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俺のスマホアプリ〈異世界ツクール〉で異世界創造  作者: うなぎ
人魔大戦編

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シークバー

 偽ロリタ王女、全滅。

 まさかこんな結果になってしまうとは思ってもみなかった。


 切り札を破られた俺は焦り、再び偽ロリタ王女を量産しながら矢継ぎ早に対策を打ち出した。

  

 魔族化対策として、ロリタ王女の攻撃対象設定を、魔族から魔界三将に変えれば良いのではないかと考えた。

 しかしそれをすると今度は別の問題が生じてしまった。偽ロリタ王女が周りの魔族を無視してしまうのだ。結果として偽ロリタ王女は有象無象の魔族たちによってサンドバック状態となり、殺されてしまった。


 魔族化回復アイテムを配置したりもしてみた。

 しかし攻撃や魔族捜索に勤しむ偽ロリタ王女は、回復アイテムを取ろうとしなかった。なんとか取らせるように設定を弄ってみたりもしたが、そもそもこんな無駄なことをするよりも新しく設定しなおした偽ロリタ王女を配置すれば良いだけの話だった。

 

 そして何より問題なのは、俺の気分だった。

 こうもロリタ王女のグロテスクな死体を見せつけられて、良い気分でいられるはずがない。

 しかもそうさせてしまったのは俺自身だ。俺は何のために戦ってるんだ? ロリタ王女のためじゃなかったのか?

 

 あれこれと試行錯誤を繰り返しているうちに、とうとう魔界三将がオルレアン島の最南端へとやってきてしまった。

 俺が即席で作り上げた、首都への道の途中にある海だった。


「おらあああああああああああっ!」


 まずジェーンが戦斧を振り下ろした。

 彼女の絶大な力によって振るわれたその戦斧は、空気を割り海を弾き、そしてその下にある大地すらも抉り取った。

 割れた海は両側へと巨大な津波を生み出し、そして盛り上がった大地は戻ってくる海水を完全にふさいでいる。つまりまるで干拓地のような橋が生み出されたのだ。


 で、でたらめすぎる。


 魔界三将はその陸地を渡ろうとしている。

 今度対岸にたどり着かれてしまったら、地形を変えて侵攻を防ぐなんてことはできない。この先には小規模ながら村もあるし、王都も近すぎる。むやみやたらに海に沈めてしまえば、巻き添えを食って住民が溺死してしまうかもしれない。

 

 ここで……止めなければ。

 

「させるかっ!」


 この土の壁を壊せば!

 俺はすぐさま異世界ツクールを操作し、両サイドの盛り上がった土をぶっ壊した。すると海水がまるで洪水のように中心部――すなわち魔界三将のいる場所へと押し寄せてくる。


「アイスウォール」


 しかしライオネルが魔法を使って海水を凍らせた。押し寄せていた水は一瞬にして凍り付き、しかもそれが左右の土壁を強化する形となってしまった。


 くそっ、なら別の場所で……。 


 対抗するように俺は数か所の壁を破壊した。しかしライオネルが、そしてエドマンドが魔法でその穴を塞ぎ、ジェーンはさらに土壁を盛り上げて強化する。


 なんでうまくいかないんだ……。 


 そして、俺はとうとう奴らの進撃を防ぎきることができなかった。

 魔界三将はその場にとどまり、干拓した橋の維持に全力を注いでいる。ここはあまりにも海岸に近すぎるから、地形を変えたりして対処することは不可能だ。


 俺はすぐさま偽ロリタ王女を配置した。今、魔界三将が南にいる間なら以前のように魔族化はされないと踏んだからだ。

 その予想は正しかったのだが、やはりこの広大なオルレアンをカバーするには人員不足だ。打ち漏らしの魔族たちが続々と南へ集結していく。

 

 くそっ! 

 このままじゃあ、アングル王国に魔族たちが押し寄せてしまう……。一体どうすれば……。


「一時停止ですっ!」


 突然、リディア王女がそう言った。


「一時停止?」

「思い出してください大和様。以前、スキップ機能を使った時の話です」

「スキップ?」


 そういえば、と俺はこの時になって思い出した。

 以前、スキップ機能を使って〈リアルツクール〉で現実世界の時間を進めたことを思い出した。あの時確か、まるでネット上に転がっている動画サイトみたいにシークバーみたいな画面になってたよな? だったら戻したり、一時停止したりできるんじゃないのか?

 

 いや待て、これは今起こってるライブ動画みたいなもんだ。だったらここで一時停止しても、実際の世界では時間が進んでるかもしれない。俺が何も見えなくなるだけで何もメリットがない。

 ……でも普通のゲームみたいに一時停止できる機能である可能性もある。今までこんな風にリアルタイムで争ったことなんてなかったから、一度も試してみたことはなかったが。


「あの後わたくしも調べたのですが、停止するボタンがあったはずです。それを使えばこの状況を止められるはずっ!」

「そう……かもしれないな」


 確かに、画面にはそれっぽい停止ボタンがあるな。


 よし、試してみよう。

 十秒……いや二十秒停止して、動きがどうなるか確認すれば十分だよな。


 俺は停止ボタンを押した。

 すると、魔界三将やほかの魔族、そして海の水までも完全に静止してしまった。


 さて、ここまでは予想通り。

 これがリアルタイムで起きていることなのか? それとも俺の画面が止まっているだけなのか。それを確認する必要があるよな。

 

 俺は再生ボタンを押す。

 

 すると、再び画面が動き出した。

 魔族や水の動きに全く違和感はない。突然二十秒進んだのではなく、止まった時間が動き始めた何よりの証拠だ。

 そしてシークバーが示す時間はゼロ秒。すなわちリアルタイムという表示。俺だけが二十秒前の動画を見ているというわけではない。


 そう。

 つまり俺は、間違いなくあの世界の時間を止めたのだった。まさしく神の所業に等しい行為だった。


 これは……本当に一時停止だ。 

 俺が見ている画面だけじゃない。あの世界そのものが一時停止してるんだっ! 

 やった、やったぞ! これで時間稼ぎができるっ! いやむしろシークバーを戻せば時間を巻き戻せるんだから、失敗をやり直すことができるんじゃないかっ! 

 なんとかなるっ! なんとかなるかもしれないっ!


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