4.凄い物
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ほう。
私は白く光ったネックレスを服の中にしまう。
私の顔から笑みが溢れる。
「何だ今のは…?」
男が顔を顰めている。
「王子様は、面白い物に目がなくてな」
実際、今の私は少し面白いと思っている。
しかもこういう交渉においては、相手が謎めいていた方が恐ろしいだろ。
「…認めるのか」
「認める。まぁ、元王子だけどな」
「どういうことだ?」
「それは自分で調べてくれ。時間の無駄だ。それよりも塩の話だ」
私はそう言うと先程と同じ塩の袋を2つ、机の上に出す。
「全部適正な価格で買ってくれ」
「これをどこで手に入れたんだ? 王子様は?」
「これを適正な価格で私から定期的に購入するなら、口を滑らす時があるかもしれないな」
俺が笑うとカフは肩をすくめる。
「…クッハハハハハ!! いいぜ!! その話乗った!! これに乗れば俺に得があると俺の鼻が言ってるぜ!!」
私達はソファから2人とも立つ。
「交渉成立だな、カフ」
「そうだな、レル。これからも良き取引相手に」
そしてもう一度握手をした。
部屋から出ると、塩の金を受け取る為に商会の商品を見ながら時間を潰した。
一方、カフの部屋。
「ふぅ。」
カフは椅子へと深く腰掛ける。
まさかあの塩を持ってきた奴が、この国の第二王子だなんて思ってもなかったな…。
カフは笑って上を向き、目を片手で覆った。
「しかも、最後の方には俺のスキルに気づいた様な素振りがあった…」
俺のスキル【嘘発見】に…。
『何だ今のは…?』
ここで俺はアイツの怪しげな道具が危険かどうか調べようと思った。【嘘発見】で危険である事が分かれば、この取引を無しにしようとも思っていた。なのに、
『王子様は、面白い物に目がなくてな』
嘘は言ってなかった…。
しかも王子様である事を認める事で話を変えた…。
カフはもう一度大きな溜息を吐く。
「何処かの王様よりも、ある意味気を使ったぜ」
言葉遣い等で怒られる事はないが、その他の事、そう。後半からは上手いこと反論を許さない様な口振り。
「年齢詐欺だろ」
カフは、部屋で1人笑いながら塩の査定をした。
「お待たせしました」
ドンッ!
「おぉ」
そこには大きなカバンが1つあった。
「全部で300万Gとなります。」
ただの塩3キロが300万か。悪くないな。
(中々のお金じゃない)
(よかったねー)
定期的にカフ商会とは取引を行う事になって良かった。私は300万の入ったカバンを持ち、商会から出る。
(レグルス、アンタ此処に何回も来るつもり?定期的にって言ってたけど)
『追憶』が心配そうに聞いてくる。
「安心しろ。カフ商会はほぼどこの国にもある。のし上がる為に、色々な国を周ったんだろ」
(なら心配ないわね。で、これから土地探しかしら?)
(いやー、どうだろうね。また僕たちみたいな太古の遺物を探しに行くのかも)
2人とも良い意見だが、どうするか…。
とりあえず今日は宿に戻るとするか。
この身体はまだ外の世界に慣れていない様だしな。こっちの世界の俺は、この様な街中に出てくることなどなかったから当然か。
「宿に戻るぞ」
(えぇー)
『追憶』が声を上げる。
「……なんだ?」
(暇)
…『追憶』は札束を出してから、『共鳴』に会って私について来てるだけ。暇なのは分かるが…しょうがないな。
「はぁ。何がしたい?」
私は大きく溜息を吐く。
(おぉー、やっぱ人間と話せるって良いものね!)
「いいから、早く言え」
私がそう言うと、
(凄い物を出したい)
「は?」
(だから凄い物を複製したいの。レグルドの記憶で何か凄い物はないの?)
『追憶』が変な事を言い出した。
太古の遺物は皆んなこうなのか? もう1人はずっとボケーっとしてるし…。
私はこんな奴らを集めようとしているのか。早くも後悔し始めているぞ。
「分かった。折角だ。宿に戻って部屋で複製する。大きな物だと、旅の邪魔になる。旅に必要で、小さな物にするがいいか?」
(うーん。まぁ、いいわ! いずれは巨大な物も出すのよ!)
「そうだな」
私はテキトーに返事を返す。
『追憶』が本当の本当よ! と言っているが、私はそれをガン無視して、宿へ急いだ。
和は部屋に着くと、2人を机の上に置きベッドへ寝転がる。
ふぅー。今日は疲れた。
そして私は目を瞑る。
(ちょっと!! 何寝ようとしてるのよ!!)
「ちっ」
バレたか。上手く行くと思ったが。
(何舌打ちしてんのよ!! 早く私を持って!!)
はぁ。疲れてるのに…。
私は立ち上がり、『追憶』を持ち上げる。
(想像しなさい!!)
仕方ないな。私は目を瞑り、想像する。
……こんなもんだな。
「コピー」
ゴンッ
その物は床に勢いよく落ちていった。床と衝突した瞬間、重く響き渡る音は寝ていた『共鳴』を起こさせた。
(これは…?)
『追憶』が聞いてくる。
「"拳銃"だ」
とりあえずは自分の身を守れる物がなくてはな。
私は拳銃を拾い上げ、指を入れクルクルと回す。
この世界でない物を広めても、国を作った際に他の国に目をつけられるかもしれない。極力、こういう兵器は自力で作れる立場になってから出して行った方が良いな。
『追憶』の能力は強力すぎる。これが周りにバレれば戦いは避けられないだろう。
私は拳銃をテーブルの上に置く。
(拳銃?何それ?杖かしら?)
「これで魔法なんて撃たない。これはそういう世界で生まれていない。」
(さっきからレグルドは何を言ってるのかしら?)
「まぁ、これは使う時のお楽しみってやつだ。もう今日は寝るぞ。明日はこの国を出るからそのつもりでな」
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