ワン モア チャンス
今日もゴミ捨て場に向かう。
いつもの作業を行い、とりあえず20ドルゲットだ。
価値がわからないけれど、まぁこのくらいあればいいのかもしれない。
あの子たちが喜んでいるから、あわせて喜んでおく。
リュートとチチは最近は、昼と夜にカスカスパンを食べるようになった。
一日一食のほうが、時間取らなくていいと思うのだけど。
まぁ楽しそうなので、自分も一応参加する。
余った時間で、廃車からバッテリーを抜いて集める。
幾つか使えるものを太陽光パネルとつないでみる。
廃品の灯具をいくつか試すと、まだ全く使用できるものがいくつもあった。
廃品と使用不可品は似て非なるものだな。
コンバーターで変換し、220V60HZにする。
日本は100Vが主流だが、東南アジアは220Vが主流だ。
これで、何とか少女たちの家にも灯をともせる様になった。
夜に明かりをともすと、スラムは暗いせいか妙に目立ってしまう。
二人とも最初は喜んでいたが、そのうち眩しいと消して寝てしまった。
翌朝、二人の悲鳴で目が覚める。
また現地民たちに囲まれている。
しまった、侵略に来たことがバレたのかもしれない。
もう、何もできるチカラがないとはいえ、こちらに非はある。
すごすごと家をでて、現地民に身を任す。
漸く死ねるのかもしれないな。
すこし寂しい気もする。なんだか人生の終わりが一番楽しかったように思う。
二人の顔を最後に眺めて、にっこりと笑う。
もう一回くらい揉んでおけばよかったと、少しだけ後悔する。
酷く痩せて、それでいて目つきの鋭い男が、こちらにやってくる。
手にはボロボロの金と、もともと着ていた自分の服や靴があった。
「すまない、これはあんたに返す。」
それから、膝をついて頼みだした。
「大して金が払えるわけじゃない。厚かましい願いなのはわかっている。俺を殴ってくれていい。」
そして、頭をどろどろの地面に擦り付けてつづける。
「他のみんなの家も、助けてやってくれないか。」
そうか・・。
まぁ少女たちの家が悪目立ちするのも良くないと思っていたところだ。
男の手を取り、芝居ッけたっぷりで答える。
「こちらこそ、皆の力になれたら嬉しい。出来ることは何でもやろう。」
そして周囲の人達とも握手をし、笑顔を交わす。
この辺は侵略用に練習しておいたので、ちょっと自信がある。
さぁ、もう一回くらい揉めるチャンスがあるかもしれないな。
ここは頑張ってしまおう。




