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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

オレと、お前と、チョコと

作者: よいち

苦手な方は右向いてダッシュ!全然大丈夫~な方はぜひどうぞ!アドバイス頂けると泣いて崇めますW

 ***


 2月14日。


 これを聞くだけで、カップルは色めき立つだろう。

 そう、バレンタインだ。


 突然だがオレ、桂木 功、には恋人がいる。可愛い彼女?

 そうじゃねぇ。


 生真面目でいいこぶってる。でも、すげえ照れ屋で、頼りになる彼氏だ。

 そっち系の趣味かって?別にいいだろ。恋なんて人それぞれだから。


 で、今日はその前日。

 明日はチョコを渡す予定だ。

 これには、今まで協力(やり過ぎ)してくれたオレの姉貴も手伝ってくれる。


「ハイ、ちゃんと手を動かす!」

「すまん……」


 姉貴に怒られながら、失敗しながら、チョコを固めたり、ケーキを焼いたり……。

 そしてラッピングをした。(ほとんど姉貴が……)オレの彼氏、中山 大樹の好きな色、青でだ。


「そんじゃ、おやすみ~」

「おやすみ……」


 そして、明日チョコを渡すところを妄想しながら、眠りについた。





 2月14日朝



 うぅ……体が重い。寒い……。



「ちょっと~、功いつまで寝てるの?」

 そう言いながら姉貴がオレの部屋に入ってきた。

「寒い……」

 素直にそう言うと、姉貴は急いで体温計を取りに行った。


「ちょっと大丈夫!? はい熱はかる!」

 無理やり測ってきた。……自分で出来るのに……。





「え!37.1!? ちょっと今日は休みなさい。風邪薬は置いとくから!」


 ……どうりで寒いと思った。


 でも行かねぇと。バレンタインチョコを渡す為に……。



 そんな執念が通じたのか、無意識に言っていたのか、

「はぁ、昔からあんたは一度決めたら止まらないからね……早く準備して」


 そう言って姉貴は制服を投げてきた。

 何だかんだで、姉貴は姉貴だ。いいとこもある。



「早く準備しなさい!」

「おぅっ!」


 ……怖いけど。





 そして学校へ向かった。





 ***



 昼ごろには、怠さはあるが、寒気は特に無くなった。


 そして、



 結局、チョコは渡せなかった。



 大体何時も

「あ、大樹。これ……」


「あ、あの中山先輩! チョコを受け取って下さい!」

「私からもお願いします!」

「わたしの為にありがとう。頂くよ」


 あぁ~……






 で渡せなかったんだ……。



 しかも、これは昼休憩もだ!

 オレの大樹に触んな!喋るな!笑いかけて貰うな!



 ……はぁ……、くだらないことで嫉妬した。前は平気だったのに……。



 だからなのかオレは焦った。









 そして、女子が居なくなったところを見計らって声を出した。


「帰り、お前んちに寄る」

「ぇっ……!? あぁ、じゃあ一緒に帰りましょうか」


 寄るのも余りなかったから驚かれた。確かに驚く。









 オレは家に行けると聞いて、そればっかり考えてた。……薬を飲み忘れるほど……。




 ***


 オレは校門で大樹と待ち合わせてから一緒に向かった。





 二人で何度も歩いた道を歩く。


 近くの公園では、子供がサッカーをしてる。


 見慣れた人達がオレ達に挨拶してくる。

「中山さんとこの、えぇと……、大樹君と、功君。お帰り。」

「はい。理恵さんただいま」

「ただいま」





 もうすぐ大樹の家だ。


 オレはぼーとする頭で、何となく思った。

 冬は寒い……


 クラクラする。





 急に目の前が暗くなった。




「……功!? どうしたの……!?」


 大樹の慌てた声が聞こえた。


 ………

 ……

 …。




 ***


 目を開けると、見たことがない天井と、心配そうにオレを覗き込む大樹の顔があった。


「功、大丈夫ですか!? そうだ熱を……」

 オレは慌てて、体温計を取りに行こうとした大樹の腕を取った。


「待ってくれ、かばん、オレのかばんを」

「はい……」

 そう言うと直ぐにかばんを渡してくる。近くに置いてあったのか…。



 オレは急いで中からチョコを出して、

「大樹、受け取ってくれ」

 大樹に差し出した。


 苦手なお菓子づくりまでしたし、きっと受け取って美味しいと言ってもらえると、期待を込めて。




 けど、大樹は首を振って


「いえ、わたしは要らないですよ」


 そう返された。

















 オレは頭が真っ白になった。





 期待してただけに、ショックが大きかった。


 ……なぜ受け取ってくれなかった?

 ……それは、オレからのは要らないってことか?


 ……それは、オレが嫌いで、もう別れて欲しいってことか?





 ……オレはお前が好きなのに、お前はオレを好きじゃないってことか?








 オレはお前が好きだって言おうとした。

 けど、直ぐに思いとどまる。


 好きでもない奴に言われても、嫌いになるに決まってる。と、言いたい気持ちに嘘をついて。






 そして、もう居られない、居てはいけない、とかばんを持ってオレが部屋を出ようとしたら、


「まだ寝てて下さい」


 そう言われて、ベッドに連れ戻された。




「体を大事にしなくちゃいけませんから……ね?」


 そして、心配そうな顔で言ってきた。





 ……オレはそれが気に入らなかった。嫌いなら、優しくせずに、突き放して欲しかったから。嫌いにさせてくれ、なんて自分勝手なことを思ったから……。


 オレはついに言ってしまった。

「ほっといてくれよ! オレの事なんて」


 そして、一回言うと止まらなくなった。



「オレがこれをどれだけ一生懸命作ったと思ってるんだ! 大好きなお前のためと苦手なお菓子作りをしたんだぞ! なのにそれを要らない? ふざけるな!」


 大樹は驚いた顔をしている。……知ったことか。



「大体何時も一緒に帰ったり話すだけで恋人らしいことなんて何もなかったじゃないか!! オレはずっと、したかったし、してほしかったし……前から好きで、今も好きなのに……!」


 驚いた顔が次第に真面目な顔になった。オレの言ったことが分かったらしい。



 オレの目を見つめ、そして、

「それなら、わたしの方がもっといっぱい、あなたを愛していますよ!」


 予想外の言葉を放った。



 一瞬、言われたことが分からなかった。



 大樹はさらに続ける。

「あなたは何か勘違いしています。わたしはチョコなんて皆さんから貰える物ではなく、……」


 そこで言葉を一旦切り、なぜか照れながら



「功、……あなたが欲しいのです……」


 ……そう言ってきた。




 そして、オレが手に持っていたチョコを取って

「でも、そこまでされたものなら、受け取らないといけませんよね?」


 一口食べ、混乱しているオレに


「とても美味しいです」


 という言葉を投げ掛けた。


 次の瞬間口の中にチョコの風味が広がった。






 ……そしてようやく、理解が追い付いたオレは、自分が今、キスされたと分かった。


 もう、さっきまでの暗い感情は無くなっていた。


 思えばこれは、大樹からのバレンタインチョコなのかもしれない。

 ただ、このチョコの味は今まで食べた中で、一番美味しかった。




 ゆっくりと口を離してから、大樹が妖艶な笑みを浮かべ

「……これは、チョコのお礼です。……惚れ直して頂けましたか?」


 と聞いてきた。





 ……オレは、


「勿論だ。このオレをもっと惚れさせたんだから、」



 そこで、オレも変わらないような笑みを浮かべ、

「責任は取ってもらうぞ?」




 そう言った。




*****


 次の日、


 ケホケホ……ケホケホ……。

 大樹にもオレの風邪が移り、オレ達は仲良く寝込んだ。

 




 Fin.

読んでくださりありがとうございました!

拙い文章ですみません…


では、お粗末様でした。

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