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長い1日

 [ふぅっ、疲れた! ]

今日は少し早めに帰る事ができた。明日は休みなので少し徳した気だ。車のエンジンを切る前に時刻を確認すると午後11時になろうとしている。マンションのエレベーターを降り玄関の鍵を開け中に入れると、すぐに鍵を閉めチェーンをする。そして玄関の電気を点けるのがいつもの流れ。しかし今日は電気を点けると何故か途端に周りが真っ白に輝き、眩しくなった。

(わっっっ)

[何?爆発?]

一瞬何かが爆発したのかと思いおもわず声が出てしまった。すると

『大丈夫ですよ、まゆみ様。爆発ではございません』

突然部屋の中から声をかけられ(ビクッ)となりながら振り返る。其処には誠実そうな若い男性が微笑みながらこちらを視ていた。鍵をあけて入ったその場所は自分の借りている部屋のはずなのに何故か知らない部屋だった。いや、部屋というよりどこかのホールの中の様な真っ白で、大理石でも使っているであろう高級感の漂う様な場所だった。『.....』『どちら様でしょう?』 『…?…てか何?…何処?...今、まゆみ様って言いました?』突然の出来事に驚いているとその男性はニッコリ微笑みながら質問に答える。『こちらは我が麥の国の城の中で、確かにわたくしはまゆみ様の御名前を御呼びさせて頂きました』 と頭を下げてくる。そのまま男性は私が光に包まれたのは自分が召喚魔法でこの世界に喚んだから、どういう理由で召喚したのかを説明してくれた。私は呆然としながらも『はい』と相槌をうちながらただただ説明を聞いていた。

『.....と言う訳で…』と説明を聞いるのに近くに居る男性が誰かを呼んでいる。[...おい…][お…娘](本当たまに人が話しを聞いているのにうるさい人っているだよなぁ)などと思いながら説明の方に意識を戻していると、[...おい小娘。][タカフミの言ってる事をちゃんと聞いているのか?]と急に腕を掴まれ怒鳴られた。

『あっ、アオイ様乱暴はいけません!』と、タカフミと呼ばれた誠実そうな男性はアオイという男性に焦りながら声を掛ける。私は呆然としながらタカフミという男性の話しを聞いていたのだが、反応がいまいちだった為アオイという男性が声を掛けてきたらしい。しかし男性の(娘)という言葉が自分に向けた言葉とおもわず反応しなかった私に、その対応が無視されたのだと思ったアオイが腕を掴んで自分の方にひっぱったという訳だ。アオイはむすっとした顔でタカフミに

[この娘が呼んでいるのに無視するからだ]と言いながらわたしを睨んだ。!!!?それまでおとなしく話しを聞いていた私はいきなり腕を掴まれ怒鳴られた事と(この娘)という言葉で(プチッ)ときてしまった。私は掴まれた腕を払いながら『いきなり何ですか?無視されて頭にきたというなら謝ります。ですけどいきなり訳もわからず知らない場所に自分がいて知らない人達に囲まれ、ここは異世界で貴女は第二王子の婚約者、元の世界には戻れませんといわれて普通でいられますか?黙って説明を聞けてるだけでも凄いと思いますよ?おまけに自分よりなかり年下と観てわかる子に(娘、小娘)と呼ばれても自分の事を呼ばれているなんて思いもしません!こちらにも非はあるかもしれませんけど、貴方もそれなりに立場のある方なら初対面の女性に対して、しかも10も20も年上であろう人間に(娘、小娘)という言葉は失礼じゃあありませんか?』と、一気にまくし立てた。そう、10も20もと言う様に私は若くない。

私、小山真由美、44才独身。

一度も結婚はしておらず20代までは何種かの仕事をし。20代の終わり頃から現在まで(うどん屋)で社員として働いている。毎日朝から仕事をして帰りは夜の11時から12時の間に帰るという生活の繰り返し。今は週1日の休みはあるが、長い休みは年に一度の正月休みの4日間だけ、正直40を過ぎると少々キツイ。もう見た目も中身も決して若くない。なので目の前の男性基男の子だろうと誰だろうと見た目で若くないと判断できるのだ。しかも只でさえ、第二王子の婚約者?とか自分には関わりのない様な疑問だらけの話しをきいて呆然となるのは当たり前と言えよう。それでも真面目に説明するタカフミ君と呼ばれた男の子の話しを真剣に聞いている最中にタカフミ君と同じ年頃の自分よりかなり年下の僕ちゃんに(小娘)と言われて誰が気ずく?気がついてそれが自分の事と思えたならそれはかなり痛い人だと思う。流石にそこまで残念な人間ではないつもりだ。そういう訳で見知らぬ人達の中に一人という状態であるにもかかわらず、私はアオイという男の子に意見した。するとそれまで黙ってこちらを視ていただけの視るからに立場の偉いであろう方達が私の意見に賛成してくれた。

[確かに今のはアオイが悪い]と、4.50代位の金髪で優しい笑みの紳士が言う。するとその金髪の紳士の隣にいた上品な微笑みを浮かべる黒髪の女性が

『そうですわねぇ、確かにまゆみさんの言う通り初対面の女性対して失礼な態度ですわねぇ。』そしてその横の落ち着いた雰囲気の若い男性も『確かに立場のある人間の対応ではないし、男としてもするべき態度ではないな。』

『ですわねぇ、今のはわたくしもされたくありませんわぁ。』と白みがかった金髪の可愛らしい女性も続き皆何処か楽しそうにアオイを見る。皆に微笑みられながら否定されたアオイは一瞬むすっとした顔をしたが直ぐに仏頂面に戻り[自分が悪かった]と謝罪してきた。それが面白かったのかそれまで静観していた70代位のこの場で最も高貴であろう女性が『ふっ、フフフフフフ』と笑いながら優しそうな声で

『アオイが身内以外に正論で負けたのは初めてじゃない?確かにまゆみさんの言う通りだわね。急に知らない世界に召喚されてイロイロ言われても頭がおいつかないわっ、私もそうだったもの。ゴメンなさいね?まゆみさん。』と微笑み掛けられた。私も、『いえ、此方も感情的になってしまってすみません!』と頭を下げると、

『自己紹介がまだだったわね、私はこの国の皇太后妃、メアリーです。宜しくネ!』と、皇太后妃という立場なのにとてもフレンドリーに挨拶をしてくれた。その後皇太后妃が順番にその場に居る人達を紹介してくれ、その都度互いに挨拶をしていく。此処に居るのは主に皇太后妃とその家族だった。確かに皆、品格があり立場のある人だろうとは思っていたけど改めて王族の方々と言われると何とも言えない気分になる。その上、今の自分の格好が綿パンにTシャツ、上から作業着の様な会社名のネームが入ったジャケット、髪は後で結ぶだけ、顔はノーメイクという一般的にもどうかと思う姿だし、ましてや第二王子にハッキリ、シッカリ担架を斬ってしまっている。(ううっ、これは、消えてしまいたい!)そんな事を思い黙っていると、皇太后妃様が

『あらっ、そんな事気にしなくても貴女は当たり前の事を言ったのだしその容姿だって仕事帰りなら仕方ないわよ?』と気を使ってくれる。本当に優しい方だと思いながら

(でも、普段から化粧もしないし、お洒落もしないし、同じ女性としては駄目駄目なんだよなぁ)と心の中で反省しながらお礼を言う。すると、

『あらっ、貴女は自分の格好や仕事に自信がないの?見た目にこだわらず、堂々としている様に見えたけど?』と、又私を肯定してくれる。本当に優しい方だ。

....(うん?あれっ?今なんかおかしくなかった?、会話になってる?)

『あのぅ、すみません。今私声に出してましたでしょか??』明らかに心の中で考えていた事に対して皇太后妃様から声を掛けらた様な気がして質問すると タカフミ君が説明してくれる。

『皇太后妃様及び王族の方々はテレパスの能力がおわりになります。なので今、まゆみ様が心でお思いになった事に対して異論を唱えたのです。ですのでまゆみ様は声には出しておりません。』

(テレパス?テレパスって何だ?)と思うと

(テレパスとは簡単に言うと相手の考えている事が解る事よ!)と言う皇太后妃様の声が頭の中でした。突然の声に対して又タカフミ君が説明をしてくれる。皇太后妃様は60年前にこの世界に召喚された事、本来王族の方々は魔道師としてのスキルがあるのだが、皇太后妃が皇太后様と御婚姻されてから王族家の皆様にテレパスの能力が加わった事、そして皇太后妃様は産まれた時からテレパスの能力があったという事らしい。『前の世界の時は今みたいにコントロールが出来なくて嫌な事の方が多かったけどこの世界に来たらイロイロ便利な能力になって良かったわ!』と笑って言う皇太后妃。実際に元の世界では誰だろうと近くに居る人の考えている事が頭に入ってくるので能力と向き合い使いなれるまでは大変だったらしい。気味悪がられたり、変人扱い、陰口なんかは当たり前だったなどなど。

(…確かに知りたくもない人間の考えている事なんて聞きたくもない。ましてや敵意がある事やら人には言えない様な隠し事まで解るなんて、私なら人と関わりたく無くなるだろう。それなのに皇太后妃はこんなにも優しくて明るい!本当に大変だったんだろうなぁ、すごく前向きで

すごく温かい人なんだろうなぁ)などと一人勝手に涙ぐんだり微笑んだりしていると、ふと、周りの皆が優しい笑みを浮かべながらこちらを視ていた。

(??ん?なんか視られてる?)[だから、ん?っじゃなくて今、まゆみが考えてた事も全部、皆聞こえているんだって解ってんのか?]とアオイ君に突っ込まれたのだけどその顔は何処か優しい。しかもチャント名前で呼んでるし。

『まゆみさんはテレパスと聞いて私達が怖くはないの?気味悪いとか思わない?』と皇太后妃様に聞かれたけど

『んー、驚きはしましたし大変だったんだろうなぁとは思いましたけど、考えている事は自分の本心なので別にイイと言うか逆に便利だなぁというか、今のところ問題ありません。そもそも異世界という時点で何でも有りな感じだし。今はそっちの方が問題なので』と答えると皆が『そりぁ、最もだ!』と笑った。確かに私からしたらいきなり異世界に跳ばされた方が重大でこんなにも優しそうな人達がテレパスだという事はそれほど問題ではない。そんな事を思っているとどこからか鐘の音が鳴る。それを聞いた国王が笑いながら

『さぁ、もうお昼の時間だ。細かい事やこれからの事は後々していけばイイだろう。まずは昼食を頂きながらゆっくりしよう!』その言葉に皆も笑顔で頷いた。



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