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――大丈夫かな。お茶もくれたし。
意を決して立ち上がると、執事ゴーレムは私の前に立って案内を始めた。庭園の奥へと進むと、遠目には壁の模様に見えていたものが実は巨大な神殿の正面で真ん中に入口が開いていたということに初めて気づいた。
「こちらの中でございます」
執事はさらに神殿に入っていき、私もその後を追って中へと足を踏み入れた。そこは外の明るさに比べるとやや暗かったがそれでも十分な光が保たれていて、さらに窓から差し込む光がステンドグラスに彩られて鮮やかな色彩を床に落としていた。
「こちらへおいで下さい」
神殿の中を進み、執事は奥の行き止まりにあった一つの部屋を指し示した。執事はドアを開けるだけで中に入ろうとはしないので、ここから先は私一人で入らなければならないようだ。
中に入ると執事はドアを外から締めて、私は部屋で一人になった。
――何だろ、ここ?
――さあ?
とりあえず部屋の中心まで移動して、何か不測の事態が起きないか周囲を警戒していると、部屋の光が徐々に中心に集まって一つの形を取り始めた。
――やっぱり罠!?
――やっぱりって、あんた、大丈夫って言ってたじゃない!!
「はじめまして。私はスキル管理プログラムです」
私とKYがうろたえていると、光は妖精の形態を取って話しかけてきた。ここのところ驚くことばかりだったけど、これはその中でも一番と言えるほどの驚きだった。
「名前を入力してください」
「え、名前?」
「名前を入力してください」
「えっと、私の名前でいいのかな?」
「名前を入力してください」
「私は宇治葉子です」
「登録しました。ようこそ、葉子さん」
妖精の話し方は無機質で見た目の可憐さとは不似合いな無骨さがあった。さっきのゴーレムが岩の体にもかかわらず人間的な話し方をするのとは対照的だった。
――この子、何なのかな?
――スキル管理プログラムなんじゃないの?
――いや、それはそうなんだけど。
「葉子さんの情報を登録しています。少々お待ちください」
――何かやってる!?
――見て見て。触手がすり抜けるよ。
――ちょ、やめてよっ。
KYが妖精に腕触手を伸ばして掴もうとしたところ触手が体をすり抜けたのを見て、面白がって何度も触手を伸ばして体を貫いて遊び始めたので、慌ててやめさせた。何か間違って怒らせたらどうなるか分かったものじゃないよ。
「登録完了しました。内容を確認しますか?」
「はいっ!!」
――ちょ、あんたねっ!
――何?
――何で勝手に返事するの?
――だって気になるじゃん、何が登録されたか。気にならない?
――そりゃぁ、気になるけど……。
私とKYが言い合っているうちに、妖精は体の横に黒いスクリーンを作り出した。そのスクリーンには見慣れたものと見慣れないものが見慣れないフォーマットで書かれていた。それはこんな内容だった。
名前 宇治葉子
種族 テンタクルキメラ
EXP 1245
スキル1 接合魔法
スキル2 空き
スキル3 空き
頭1 (アメイロコウガイビル)
頭2 (アメイロコウガイビル)
頭3 空き
右肩 (メクラマムシx2)
左肩 (メクラマムシx2)
胸 (オオオカイソギンチャク)
腹 (アカエボシクラゲ)
背中 (ヒラタトゲカタツムリ)
横腹 イワミミズx3
足1 (チスイゾウビル)
足2 スズヘビ




