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ウイニングブラッド~近未来競馬物語~  作者: うーた。
第1章
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各陣営の想い


「いやー今年こそはアブソルートの敗北があるかもなー」

「今年まだ未出走だもんなまさか前哨戦も使わないとは思わなかったな」


2040年9月下旬ーー


世界中の競馬ファン達が来週に控えた凱旋門賞の予想話をしていた。話題の中心はアブソルート対その子供達。

結局今年に入り未出走のまま凱旋門賞を迎えるアブソルートの体調の予想と、子供達の順位付けが主な話題だ。


そんな中なのでアブソルート陣営の直前のインタビューには大きな注目を集めていた。


「オブライアンさん、アブソルートの状態はいかがですか?」


アイルランドを拠点とする世界トップ3の厩舎の調教師のオブライアン。

「アブソルートの状態は本番も騎乗する彼に聞いてくれ」


凱旋門賞本番もアブソルートに騎乗するR.ムーアJr.(ジュニア)騎手。世界一の騎手だった父のR.ムーアの息子でオブライアン厩舎のファーストジャッキーだ。


「アブソルートの状態?ノープロブレム、問題ないよ。問題があるとしたらジャッキーの騎乗ミスだけだね」

周りにいた記者たちの中に笑いが生まれていた。


彼はまだ25歳と騎手の中では若手だが、既に多くの大レースを勝利しておりその技術に疑問を持つものなど皆無であった。


和やかなムードでインタビューが進んでいたが、1人のインタビュアーの質問で空気が変わった。

「しかし、ジュニアあなたはそのアブソルートの子供達にも乗って今年のクラシックを勝たせてきました。それでも凱旋門賞にはアブソルート以外に乗ることは全く考えなかったのですか?」


周りの空気が変わった。

その場にいるインタビュアーでなくても、競馬好きな人なら皆が聞きたかったことだったが、なんとなく聞きにくい…そんな質問だったのだ。


そんな中、ジュニアが答える。

「…うん、正直に答えよう。…全く考えなかった訳ではないよ。彼の子供達は皆素晴らしいからね。しかし、アブソルートが出るレースで彼以外に僕が乗ることはないよ。彼はスペシャルだから…それはこれからも彼が走り続けるかぎり変わらない。」

ジュニアのアブソルートへの信頼と責任感を感じる返答だった。


しかし上半期からの期待馬たちは夏場を過ぎ、その期待に応えてきた。

ブックメーカーオッズ2位で打倒アブソルート筆頭のシーズンスターズは英2冠後にもエクリプスS、インターナショナルS、セントジェームスパレスSとG1を連勝しいよいよ凱旋門賞へと順調に勝ち進んできた。


今年未出走の父と、G1を5連鎖中の息子。

それでも当日のオッズは父に軍配が上がっていた。

これはこれまでにアブソルートが残してきた結果がものすごいものであるという何よりの証拠だろう。


そして牡馬の代表馬同様、牝馬の方も続いていた。

仏牝馬クラシック2冠からヴェルメイユ賞という3歳以上の牝馬が出走できる、今回のレースの凱旋門賞と同じロンシャン競馬場の2400mで行われる舞台を快勝していた。


しかも同馬はシーズンスターズと違い未だ負け知らず。

両馬ともアブソルートさえいなければグリグリの大本命になっていたであろう競走馬だ。


そして日本から出走するメダリストとシルバーグレイト達はというと…


4歳馬の代表で参加するメダリストは宝塚記念快勝後に凱旋門賞には前哨戦を挟まないなことを発表!ぶっつけでこのレースを迎える。


シルバーグレイトは前哨戦にニエル賞という凱旋門賞の3歳馬の前哨戦のG2レースに出走。

ここで、アブソルートの息子の仏ダービー馬のバデイチとアイリッシュダービー馬のイーストオーバーを相手に首差抑えて勝利し評価を上げていた。


日本ダービーでのヴァンガードへの勝利がフロックでなかったことと、ロンシャン競馬場での適正をこのレースで同時に示した為、セカンドオピニオンと同格の4番手の評価をされていた。


シルバーグレイトがアブソルート産駒に連勝したことからジュニアが応えた。

「アブソルートの息子達が日本馬に負けが続いているのも嫌なので、アブソルートが息子達の仇を取ってくれると思うよ。」


ジュニアによる日本馬、特にシルバーグレイトへの宣戦布告が新聞各社の見出しに載った。


日本馬各陣営の反応ーー。


メダリスト陣営

「アブソルート陣営はシルバーグレイト警戒か。よしいいぞ、あとは当日雨さえ降らなければ。」


シルバーグレイト陣営祐一調教師

「…まさかライアンの息子はグレイトを警戒してるのか?やりにくくなったぞ。」


昨年の凱旋門賞にも参戦している日本馬のダブルボンド陣営。

「今年こそは自分達の競馬をしよう。相手は関係ない、まずはそれからだ。」


シーズンスターズジェックス厩舎。

「アブソルート陣営はまさか日本馬を警戒してるのか?舐められたものだな。なあマイケル?」


シーズンスターズ騎乗のM.アニバーサリー。

「警戒心が少ない方がありがたい。当日は僕が勝たせてもらうよ。」

ジェックス「いい応えだよ、マイケル。」


2040年凱旋門賞の当日をいよいよ迎える。


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