7.メリット
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「ふむ。暗いな」
夜の森がこんなに暗かったとは。新しい発見だ。
私は呑気にそんな事を考えながら、枝を集める。
(レグルスー。わざわざ枝を拾わなくても良かったんじゃないのー? レグルスなら?)
「…そんな事はない。何事も経験する事が大事だ」
明かりが欲しいならそういう道具もある。勿論、火も。
だが、今の私にとって大事なのは自らの力で火を起こす事。やれば何か新しい発見があるかもしれんしな。
私はやる気を出して、辺りの枝を集める。
(はぁ〜。まぁいいけどさ〜)
『共鳴』がだるそうにして言う。
数十分後。
「結構集まったな」
私が、ギリギリ1人で持てるぐらいの枝を集め終わり、背伸びをすると周りの草陰からガサガサッという音が鳴る。
何かいる…。
私は腰に下げている、拳銃に手をつける。
「もうダメ…」
バタン
草むらから出て来たのは1人の私と同じ年ぐらいの女。その女の格好はボロボロで見るに堪えない。
(レグルス〜、どうするの〜?)
と『共鳴』が言う。
「…」
」
」
私達は今、テントに戻って来ていた。緊急辞退の為、私は枝を諦めて女を助けることにした。
テントで待っていた『追憶』が(なによそれ!!)と驚いていたが、私はそれを無視して女をテントの中で横に寝かせる。
その後私は1人で夜の森へ行き、枝を拾った。
「んー?」
女はテントの中から顔を出す。
「起きたか」
私はきりもみ式の火起こしを行いながら、話しかける。
「貴方は何を…?」
「見て分からんか? 火を起こしている。」
私がそう言うと女は私に近づき、私が火を起こす為に使っていた尖った木を私から奪う。
そして、それを地面に置いてある木に押し当てると、
キュルキュルキュルキュル
凄まじい速度で尖った木を回す。
ものの数分で女は火をつける。
…私は何時間もかかって煙すら立たなかったが。
「やるな」
「昔からやっていたので」
女は寂しそうに笑って答えると、私の真正面に来て、地面に額をつける。
「助けて頂きありがとうございます」
私はそれを何も言わずに見続けていたが、女は頭を自分で上げることはしなかった。
…そこまで感謝しなくてもいいのだが。
私が助けたのも偶々だしな。
「いつまでそうしているんだ。頭を上げてくれ」
私がそう言うと、女を頭を上げる。
「私にとっては命の恩人ですから」
「だからと言って私に言われるまで頭を上げないというのはだな…」
私は頭を掻く。
「謝るより先にやる事があるだろ」
そして私は手を出す。
「なるほど。ですが私は金銭などは持ち合わせていないので…わ、私の身体で良かったら…」
女は少し服をはだけさせ、地面に手をつき人差し指を唇で噛む。
こいつさっきまで倒れてたくせに結構余裕あるな。
「私の名前はレル、お前は?」
私が聞くと、女はハッと気づく様な反応をすると急いで服を直す。
「そ、そそっちでしたか、私の名前はティアです。あの先程はお見苦しい物をお見せしました」
ティアは頭を下げて私と握手する。
「別に気にしてない。それでティアは何故こんな所で倒れたんだ?」
私は地面に胡座で座り聞く。するとティアは下唇を噛み、少し間が空き話始める。
「…私は逃げてきたんです」
「逃げてきたね…どこから?」
「そ、それは言えません」
言えない、ね。
ハッキリ言えばそんな素性も知らない奴と一緒に居ても仕方ないな。
「そうか。もう話すこともないな。今日はもう寝る」
私は立ち上がる。
「あ、あの私はどうすれば…」
「知るか。起きるまで世話してやっただけありがたいと思え」
私はそう言ってテントの中に入っていく。
「ま、待ってください!! 私を助けてください!!」
「…なぜ?」
「わ、私を助けておくと良い事があるかもしれませんよ!!」
ティアは焦った様に私の服を掴み、距離を詰めてくる。
「じゃあ、お前は何が出来る?」
「え?」
そんな予想外な質問だったか?
ティアは呆然とした様子で私を見つめる。
「ひ、火起こしが出来ます!!」
思いついた様に言うが、
「それは起こそうと思えば起こせる」
私は大きく溜息を吐く。そして言った。
「ティア、お前は私にとってどの様な利益を生み出してくれるんだ?」
「利益…ですか?」
「あぁ、お前と一緒にいる事で私にどんなメリットがある?」
そ、それは…とティアは言い淀む。
「ないなら、交渉の余地すらないな」
わたしはティアの手を振り解き、テントの中に入る。そして寝転び、耳元から
(やっぱり外道だったわ)
(それは酷いんじゃない?)
等と言った声を聴きながら眠りについた。
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