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1.追放

新連載です!読んで頂けると嬉しいです!

 

 鑑定式、それは12歳になる子供が神官によって自分の持っているスキルを、鑑定して貰える儀式である。


 このスキルによって人は大いに左右される。

 喜ぶ者も居れば、落ち込む者も居る。


 そんな俺も今日で12歳だ。


「レグルスよ。今日は神からお前のスキルを調べて貰う日だ。ろくでもないスキルだった時は覚悟しておけ…」

「…」


 俺の父、ロード・ミラ・ファウストはそう言うと部屋から出て行った。


 何故、こんな事を言われたのかには理由がある。それは俺が落ちこぼれだからだ。


 ファウスト王家は代々、強力なスキルを発現させる王家で、他国からも恐れられている。そのお陰で他国からの支持も強く、色々な国から強力なスキルを持った人材がわんさか来る。


 俺の兄は【四属性魔法】、姉は【剣王技】という風にファウスト王家は、スキルを小さな頃から発現させている。


 それに比べて俺はまだ何のスキルの片鱗すら見せていない。王家が小さな頃に発現させるからって、俺も発現させるって訳じゃないだろ。


 ガチャ


「神官様がお着きになりました」

 メイドがノックもせずに部屋に入ってきて、神官が着いた事を知らせる。


「入る前にはノックをしろ。前にも言ったはずだが?」

「あー、すみません。忘れてました」

 メイドはそう言うと、部屋から出て行く。


 俺は思わず大きな溜息を吐く。

 何故俺が、メイドにこんな扱いを受けているのか、それは使用人の間でも、俺は無能扱いされているからだ。

 王家に生まれたにも関わらず、今の今までスキルを発動する事が出来ていない。


 勉強も普通、武術も普通ときた俺。メイドにとっては、何でこんな奴の世話をしないといけないのだろうって所だろう。


「まぁ、行くか…」

 俺はやっとこの父上の態度やメイドからの無能扱いに解放される。俺はそう思って、部屋から出た。


 そこにはもう、父上と母上、兄上に姉上と家族が全員揃っていた。

 そしてもう1人、年老いた神官がいた。


「では、早速始めてくれ。」

 父上がそう言うと、神官が俺の前に来る。


「失礼します。【鑑定】」

 神官の目に魔法陣が宿る。

 この鑑定のスキルは選ばれた者にしか、授けられないと言う。

 こんなスキルが出たら、父上も許してくれるだろう。


 なんでもいい!強力で使えるスキルが来てくれ!!


 俺は胸の前で手を合わせて強く願い、神官からの言葉を待つ。


「む…これは…」

 神官が眉間に皺を寄せ、声を上げる。


 なんだ? まさか…俺は神官に話しかける。


「お、おい。俺のスキルはなんだったんだ?」


「は、はい。レグルス様のスキルは【物体会話】です…」



 部屋が静まりかえる。



 は?



 1番に声を発したのは父上だった。

「なんだそのスキルは!? 神官! そんなスキル聞いたことないぞ!!」

 父上は神官を怒鳴りつける。


「わ、私も聞いた事がありません!」

「レグルス! そのスキルを発動させてみろ!」


「は、はい!」

 俺は父上の言う通り、【物体会話】を発動させる。すると辺りから声が聞こえてくる。


(あの子、かわいそー)

(父親がブチ切れだよ)

(そんなキレる事かなー)


 椅子、机、花瓶等といった物体から声が聞こえてくる。


「ち、父上、物から声が聞こえます…」

 な、なんだこのスキルは…。


「ふっ、やはりそうか」

 父上は鼻で笑うと、私の真正面に立った。


「お前はやはりこの王家に必要ではなかったようだ。レグルス、お前は追放だ!! 二度とファウスト王家であると名乗るな!!」

 父上は俺に指を差しながら言うと、お前にはもう興味などないとでも言う様に俺から目を離す。


「ま、待ってください!!」

 こ、此処から出たら俺はどうやって生きて行けばいいんだ!


 俺は無視する父上に何度も抗議する。

 そして功を奏したのか、父上が俺の方を振り返る。


 よ、よかった。これで話が…


「しつこいぞ!!」

 父上は俺の頬を思い切り殴った。


「かはっ!!」

 俺は吹っ飛ばされ、後頭部を壁にぶつける。




 ザァーーー



 すると頭の中でノイズが鳴る。

 そのノイズは少しずつだが、鮮明に聞こえてくる。


 なんだこれは、一体なにが…。



 ワァーーーッ!!!



 これはどこだ? こんな大勢いる舞台に立った記憶が…



 いや、そうか。



 俺は…いや、



「私は転生したのか…」

 と呟く。



 私の前世は、全世界に"原初の発明家"という名を轟かせ、世界を支配した発明家であった。


 まさか本当に転生するとは…!! あの時の装置は失敗ではなかった!!


 生前、まだ実験を続けたいと思っていた私は、死に物狂いで"転生装置"を作った。

 死ぬ間際にそれが完成し、僅かな望みをかけ私はそれに入った。


 実験する事も出来ずに入ったが、まさか転生が成功するとは。

 私はそこから立ち上がる。


 ふっ! これからこの世界で発明するとなると楽しみでならんな。

 この世界にはスキルというものがある。恐らく今まで発明した事ない様な、とてつもない発明が出来るだろう。


 ふっふっふっ。

 私が口角を上げながら不気味に笑う。


「ふん! ついに頭を打って頭がおかしくなったか! 早くここから出て行け!!」

 王が私を見ながら言う。


 この王家の資金を元手に色々発明したかったが…仕方ない。

 私、レグルスはこの日ファウスト家を追放された。


 母、兄、姉は私が追放されると聞いても、俺に目もくれず3人で談笑していた。


 ふむ。中々に薄情な奴らだ。

 前までは普通に話していたのだがな。


 私はすぐに、王城から追放された。


 私に責めてもの情けとして、王家から100Gという資金が出された。

 その金額は平民の子供が親から貰う、お小遣い程度の金額だった。


「ふむ。これからどうするか…」

 私は街でベンチに座り、殴られた頬をさする。


 まさか、こんなあっさり息子を追放するとは…。この国は、何でもスキルで人を選ぶ様だな。


 スキルが全てとは、なんとつまらない世界だろうか。

 私は大きな溜息を吐く。


 そして私はある事を思いつく。




「そうか、私には前世の知識もある。私がスキルで人を差別しない国を作ればいいのか」


 私が1人で言っていると、周りからの視線が私に集まる。


「どうせなら俺がめちゃくちゃ発明が出来る国を作るか」

 そう言うと私は立ち上がった。


「ふふっ! この世界ではどんな物を作ってやろうか…!」


 そう言うとレグルスはある所へ向かった。


 レグルス・ミラ・ファウスト。

 いや、ただのレグルスは街の平凡なベンチの前でさらりと壮大な決意を宣言する。


 周りにいる人達はレグルスを変な目で見たが、まさかこの発言が新たな時代の始まりだとは誰1人として思いもしなかった。

面白そうと少しでも思ってくださった方は、

ブックマークや広告下にある☆☆☆☆☆からの評価を宜しくお願い致します!


20時頃にもう1話更新します!

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