーノベルです。

「ずっと気になってたんだけどさ?ディプラってなんでずっと敬語なの?」


「それ俺も気になってた。全然ため口でも構わないぞ。」


「いや別に心の距離が離れてるから敬語を使ってる訳じゃないですよ?ただ、ずっと敬語を使っていたので敬語を使わないと違和感があるだけです。だからアダマスにも敬語ですよ。」


「結構小さい頃からずっとこうだったぞ。今の学校ってあだ名とかが禁止されてて、誰々さんって呼ばなきゃなんないじゃん?」


「昔はそうじゃなかったみたいなのにね。だから先生のいないところだけであだ名で呼ぶとかいう謎のことをしてた記憶があるわ。」


「そんでまあ、真面目ちゃんなディプラはちゃんと教えを守って人のことをさん付けで呼んでた訳。そしたらディプラの母親が、

『さん付けで呼ぶなら敬語で話したほうが似合ってるよ』

って。どこまで本気だったのかは知らんけどそれから敬語を教え始めて今に至るんだよな。」


「つまり私は、最近の学校と親の教育が混ざり合うことによって産まれた化け物と言う訳です!」


「俺としてもディプラが敬語で話すのには慣れてるし、というかむしろタメ口で話すと違和感があるっていうか。…まぁ、敬語女子ってカワイイよな。」


「キャー///アダマスったらそんなこと言っちゃってー!消し飛ばしてこの世に存在した証拠さえなくしてやりますよ?」


「待って待って怖い怖い怖い。やめて?」


 そんな会話に笑い声が生まれる。今日はDランク冒険者としての初活動だ。依頼内容には変化はあるものの結局高難易度のクエストはまだ受けられないため、そこまで変化はないかもしれない。それでも多少は稼ぎも増えるだろう。これからが勝負だ。


「ごほん、消し飛ばされる前にここらで依頼内容を確認しておこう。今回はラットスウォームの討伐だ。」


 ラットスウォーム、群れをなすネズミ型の魔物だな。


「個々の力は弱いが、なんせ群れをなしている。一匹見つけたら十匹はいると考えていいとすら言われているらしい。で、一番の問題点だが、スライムと違って討伐を証明しなくてはいけない。」


「まあ、討伐しましたとかいって嘘つかれたらギルドも困るだろうし、仕方ない。」


「ちっちゃいから証明部位みたいなのすらなくて、丸ごと持っていっていいんだって。魔物は普通の動物と違って臭いもあまり気にならないようだし。」


「なるほど。ならある程度原型を残して討伐するだけでいいのか。」


「それなら何とかなりそうね。」


「とりあえずやってみてから考えましょう。」




 とのことなので、討伐のために地下水道に来た。守衛さんにギルドカードを見せて中に入る。


「くっら。」


 一応人が入ることが想定されているので明かりはあるが、それでも暗くて思わず声に出た。


「ここまで暗いと見にくいですね。【ライト】ほら、これで明るくなったでしょう?」


「成金みたいなこと言わないでもらって。」


 紙幣でも燃やしてそうなディプラにアダマスがツッコむ。


「【ライト】一人に任せるのも悪いし、俺もつけておくよ。」


「そのほうがいいかもしれませんね。っと、あれではないですか?」


「確かにそうっぽい。」


「うわっめちゃくちゃ多いな。」


 アダマスが少しビビっているが気持ちはわかる。一匹いたら十匹いるっていうのはなんなんだよ。三十匹近くもいるようだ。


「とりあえず私が倒してみていい?【ウィンド】」


 フィスィはそう聞くわりに返答を待つことなく魔法を放った。あ、俺の杖使ってくれてる嬉しい。それによりラットスウォームが五匹ほど木っ端微塵になった。


「待て待て、原型とどめてない。これじゃ証明のために持っていけないぞ。」


「そんなこと言っても仕方ないでしょ。この杖が思ったより火力を増強したっていうのもあるけど、あいつらめっちゃ脆いのよ。」


「と、とりあえず倒してから言い争いをしましょう?多すぎて気持ち悪いし、こっちに向かってきてます。」


「そうだ。倒してから話そう。【ファイヤ】」


 アダマスが炎を放つ。ラットスウォームの群れがまるごと燃えた。


「おいアダマスお前、原型を残せって話だったよな!?【ウォーター】」


「とりあえず消火します!【ウォーター】」


 はちゃめちゃなまま戦闘が終わった。なんかどっと疲れた。


「フィスィ、一応風魔法でこの辺換気しといてくれない?」


「わかったわ。」


「えーと、原型が残ってるのが8匹と。つまり俺たちは8匹しか倒してないってことになってしまうな。」


「ごめん。」


「別に謝る必要はないよ。全員わちゃわちゃしてたし。でも、シンプルにこの感じだと稼げないからちょっと作戦会議をしよう。」


「そうですね。とりあえずフィスィちゃんとアダマス、お二人は先程より魔法の威力を弱めることってできますか?」


「今のは自分が思ったよりも強くなっちゃっただけだから、次は大丈夫よ。ラットスウォームの脆さもわかったから。」


「同じく。量が多すぎてびっくりしたから、早く倒そうと思って強く放ちすぎた。でも、魔法発動時の火力を下げても火がついた時点で燃えちゃうから消火はお願いしたい。一応俺も青魔法は使えないことはないはずなんだが苦手だから。」


「わかりました。私が消火しますね。」


「了解。それならアダマスが火で倒してディプラがその消火をする。フィスィは残党処理と戦闘終了後の換気役でいこう。一応ここ地下だから、あまりにも火を出す機会が多くなったら別の方法を考えよう。安全第一で。」


「「「わかった。」」」


「よし、じゃあ次を探すぞ。ちなみにフィスィってここでサーチできるの?」


「植物が生えてないから、そっちでのサーチは無理ね。風を使って調べることはできるけど精度が圧倒的に落ちるから、向かった所にいなくても文句は言わないでほしいって感じ。」


「それでも行き当たりばったりで探すよりマシだろう。お願いしてもいい?」


「オッケー。【サーチ】」


 このときの俺は、この作戦の大きな問題点を見落としていた。その致命的欠陥にはすぐ気づくことになる。






_______________________






「【ウィンド】うまくいったね!さっきに比べてすんなり倒せた。しかもほとんど原型を残したまま!」


「完全に作戦通りうまくいった。サロス、流石だな。」


「にしても三十匹くらいが一斉に出てくるのがデフォルトなんですかね。」


「そうみたいね。でもこれ以上多くなってもこの作戦で行けそうな感じはしたわ。」


「それもそうですね。」



「なあ。」


「サロス、うまくいってよかったね。どうしたの?」


「俺何もしてないんだけど。」


 そう、この作戦において俺の役割が一切なかったのだ。これは大大大問題。


「あー…で、でもこの作戦考えたのはサロスじゃない?」


「それに、ライトをずっと維持したまま消火の手伝いとか換気の手伝いとかもしてたじゃないか。」


「まったく見えなくなるわけじゃないし、ライトはあったほうがいいくらいで別になくてもなんとかなる。アダマスが火を放った瞬間思ったんだ。あれ?これ俺のすることなくない?って。手伝いしてたのはそれが理由だよ。」


「でもでも、ライトを維持しながら手伝いをしてくれたわけじゃないですか。それってすごいことですよ?」


「そうだそうだ。この年で安定して二種類の魔法を使えるって相当なことだぞ。」


「うん、慰めありがとう。」


 これ以上自分を卑下するような事を言ってしまうと嫌な感じになってしまうだろう。だからこの会話はこれで終わりにしておくべきだ。でも今戦闘で俺が役立たずだったのは残念ながら事実なわけで、早急に対策を練る必要がある。


「それにしても本当に魔法同時使用が安定してますよね。私は二色魔導士デュアルマジシャンなので、二つが同時に使用できたらもっとできることの幅が広がるはずなんですよね。何かコツのようなものってあるんですか?」


「コツとかはないかな。何度も何度も繰り返し練習するだけ。今回やってたライトとウォーターとか、ライトとウィンドとかの同時使用くらいだったら家の暇なときでもできるわけじゃん?そうやってできるようになっていった。」


「はえー、それだけ努力ができるのは素直に凄いと言わざるを得ません。」


「…なあサロス、もしかして昨日俺と別れて家に帰った後もそんな感じの練習ってしたのか?」


「結局訓練場へ行けなかったからもちろんしたよ。火とかは危険だからそれ以外をちょっとだけ。」


「お前ってやつは本当に…。ちょっとだけっていうのも怪しいな。一日くらいで…、いや何でもない。とりあえずちょくちょく休みはとれよ。」


「わかってるって。」

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