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以心伝心  作者: うみかぜ
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第二話 疑心暗鬼

「このゴーグルってまさに、水泳で使うやつだよな……。」

本当に、このゴーグルは水泳の時などに使う以外に思いつかない。

「どういう事だ?」

考えれば考える程、分からなくなる。

「仮にこれがタイムマシンだとして……。どうやって使うんだよ……。」

説明書があるはずだともう一度封筒を漁っていた。

すると、封筒の中にもう一つ紙が入っていた。

「これか。」

ちゃんと説明書のようなものがあった。

しかし、その説明書は、まさに「ようなもの」であり、説明書というには程遠いものだった。

『ゴーグルを付けて西暦を叫ぶだけ!』

「適当か。」

思わずツッコんでしまう。

とりあえず、ここでゴーグルを付け、西暦なんて叫んだら、もうここには居られなくなるくらい、恥ずかしいだろう。そもそも、ゴーグルを付けるのが怖い。

「やるならあそこしかない……。」

「一応、これも持っていくか。」

仁人は今日の朝刊の日付と少しの記事、そして、自分のスマホを持った。

「これが使えるかもしれないからな。」

「すいません。トイレ行ってきます。」

「はーい。」

適当な場所と言えばそこくらいだ。幸いゴーグルはポケットに入った。

男子トイレに入り、人がいないか確認する。

「よし、誰もいないな。」

一応個室に入り、ゴーグルを装着とした。しかし、つけようととした瞬間、頭痛や、吐き気が襲いかかる。

「うっ……。やっぱキツイな。」

付けようとするとトラウマを思い出してしまう。

「なんで、よりによってゴーグルなんだよ。」

「これ、何も起きなかったら、ただの痛いやつだな……。やってられるか。」

そう言いトイレから出ようとした。

しかし、『君は、今、過去の直也を助けたいと思っているはずだよ』

手紙に書いてあった言葉を思い出した。

「クソっ。」

「あの時の後悔がゴーグルだけ付ければ、いいなんて安いもんだ。」

「やるしかない。」

再び個室に戻った。

手に持っているゴーグルを見るだけでも動悸が速いのを感じる。しかし、仁人は躊躇なくゴーグルを装着した。気持ち悪い、吐きそう、目が回る、目眩がする。だが、もし、本当に直也を助けられるなら安いものだった。



そんな事を思いながら、大きく息を吸った。トイレなので臭いが「叫べ!」と書いてあったので仕方がない。

「2014年!!!」

そう叫んだ。すると、体が浮き、震えが来る視界も悪くなり、再び、気分が悪くなった。一瞬気が飛んだ。そして、ほんの数秒、感覚は戻り、我を取り戻し、ゴーグルを外した。すると、

「きゃー!!!!!!」

と悲鳴が聞こえ、思わず

「わぁー!!!」

と仁人も叫んでしまった。

「ちょ、ちょっとあんた何よ!!!!」

なんと目の前には便座に座る女子高生がいた。

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