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以心伝心  作者: うみかぜ
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第一話 夜上仁人は動き出す。

「目が回りそうだ。辛い、苦しい、痛い……。」

そんな日々から6年が、経とうとしていた。



「うっ、今日は最悪の夢を見たな。」

夜上 仁人(やのうえじんと)は辛い過去を思い出していた。

重い頭を無理やり起こした。

「おはよう、仁人君。」

「おはようございます。福島さん。」

福島さんとは、仁人の担当の看護士の事である。仁人は小学6年生(2014年、7月28日)の時、水の事故で友人、田島 直也(たじまなおや) を亡くした。そして、自分も、同じく死にかけていた。それから、仁人は田島 直也を亡くしたショック、自分自身のトラウマから入院を強いられることになった。そこから6年が経つ。今、仁人は高校三年生。一度は退院したものの、今高校三年生になりたての4月になり再びストレスから体がやられ、入院、二度目の入院生活を送る事になった。

「よく眠れましたか?」

「小学六年生の時の夢を見ました……。おかげでよく眠れた気がしません。」

「あらー。そうなの?仁人君の過去の話聞きたいな?」

「福島さんにはもう、8回はこの話したと思いますよ。」

「それでも、聞きたいな?」

「見せ物じゃないんですよ……。」

「前はよく話してくれたじゃない。」

「そ、それは……。」

確かに、そうだった。辛かった過去は、思い出したくはないけど、逆に話す事で楽になる、なんて時もあったからだ。

しかも、入院中じゃ、話し相手は少ないし、とてつもなく暇だからだ。

それに、仁人のカウンセラーの方から

「仁人君からの話はよく聞いてあげてください。それが、ストレス解消に繋がる事もあるので。」

と言われていたらしく、福島さんは悪気はなく、逆に仁人のためにやってくれたのがだ、今日の夢は、あまりにもリアルすぎた。

「歯、磨いてきます。」

仁人は面倒になったので、話を逸らした。

「はーい。分かりました。」

そう笑顔で返してくれた。

仁人はを歯を磨きながら、

「今の俺なら、直也を救えたかもしれない。」

そう思った。あの時は仁人も直也も浮かれていた。夏休み、はしゃぐのは、もはや普通だ。あの時止められていればなと。少し、冷静になった今だから分かること。


仁人は朝の身支度を終え、朝食を取っていた。すると、福島さんから

「仁人君宛になんか届いているみたいだよ。」

と言われ、封筒を受け取った。

朝食を食べ終え、受け取った封筒を開けてみた。大きさはA4サイズだろうか。中には手紙とゴーグルが入っていた。

「うっ、……」

ゴーグルを見るとあの時の事を思い出し、吐き気を催した。一旦深呼吸し、止まった。

まずは手紙を読んでみた。

『夜上仁人君へ。突然ごめんね。決して怪しい者ではないよ。元気にしてるかい?冷静に聞いて欲しい、手紙と同封しているものは「タイムマシン」なんだ。』

「は!?」

「どうしたの仁人君。周りの人も少し驚き一気に仁人へと視線がいった。」

「いえ、なんでもないです。すいません……。」

とりあえず謝っておく。今はこれが適切だ。

「タイムマシンってどういう事だよ……。」

小声でそう言った。続きを読む。

『君は、今、過去の直也を助けたいと思っているはずだよ。だから特別にこれを送る。ちなみに、過去の自分に見られた時点で現在に強制送還だから注意だよ。他言は無用だよ。』

その下には「4月25日」と書いてあった。今日の日付が4月25日。でも、4月25日に書いたとしたら今日届くはずがない。昨日に書いて送ったから今日届くという予想で書いたのだろうか?それとも今日宛に、本当に未来から送られてきたのだろうか。ともかく謎が多すぎる手紙だった。

「つまり、これはタイムマシン?」

横に置いているのは手紙と同封されていた、ゴーグル。手紙の内容が正しければ、そういう事になる。

「意味がわからない。」

仁人は一つ謎を抱え、1日を始めた。

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