モノマネ
彼の名は河合・武市・壮太。親高校に通う高校二年生。
父親は龍馬かぶれの宇宙人
母親は幽霊のおりょう
兄は人斬りだった剣死朗
そして居候には作者の生時がいた。
またペットにビッグ・フッドのドラニャンがいた。
さらに狼男から幽霊となった元狼男もいた。
ある日、彼らはモノマネをしていた。
まず最初は作者の生時がルナシーのリュウイチのマネをした。
「お前ら全員でかかってこい!」
さらに調子に乗った生時はマリス時代のガクトのマネまでした。
「ようこそマリスミゼルの世界へ」
それを聞いていた武市はこう思った。
「(小説でモノマネなんかしても読者は分からんだろうが……)」
次にモノマネをしたのは龍馬かぶれだ。
「(どうせ坂本龍馬のマネだろう)」
と、武市は思った。
だが、彼自身龍馬だと思い込んでいる。
だから坂本龍馬のマネをすることはない。
彼はなんと宮本武蔵のマネをしたのだ。
「小次郎敗れたり」
それを聞いて剣死朗はこう言った。
「これはすごいでござる。似すぎでござる。まあ、宮本武蔵の声なんて聞いたこと無いけどね」
「(じゃあ似ているかどうか分からないだろうが……てか、誰も聞いたこと無いだろう)」
と、武市は思った。
「さすがダーリン。私も武蔵の声なんて聞いたこと無いけど」
「(だから知らないなら似ているかどうか分からないだろう)」
「僕感動したキリン。泣いていいですかキリン。ちなみに僕も声聞いたこと無いけどキリン」
「俺も声を聞いたこと無いが、これは似ているぜ。宮本マサシに」
「(誰だよ。宮本マサシって)」
「次はおりょうの番じゃ」
「じゃあ、私の得意なラムちゃんをやるわ」
「(ラムちゃんか……女の子でよくまねする子いるけど大抵似てないんだよな)」
と、武市は思った。
そしてラムちゃんの真似を始めた。
「しゅわわわわ。どう?似てたでしょう」
「(どこが!?)」
と、武市は思ったが、他の連中は盛り上がっていた。
「さすがおりょうぜよ」
「なかなかでござる」
「泪が止まらないキリン」
「ちょっとまて」
と、狼男が言った。
「(狼男も似てないと思ったんだろうな)」
「わが一つ足りね~ぞ」
「(ツッコムとこそこかよ!)」
「確かにわが一つ足りないでござる」
「そんなことはないぜよ」
「いや、しゅわわわわわだったはず」
「(わが足りね~とか以前に、ラムちゃんといったら、ダーリンなになにだっちゃ。だろう。それともアグネス・ラムの真似だったのか?)」
武市は本気で考えたが、おりょうのマネをしたのは、うる○やつらのラムちゃんでもなければ、アグネス・ラムでもない。
彼女はラムネの真似をしたのだ。
「分かるか~!」
と、大声でツッコム武市。
「今度はオラの番でござる。オラは忍者ハッ○リくんのハットリカンゾウのマネでござる」
「これはた、すごく似ているぜよ」
「ちょっと悔しいって感じ」
「泣けるキリン」
「特にござる。といっているのが似ているな。さすが八十斎」
「(いや、そいつ自身いつもござるって言っているんだけど)」
「オラのは以上でござる」
「おお、最後の最後まで似ているぜよ」
「(だから、ござるっていつも言っているし、ハットリくんはオラなんて言わね~よ)」
「次は僕の番だキリン」
そう言って、ドラニャンはキリンの仮面を取り、「ガー!」と叫んだ。
「これまたすごいぜよ」
「今までの中で一番似ているんじゃね~か」
「(何のマネだったんだろう?なんかの動物か?)」
「怖いくらい似ているでござるな。ビッグフッドに」
「(ちょっと待て。そいつ自身ビッグフッドだからね)」
「ここまでビッグフッドに似ているビッグフッドはそういないぜよ」
「(ビッグフッドに似ているビッグフットっておかしいだろう。モノマネでも何でもね~よ)」
ドラニャンはキリンの仮面を被った。
「おお!今度はキリンににているぜよ」
「まさか二つもやるとは」
「(いや、ただ、キリンの仮面付けただけだから)」
「自分もビッグフッドの真似は自身があったキリン。泪が出てくるキリン」
「(だから、おめ~はビッグフッドだろうが。てか、さっきから何で泣いてんだ、コイツは)」
「次は俺の番だ」
と、狼男が立ち上がった。
「まあ、誰の真似か当ててくれ」
そう言って、物まねを始めた。
「ちょっと。痛いんだけど」
「(え?誰の真似なんだ?)」
武市は考えた。
「(他の連中も何もいわないという事は皆も分からないんだ)」
だが、ドラニャンがこう言った。
「これは悲劇という意味で泣けるキリン」
そして、よく見ると、武市以外の連中は皆泣いていた。
モノマネをした狼男までも泣いていた。
「あ、あのう誰の真似ですか?」
「武市さんは無知じゃのう」
「えっ?そんなに有名な方なんですか?」
「俺のはな、俺が食い殺したタゴサクって奴の真似だ」
「分かるか~!」
と、大声でツッコンだ。
「ちなみにさっきの、ちょっと痛いんだけど、というセリフは、アイツの左腕を食い千切ったときに奴が言った言葉だ」
「左腕食い千切られて、ちょっといたいんだけど、で済んだのかよ」
タゴサク……30代までは優秀な医者だった。
だが、それでは人のためにならないと思い始めた
「何でだ?ヤブ医者だったのか?」
優秀な医者だと解説したでしょう。
人の話はちゃんと聞こうよ武市さん。
「作者に言われたくね~」
その後40代の時に、人のために強盗に転職した。
「おい~!それ人のためじゃなく、人に迷惑かけているじゃん」
「ワシはそれを見習って、第1話で強盗をしたぜよ」
「アンタは地球の事をもっと勉強しろ」
だが、そんな彼も50歳になると、思春期を迎えた。
あそこに毛が生えたり、親に反抗したり、女の子に興味を持ったりした。
「思春期遅すぎだろう」
そして、とうとうグレてしまった。
まだ、50なのに、タバコを吸ったり、酒を飲んだりし始めた。
「いや、50ならいいだろう」
さらには100円をネコババまでしてしまった。
「強盗するよりはマシだろう」
だが、100歳を向かえ、ようやく更正をした。
「更正するのに50年もかかったのかよ。てか、40代の時の強盗の方が問題だから」
「100歳を向かえ、これから真面目に生きようとしたのに、俺は食い殺してしまった。奴の人生はこれからだったのに」
「食い殺したのは問題あるが、100も生きれば、十分長生きした方でしょう」
「ちなみに右腕を食い千切った時には、もう少し優しく食い千切ってよ、初めてなんだから……なんて言うから、ときめいてしまった」
「右手食い千切られているのに、なに初めてHする時の女の子みたいないい肩しているの。てか、100のじーさんにときめいたのかよ」
「さらに下半身を食い千切った時は、これで私もオカマの仲間入り……なんて言うから、俺はもうこいつしか愛せないと思った」
「狼男は言っている事とやっていることがおかしいだろう」
「だが、悲劇は起きた」
「おい、今までのは悲劇じゃないのか?」
「奴が頭だけになった時、奴はこう言った」
「おかしいだろう。何で頭だけになっても話せるんだ!?実は人間じゃなかったのか?」
「いや、普通の人間だ」
「頭だけになっても話せる奴を、普通の人間とは言わないから」
「奴は醤油をかけると美味しいよ……と、教えてくれたが、俺は間違えてソースをかけてしまった。まさに悲劇!さすがにソースをかけたことに、頭にきたんだろうな。頭しかないだけに」
「うまくね~よ」
「奴は、何でソースをかけたんじゃ!と、物凄く恐ろしい顔で言うから、俺はその時ちびってしまった。だから、頭を食べるときは、震えながら食べたよ」
「だから、お前は言っている事とやっていることがおかしいんだよ」
「そんな俺も、八十斎に殺され、幽霊に転職し、奴と再会した時、奴は怨んでいた」
「当たりまでだ」
「何でソースをかけたんじゃ!と」
「怨むとこがおかしいぞ。タゴサクさん」
「私も年に360回くらい会うけど」
「ほとんど毎日じゃん」
「あんたの事怨んでいたわ。でも、この前会ったとき、こう言っていたわ。100円をネコババした俺の罪に比べれば、狼男の罪なんて可愛い物だと……そんな俺が奴を怨むのは筋違いだな~と、言っていたわ」
「ネコババより、強盗の方が罪が重いし、それ以上に人を食い殺す事の方が最大の罪だから」
「そうか。そう言ってくれたんだ」
しばらく皆沈黙した。
そして龍馬かぶれがこう言った。
「よし。タゴサク殿のためにも、ワシらが今できるのは、最後までモノマネをすることぜよ。さあ、最後は武市さんじゃ」
「えっ!(まあ、本当のモノマネが何なのか、皆に教えてやるか)」
そう言って、武市は福山雅治の真似をし、桜坂を歌い始めた。
武市のモノマネはすごく似ていた。
目を閉じて聞いていると、本当に福山雅治が歌っているようだ。
「これは似すぎぜよ」
と、龍馬かぶれが言った。
その言葉に、武市は勝ち誇った顔をした。
だが、さらにこう言った。
「似すぎて面白くないぜよ」
「なに!」
「ホント。正直、福山さんに似ているからって何て感じ」
「大体、小説でモノマネしても読者には、似ているかどうか分からないでござる」
「そうだキリン。そうだキリン」
「やはり前回、呪い殺しておくべきだったか」
「なんかしらけたって感じ」
「オラ、剣の稽古に行ってくるでござる」
「では、ワシは龍馬伝のDVDでも見て来るかのう」
「私も見る」
「僕は散歩に行ってくるキリン」
「じゃあ、俺はあの世に行ってくるか」
あっ、じゃあ作者も現実世界に戻ろうかな。
「ちょっと……一人にされたんだけど」
一人にされた武市の前に、老人の幽霊が武市を睨んでいた。
「えっ?誰?」
この老人幽霊こそ、タゴサクであった。
そしてタゴサクは、武市にこう言った。
「兄ちゃん、空気読めよ」
「ス、スイマセン」
こうしてタゴサクという新たな仲間が増えたのであった。