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 ということで、チョウチンヤモリの尻尾はムカデ避け専任として、クラゲ触手でハサミムシの巣を探し、どうにか主のいなくなったハサミムシの巣を見つけて一息つくことができた。触手を失ってお腹が空いているが、腕触手の再生が始まるまでしばらくは空腹を我慢しておとなしくしていることにした。


 KYと交代で仮眠をとり、ようやく腕触手の先端が再生されてきた。もうお腹はペコペコで貧血で頭がくらくらしそうだ。


 ――……ダメだ。

 ――もう我慢できない。


 珍しくKYと意見が一致して、私はハサミムシの巣から飛び出し獲物を探しに出かけた。


 チョウチンヤモリの尻尾と2本の腕触手の頭は地面に向けてムカデの警戒をし、残りの2本の腕触手の頭はハサミムシを探すために通路の壁に向けた。


 頭だけの腕触手はまだ器官が小さく未成熟で、視界はぼやけて不鮮明だった。しかも、ほとんど首が固定されているも同然でほんのわずかしか向きを変えることができない。しかし、それでもないよりははるかにましだった。


 私はムカデの存在を警戒しながらも、最大限の速度でダンジョンを移動してハサミムシを探した。できれば大きい方がいいけれど、この際食べられれば何でもいい。


 ラッキーなことに見つけたのはちょうど子育て中のハサミムシだった。大型のハサミムシが1体に6体の小型のハサミムシの幼体が群がっていた。


 じゅるり


 思わず全身の触手の口からよだれが垂れた。


 もはや私の目にはフライドチキンとチキンナゲットのコンボセットにしか見えない。一匹も取り逃すことのないよう全クラゲ触手を繰り出して360度包囲の上過剰戦力で一瞬の隙も与えずに仕留めた。


 ――ごはんっ、ごはんっ。

 ――ごはんっ、ごはんっ。


 急いでぬるぬる体液溜まりを乗り越えてまずは大型のハサミムシの上にまたがった。


 「んんっぁぁぁんん」


 あまりのおいしさに大きな声を上げてしまうけれどもそれは仕方がない。だってこんなに空腹だったんだから。吸血口の角度を変化させて血液を早く吸い出せるよう、はしたなく腰を押し付けつつ前後左右に揺すっているけれど、もちろんそれも仕方がない。


 さらに周りに転がる6つのハサミムシの幼体(=チキンナゲット)についても忘れてはいない。この大きさだと股の吸血口では食べづらいので、私はセーラー服をたくし上げブラをずらし、まずは手近な幼体に胸を押し付けるように覆いかぶさった。


 「っふぅぅぅんんっ」


 胸にはイソギンチャクの触手とその真ん中にイソギンチャクの口がついている。普段はブラの中に収められセーラー服で隠されているのでこれまで使う機会はなかったけれど、今こそその真価を発揮する時だ。


 腕触手がまだ回復しないので幼体を持ち上げることができない私は、直接胸を幼体に押し付けてイソギンチャクの触手を使って口に運んで食べる必要があった。


 ハサミムシの成体にまたがりセーラ服とブラをたくし上げて胸を幼体に押し付けつつ腰を振りながら甘い声を上げるという姿は、自分のことながら痴女にしか思えないけれど、もちろんあくまで食事である。


 あ、そもそも全身触手の時点でそれが食事であろうと何であろうと興味はないという冷静な突っ込みはこの際控えてください。考えると鬱になってしまいそうだから。


 それにしても、さすがはハサミムシ。ダンジョンのグルメだけのことはあって良質なたんぱく質、脂質、その他もろもろの栄養素が体に巡って急に元気になってきた。


 特に幼体を食べたことはよかったようだ。幼体の栄養バランスがよかったのか、それとも胸の口の栄養接種効率がいいのかはよく分からない。ただ、もろもろの理由から胸の口を今後使うことはないと思う。


 ――女はそうほいほいとセーラー服を脱いだらダメなのよ。

 ――むしろ腕がないのにブラを外したらダメだということが分かった。


 KYはそう言いながらイソギンチャクの触手でブラを元通りに戻そうと無謀な挑戦を繰り返していた。イソギンチャクの触手ではブラをたくし上げることはできても元のようにカップに収めることはどうしても難しいのだ。


 ――ダメ。あきらめた。腕が生えてきたらやり直そう。

 ――え、ちょっと、それじゃ、しばらくブラが外れたまんまなの?

 ――仕方ないじゃん。どうせ誰も見てないよ。

 ――乙女のプライドなのよ!


 だって、あんなことをした後にブラがずれたままなんていかにも事後って雰囲気満々じゃないの。それで外を出歩くなんてありえないわ。


 ――私はちょっとエロいことを考えすぎだと思う。ちょっと目をつむっててあげるから、今のうちに一人で解消しときなよ。

 ――がぁぁぁぁっ。

 ――痛いっ。痛いっ。


 KYのあまりのKYな発言に切れた私は、他に得物もないので自分の頭触手をKYの頭触手にぶつけて抗議の意思を示した。

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