11.大商会通り
ブックマークが…_:(´ཀ`」 ∠):
「へぇ…」
「な、なんですかここは…」
(悪くないセンスね!!)
(zzz…)
皆、それぞれの反応を見せる。
私にとっては、面白そうな見た目をしていると思うが…。『追憶』以外お気に召さなかったらしい。
今、私達は【物体会話】を使って、『死体漁り』が居ると思われる建物へ来ていた。
その建物は3階建てで、全体的に暗い。所々には崩れた所があったり、落書き等が書かれていて、恐らく誰も好きで近づきはしないだろう見た目をしていた。
ハッキリ言ってこれを好むのは、俺みたいな発明家か、犯罪者、あとは変人ぐらいだろう。こんな見た目をしていれば誰かが研究の邪魔をする事が少なくなるだろうし、昼に寝るとなっても静かそうだ。
因みにこれが良いセンスをしていると言ってた誰かさんは、もちろん変人だ。
「さて、じゃあ入るか」
私はドアノブへと手をかける。
「ま、まま待ってください!!」
ティアが焦ったかの様に、突然俺の手を掴む。
「なんだ?」
「わ、私、いきなり来られても困ると思うんですよ!!」
「む?」
ティアの癖に珍しく良い事を言うな。
「…確かに。いきなり来られても困るよな」
「そうですよ! 今日は予定が入ってるかもしれないです!! なので此処には来なくていいと思うですよ〜!」
「それは此処に来ない方が良い理由にはならないと思うが?」
「うっ!!!」
ティアが変な声を上げて黙った。
「まぁ、ティアが言う事も一理ある」
私が言うと、ティアは晴れやかな表情を見せ、こちらを見てくる。
「そ、そうですよねっ!」
「ふむ…だから手紙を書く」
「……へ?」
ティアの顔が強張る。
驚いているみたいだな。私のナイスアイディアに。
「手紙に会いたい日付けと時間を書いて、この扉の下の隙間から入れる。そうすれば予定が組みやすいだろう」
しゃがみこんで扉の隙間を確認する。
…完璧だな。
振り返るとそこには涙目のティアが、身体をプルプルさせてこちらを睨んでいた。
「どうした?」
「…もういいです!!!」
と言ってそっぽを向いてしまった。
何なんだ…。
私達はそこから一旦離れ、手紙を書く為にこの国の大商会通りという所へ向かった。
「此処が大商店通り…」
「なんか緊張します…」
(なんかカッコいいわね!)
(zzz…)
そこは国に入ってきた時の様な賑やかな雰囲気ではなく、凛とした雰囲気で、言わば貴族向けの通りである様だった。
その通りは屋台などはなく、1つ1つが商会になっていた。
ハッキリ言えばどれもこれも誰もが聞いたことのある様な商会ばかりが並んでおり、見た目は小さい城の様な風貌をしている物が多かった。入り口では如何にも高そうなドレスを着てる婦人が談笑している。
私は辺りを見渡して、ある商会へと入っていた。
「「「いらっしゃいませ〜」」」
多くの店員がきちんと礼をしてくる。
「カフ商会へようこそ。今日はどの様なご用件でしょうか?」
店員が話しかけてくる。
そう。私達が来たのはこの前塩を売ったカフ商会だ。他の商会に行く事も考えたが、私はカフ商会との親交を先に深めた方が良いと判断した。
「この塩を売りたい」
「これは…まさか貴方がレル様ですか?」
店員が恐る恐る聞いてくる。
もう他の国にも連絡済みか…。流石、新進気鋭のカフ商会だ。
私は感心しながら店員の質問に対し、首肯する。店員は塩を持って奥へと行くと、ファウスト王国の商会と同じように大きな袋を持って私の前に現れる。
「全部で300万Gになります」
「じゃあ、その金で此処の最高級のレターセットを見繕ってくれ」
「「は?」」
私はお金を受け取らずに言うと、目の前にいる店員、そして後ろから驚いた声が聞こえた。私は無視して店の中にあったソファに腰掛ける。
「か、かしこまりました」
男はそう言って奥へと入っていった。
流石カフ商会の店員だな。よく教育されている。一瞬狼狽していたが、すぐに笑顔を貼り付け対応していた。こう言う人材が沢山居たらカフの奴も安心だろうな。
はぁ…これがウチの者にも出来れば良いんだが。
私は溜息を吐いて、隣にいる騒がしい者の様子を見る。
「300万Gのレターセットなんていりませんよ!! ほら!! ここの10万Gのレターセットで十分じゃないですか!?」
ティアが先程から店頭にある、それなりのレターセットを薦めてくる。
別に金は腐るほど作れる訳だから、そこまで節約はしなくて良いだろ。めんどくさい。
私は目を瞑り、ティアの言う事を聞き流していると店員が戻ってくる。
「申し訳ありません。こちらが今ウチにある最高級のレターセットになります。値段は150万Gになります」
出されたのは綺麗な真っ白なレターセット。角や縁に煌びやかな装飾がされている。如何にも貴族が使う様な者になっている。
まぁ、こんなもんだろ。
「買った。それで良い」
「ありがとうございます。それでは、こちら残りの150万Gになります」
店員はお金の入った大きな袋を差し出してくる。
「いや、必要ない。その金はこの商会に寄付する。これからも世話になるからな」
「「は!?」」
本日2度目の狼狽である。店員は暫くしても開いた方が塞がらなかったので、私はレターセットを懐に入れて、商会から出た。
「貴方はまた!! どう言うつもりですか!? 貴重なお金を!?」
大商店通りで大声で話す、ティアは注目の的だった。
因みにティアは『追憶』の能力で金を作っている事を知らない訳だから、こんなに怒ってくれているんだろう。
まぁ、その心遣いも余計なお世話なんだが…。
私はティアのお説教をBGMに、なるべく目立たない様に端っこを歩く。すると、
「ん?」
私はあるものに気づき、路地裏へと入った。
「面白い!」
「続きが気になる!」
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