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長い1日 2

ここは麥の国の来訪者用の面会ホール。国に入る事を許され上の方達に文を届けたり、挨拶をしたり、一番最初に通される場所だ。私、小山真由美が召喚されて王族の方々と顔会わせが行われた場所。先程 昼食にしようという事になり今から王族家専用の食堂に移動する事になった。私も誘われたので皆と食事をとる事になり移動しようとすると、タカフミ君が

『まゆみ様、着替えを用意しておりますので此方へどうぞ。あっ、荷物は私がお預かりしていてもよろしいでしょうか?』と言いながら案内をしてくれる。

案内された場所には2人のメイドさんらしき女性が居てニコニコして待つている。

『お化粧はなさいますか?』

と聞かれたので、しなくても良いのならしないと答える。

2人は『畏まりました』

『では、失礼します』

と言いながらアレヨアレヨとまるで着せ替え人形でも扱うように楽しそうに私の服を脱がせワンピースを着せ、髪を頭のうえでまとめる。

その早さはアットいう間で、

『此方では公の場に出席される以外皆様もお化粧はなさいません。又、服装も公の場以外は比較的楽なものでかまいません』

と説明している間に終わった。

『 終わりましたので確認をどうぞ』と大きな鏡の前に連れてこられその姿を見た私は 『ん?、え、え、え~~~~~!』と顔を触りながら思いっきり叫んでしまった。その叫び声のあまりの大きさに皆驚いたのか、食堂に移動するのを止めてこの場に駆けつける。

『何だ、うるさいぞ!どうした?』と一番にアオイ君改めアオイ様が駆けつけ、着せ替え?を済ました私を見て何故か固まる。その後に皆さんが

『どうしたの?まゆみさん?』 『何かあったのかい?』 『大丈夫ですか?まゆみ様!』 そして2人のメイドさん達も

『何か不都合がございましたでしょうか?』 と不安げに見つめる。

そんな皆の言葉に答える様に 私は 『顔が』

『『顔が?』』

『体型が』

『『体型?』』

『違うっ!』

『『『違う?』』』

『いや、違くないけど』

『どっちだ!』

とイラつき気味に突っ込むアオイ様を見ながら私は呟く様に小さな声で

『昔に戻った?』

と又 呆然としてしまった。 すると、皇太后妃様が

『あらあら、肝心な事を説明してなかったわねぇ』と微笑み、

タカフミ君は

『まゆみ様、申し訳ございません。すっかりその事を失念しておりました。』と申し訳無さそうに頭を下げてきた。

改めて説明されると、なんと、この世界では時間の流れが地球とは違うのだ。この世界では地球の半分の時間の感覚らしい。なのでここでの1時間は地球では2時間、1日なら2日、一年なら2年。なのでかどうかは解らないらしいが召喚された人は地球に居た時の半分の歳に変換された状態で召喚されるとの事だ。

それを聞いて私は少し納得した。今鏡に映っている姿は自分が認識していた姿よりも痩せていて肌艶がある20代の頃の若い自分。確かに昔の自分の姿だった。

(皆さんはこの姿の私を見てたから普通だったんだなぁ)と又納得。

そう、召喚されてから今の今までずっと、どうしても納得出来ない事があったのだ。

それは第二王子というのが一番若いであろうアオイ《様》だった事。

そしてそんな第二王子の婚約者として召喚された私を見ても誰も異論がない様子だった事。

どう見ても40代の野暮ったい〈おばさん〉が相手では不釣り合いどころか親子でも失礼な位なのに皆平然としていた。

そう、アオイ様の言動を否定した時も目上の者に対してではなく 女性に対してだったり 腕を掴んだりした行動に対してだった。

(それで『この娘』だったんだー)とアオイ様を見ると、彼も私の言動に納得したという様な顔をしていたので私は先程の失礼な言動を謝罪した。

『アオイ様、先程は自分の姿がわからなかったとはいえ、失礼な態度でした。すみませんでした。』と頭を下げる。それを見てアオイ様は

『それはもうイイ。それより、アオイ様は止めろ!』といわれた。

『では、何とお呼びすればよろしいでしょうか?』と聞いてみると

『アオイでかまわない、後敬語も止めてくれ。俺も普通に話すから。』(敬語をやめるのは別にイイとしてもいきなり呼び捨ては厳しいなぁ)『いきなり呼び捨ては難しいのでアオイ君でもイイですか?』と了承を得る。

そうして着替えも終わった私は皆と食堂に移動した。

食堂には先程の騒ぎの場にいなかった第一王子のカイ様と第一王子妃のフレイミー様が居て小さな子供を抱いている。どうやら別室に居たお子様を迎えに行っていたらしい。

そのお子様の名はルイ君。1才半。その背中には透明で光沢のある羽根が付いていた。いや、生えていた。

(か、可愛い)

(可愛い過ぎる)

(天使?天使だ!)

(本物の天使だー)

(天使が居るー)

(天使の羽根があるー)

と此処でも一人騒いでしまっている私。~一応、先程大声をだしてしまったので声を出さずに頭の中で~ そんな私の横にアオイ君が来て

(うるさい。確かに可愛いがルイは天使ではない。人と妖精族の子だ。あれは天使の羽根ではなく妖精族の羽根だ。初めて見るのだから興奮するのは解るが、落ち着け。)

と何気に説明を頭の中でしてくれる。その時カイ様とフレイミー様の後ろから小さな女の子が出てきた。

その女の子の名前はメイちゃん、歳は3歳。これまた人形の様に可愛らしい。色白で金髪、瞳の色は澄んだブルー。そして何より羽根がある。可愛くない訳がない。

(此処にも天使が居る~)

(や~っ、どうしよう~)

(可愛い過ぎる~)

と一人暴走が始まりだしたのでアオイ君がすかさず

(わかったから止めとけ。)

と冷静な声でとめられた。

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