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以心伝心  作者: うみかぜ
4/50

第四話 完全上手

「いや、他人には話さないで欲しいんだけど……。」

「未来から来た人が隣にいて、そこから何もしないなんて、面白くない事しないわけないじゃない!今すぐTwitterに載せよ。」

「ま、マジか……。」

完全に詰んでしまった仁人。

「待って!頼むから!なんでもするから!」

お願いするしかなかった。今、パンツのネタを入れて『あれ、思い出すよ?』と言って脅そうとか考えたけど、逆効果だとすぐに気づいたのでやめた。

「そこまで言うんだ。逆に載せたくなるけど、いいよ。さすがに可哀想に思えてきた。」

「あ、ありがとう……。」

「何、してもらおうかな?」

そう言ってからの彼女の顔は、実に楽しそうだった。仁人は恐怖しか感じない。

「実はー。今日、おばあちゃんのお見舞いでここにいるんだけど、今日、大学に通うために、この近くに引っ越してきたばかりでー。その手伝いをしてもらおうかな?」

女子高生だと思っていたが、女子大生だった。

時は2014年に飛んだのでだけなので、恐らく今は4月だと予想していたが、案の定そうだった。あれは、本当に西暦をぴったり何年か飛ぶだけで、場所や月などは同じらしい。

「わかりました……。いいですよ。でも、大学に通うのに引っ越してくるには少し時期的に、遅いのでは?」

「つい、先日までは遠いところから通っていたのよ。本当は三月下旬には引っ越す予定だったんだけど、色々あって遅れちゃってね。」

「そういうことですか……。」

「歳上と分かった途端に敬語かー。君、意外と真面目?」

「自分で真面目と言う人は、真面目じゃない気が……。」

「アッハハ、確かに。」

完全に向こうが上手だ。

仕方なく、仁人は言われた通り、引っ越しの手伝いをする事にした。

病院からたった5分歩いたところで、

「ここだよ。」

と言われた。見たところ、普通のマンションであった。

605号室まで案内され、ドアを開けるとそこにはダンボールがとてつもない量置かれていた。

「うわあ……。」

これは間違いなく大変になる。

「これ、手伝ってね。」

「わ、分かりました。」

仁人は大人しく手伝った。

午前が終わる頃には三分の一は片付いただろうか。一応、休めるだけの場所は確保できた。

「一息つこうか。」

「そうですね。」

言われた通り、二人はリビングの椅子に座り、一息ついた。

「そういえば、その病人みたいな格好、どうにかしたら?」

「病人みたい、ではなく病人なんですよ。」

もちろん、着替えているはずもなく、患者衣でいた。

「でも、着替え持ってきてないですし……。」

「服あればいいんだけど、基本私の衣類しかないんだよね。私のも、男っぽい物は一応あるから、それでいいか。」

「えっ……。」

その瞬間、仁人は察した。その人、一人暮らしだと。つまり、今自分は女子大生の部屋に入れて貰っているのだと。そう思うと一気に落ち着かなくなった。

「ふふっ。慌てちゃって、興奮した?」

「し、してませんよ!」

「バレバレだよ。」

屈辱を感じた仁人。この人は手強いと、改めて思った。

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