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ゴミの神マヨラーの誘い

 

「師匠! 全部売れたよ旅の人にさ塩とビンが。そっちはどう?」



「こっちもだ。商人に纏めて買い取ってもらった、ちょいと値切られはしたがな」



 専門でやってる商人の嗅覚には驚かされる。塩なら売れるんじゃないかなとダストで召喚した100均の塩を買い取ってもらったんだが、味見したいとのことで舐めたら質の良い物じゃないとすぐに見破られたのだ。


 ペロリ。これは質の悪い味の塩だぜぇ~てな具合。



 それでも売れたのは、この世界では塩の精製自体に時間がかかるからだそうだ。海のあるアクアノイドで1袋で小銀貨1枚で売れるくらいだから、海のない山の方に行けば単純にもっと高く売れるんだと思う。


「塩は鉄板だな。他の街でも問題なく売れると思う」


「生活必需品だから他の街でも売れるんだね」


「そういうこった」


 ダストで召喚したメモ帳とボールペンを使い、ルクスは生き生きした様子でメモをとっている。


 いい傾向だな。自分で売った商品が貨幣の重みに変わると、やはりモチベーションも上がるだろうし生きた経験になると思うんだ。



「まだ売ってたの。もうすぐ日暮れるよ」



 酒場から一人で出てきたパエリアの手には骨つき肉が握られており、もぐもぐと立ち食いしている。うーむ見栄えとか人の目とか気にせんのだな、さすが豪快らしいドワーフというべきか。



「今日はここまでだけっこういい金になったぜ。レジスト小銀貨が15枚、おかげでダストの回数がゼロだ」


「レベルが上がったそうよフロンジ」


「むっ……その人を舐めた口調と能天気な声はミリーンかっ!」


「よっ。アンタのスキルレベルが上がったことを、この忙しい中に教えにきてあげたのヨ。感謝しなさいフロンジ」


 相変わらず透明のビニール袋を首から被り、胸の辺りや下半身だけは布で覆っているこの口の悪い精霊。能力で序列を決めてるのか、仕事の能率で決めてるのか分からんが、ゴミの神マヨラーの序列第5位の精霊だ。何故か序列第三位のチョコレーより偉そうなんだよなコイツは……。


 それにミリーンのやつは毎回、まったく仕事してる風には見えんし。



「相変わらず口が悪いなこの暇人ピンクめが」



「しばらく見ない内に口が達者になったようねフロンジ。相変わらず臭いわね風呂に入ってるのアンタ?」


「別に風呂に入らなければ死ぬってこともないだろう。何か問題が?」


「大アリよ」


「俺も少し気になってたんだけど、言いづらくて」


 むっ……ルクスまでこの暇人ピンクの側につくのか。


 視線は自然とこの場にいるパエリアに向けられる。


「ん~私は気にならないかな~ドワーフは火を使う鍛冶仕事がメインだからさ。私は綺麗好きな方だから週に3回入るけどねお風呂」


「うわっドンビキだわヨ。てかこんなドカ食いツインテールいたっけ?」


 指を差し俺に名を訪ねるミリーン。勝手に変なあだ名をつけられとる。


「むぅ~何この無礼な精霊は! どこの神の眷属?」


「聞いて驚きなさい、この私は偉大なるゴミの神マヨラー様の序列にして第5位の精霊ミリーンちゃんなのヨ」


 お前は自信満々に言うけど、世間の認知度は誰も聞いたことないような最低クラスの認知度だぞミリーンよ。


「ゴミの神って……そういえば昨日言ってたっけ? ふーんまったく聞いたことないけど知名度は? 祠や神殿はいくつあるの? これまでに地上に下ろしたアーティファクトは? 信仰で得れる神の力の恩恵は?」


 質問を浴びせられる度に、タジタジになり顔がひきつっていくミリーン。


「こっ……これから増えるのヨ。そして神々の中でも最大の信徒数を誇り神殿には信徒とお布施で溢れミリーンちゃんの銅像も作られる予定だし、色んな世界を旅する予定なのヨ」


「それ。全部お前の願望じゃねーか! 行こうぜパエリア、これから旅のルート決めるんだろ」


 ミリーンを無視して行こうとすると、背中越しにミリーンの声が響く。


「あっ。近い内にマヨラー様がアンタに面談があるって言うから準備しておきなさいヨ。それから風呂に入ってないとマヨラー様にスクラップにされるわヨ、フロンジ」



 げぇっ……面談だと……めんどうくせえな冗談じゃねえよ。何でこの暇人ピンクより性格の悪そうな神に会わなきゃいけないんだよ。断固拒否する!


「おい旅の途中だぞ俺達は。場所も知らないし面倒だから無理だと言っておいてくれ」


「アンタの都合なんか知らんわヨ。無意識の睡眠中は記憶の海に繋がってるからそこで招待されると思うわ。首を洗って待ってなさいヨ。あ、ついでにそこのショタ小僧もね」


「え!? 俺もなの!?」



 驚くルクスに言及することもなくミリーンは虚空にすぅっと消えて行った。


「相変わらず言いたいことだけ言って去ってくな、ミリーンのやつは」


「どうしよう……てか何で俺まで神様と面談なんだろう?」


「多分、家に祭壇設置したから信者扱いなのかもしれん」


 ルクスがものすごく嫌そうな顔をする。

 気持ちは分かるぞ、俺も面談なんかしたくないし。これまで会った精霊全員ポンコツだしな。




「マイナーらしいけどさ。直接神様に会えるなんてすごいね」


 なんてパエリアは言うのだけれど。

 俺は手振りで答える。


「すげえ口も悪いし、性格悪そうな神なんだよなこれまた」


「とにかく今後のルートを決めようよ」


「そうだな。居酒屋で何かつまみながら決めようぜ」


 俺達は居酒屋でパエリアの目的である、ラファエル工房までの道のりを決める計画を練ることにした。


 ――――――――――――――――――――


 ・アツト

 年齢39才

 スキルレベル6


 ☆ NEW 現在ダストレベル2までの上限解放


【ダスト】

 ・ダスト召喚回数1日・・・15回まで

 ・食品および雑貨召喚限度金額・・・2500円までの物を召喚可能


【ボックス】

 ☆ NEW サイズ上限解放 現在80サイズのダンボールほどの大きさ

 ☆ NEW 賞味期限切れの食品の時間巻き戻し 1日辺り24時間

 ☆ NEW 壊れた物の修復巻き戻し1日辺り1/5サイズ


【ミックス】


 解放スキル


 ・ぷにぷにボール+ウニの殻=スーパーウニウニボール。

 投げると爆発しトゲが辺りに飛散する。

 皮の盾くらいなら、トゲがたやすく貫通する野球で使ってはいけないボール。




 ・ペットボトルの空+炭酸水=炭酸ロケット砲。

 遠投投石機と同等の威力があり、城壁を軽々砕く。

 コントロールに難アリ。



 ・ガチャガチャのカプセル+小麦粉=灰色の煙

 忍者が使うアレの効果、地面に叩きつけると途端にもくもく煙が上がり視界をくらますことができる。

 ちなみに吸い込みすぎると普通にむせる。


 ・ダンボール+ビニール風呂敷=ダンボールハウス

 水を弾く撥水性のある謎の素材、超ダンボールでできた1K8畳のお手軽ハウス。

 荒野も鉱山も雪山もこれで怖いものなし。

 火に弱いのであっさり燃える。








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