九話 アテネのパーフェクト教室
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国をも揺るがすような事件を起こしたとは露知らず、竜地とアテネは森を歩き続けていた。
『とりあえず少々ハプニングはありましたが、最初は〈教国〉に向かおうと思っています』
「〈教国〉・・・てなんだ?」
『・・・そういえば、まだ何も話していませんでしたね』
「ああ、そうだな。何も説明されず、いきなり、しかも強制的に送り込まれて、着いた先ではまたもやいきなりエンカウントしてバトってたせいで何も知らないんだよ」
『・・・悪かったですね』
「何を謝っているんだいセニョリータ!」
『・・・気持ち悪いんでやめてもらえません?」
「すまん、俺もそう思う」
そんなこんなで、アテネによる説明が始まった。
*
『まずはこの世界の説明ですね。この世界は通称〈インヴィジョナル・レイ〉と呼ばれています』
「どの言語でも訳せそうにないな、その名前」
『この世界では、あなたが元住んでいた世界と違い魔法が使えて、実際に空想上の生命体や神も存在します。後魔物とかもいます。先ほど倒した〔ナックルベア〕もそうですね』
「むしろ存在しなかったら驚きだがな」
『じゃあ、次は国についてですね』
「・・・・・・」
なんか無視されてる・・・。
・・・ウサギは寂しいとライオンを喰い殺すんだぞ。
『そんな物騒なウサギはいませんよ』
「心を読むな!」
『国は全部で四つですね。名前と特徴はそれぞれ、
〈ジッダ王国〉
王を絶対とした、いわゆる絶対王政です。
ですがなかなかの善政であり国王もいい人です。
周りの貴族は知りませんが。
一応戦争中で現在は少し財政難に陥っているみたいです。
〈ヴァンデス帝国〉
こちらもジッダ王国と同じ絶対王政ですがこちらは最悪です。
国王も侵略主義で周りの貴族もそれを煽っているため、大多数の国民は貧困に苦しんでいます。
奴隷も認可されてます。といってもロマリア教国以外はすべて認可されてますが。
ジッダ王国が戦争中の国で現在は自然休戦になってるみたいです。
〈ロマリア教国〉
大陸認定の非武装国で宗教国です。
大陸最大の協会がある場所で、ここではどんな犯罪者でも受け入れます。
もちろん受け入れたは強制的に労働施設に送られ、そこで自分の罪の重さだけ働いた場合、その罪はロマリアの名のもと、免罪されることになります。
ここには治療師や神官の教育もしていて、神学校もあります。
〈ギルド連合国〉
その名の通り冒険者ギルドと周りにあった中小国を合体させてできた国で各地にあるギルドホームの総本山です。
ここには、冒険者が多数集まっており、さまざまな人物からの依頼が日夜よせられています。
冒険者自体が粗暴なため治安もいいとは言い難いですが、悪いとも言えない中途半端な感じですね。
―――っとこんな感じですね。何か質問は?』
「冒険者とかギルドって?」
今のところ疑問点はこのへんだな、国は聞いても長くなりそうなだけだろうし。
『冒険者とギルドですね。
〈冒険者〉
ギルドに登録したいわば何でも屋みたいな人たちです。
SSS、SS、S、AAA、AA、A、B、C、D、E、Fまでの十一段階で区別されていて、上のランクにいくほど冒険者の質も良くなりますが、依頼も危険なものばかりになるので、Bランクから上は細かく分けられています。
〈ギルド〉
冒険者たちのための依頼仲介所で様々な依頼を冒険者に仲介して運営しています。
ギルドでは魔物の素材の買取もしていて、こちらは冒険者登録していなくてもやってもらえます。
依頼には、採取、討伐、運搬、護衛、特殊、とあります。
たまに魔物の大群等が出た場合強制依頼で冒険者を呼ぶこともありますね。
まあ、そんなことは頻繁に起きるはずはないんですが。
ちなみに冒険者登録はやめたほうがいいと思います』
「えっ、なんでだ?」
たいていは登録するのが王道だと思うんだが。
『あなたは、魔王城に向かうため、各地を旅しなければいけないんですよ?ただでさえその剣のせいで強くなってるんですから、登録なんかしたら依頼に追い回されますよ。素材の買取だけで十分です』
「なるほどね・・・」
ありそうだ。確かにありそうな話だ。
『じゃあ、次は〈教国〉に行く理由ですね。〈教国〉に行く理由は』
「いや、待ってくれ」
『だが待たない!』
「馬鹿な!」
まさかの返しだ。ってか質問させろよ。
『・・・冗談はそこまでにしておいて、聞きたいことはなんです?』
「お前が一方的にやっていたんだがな・・・俺が聞きたいことはこれについてだ」
そう言い俺は右手を差し出す。
いや、正確には右手の魔剣を。
アテネは顔をしかめながら答え出した。
『・・・正式名称は不明、昔の戦争で魔王が使用していた魔剣です』
「俺が聞きたいのは能力の方だ。さっき言ってたよな『ただでさえその剣のせいで強くなってるって』
あれは、どういう意味だ」
『昔魔王が戦場で使っていたものしかわかってはいませんので、判明しているのは四つです。
《憤怒の恐怖》
周りにいる生物のステータスを全て一段階下げる常時能力。
《嫉妬の執着》
剣にあらゆるものをくっつける能動能力で、空気をくっつけて刀身を作ることなどもでき、強力な接着のチカラで刀身にヒビが入ろうが折れようが問題なく使えます。
《暴食の悪食》
剣の周りにある魔力や神力を軒並み喰らう常時能力です。魔法に接触した場合は、その魔法に込められた魔力を全て吸い取り、魔法を無効化します。神術も同様です。
《強欲の侵略》
これは刀身にある錆で対象を侵食して自由に操作することのできる能動能力です。ただし非生物限定です。
こんなところですね』
「・・・・・・」
えっ、強すぎね?
あまりのチートっぷりに驚き隠せない。
ってか・・・
「これ持ってお前らが戦いに行けよ、いや行かせろよ」
俺、必要なくね?
『それは無理です』
どうやらそれは違うみたいだ。
「・・・なぜだ?」
『えっと・・・呪いがあるからです』
「・・・・・・ホワイ?」
今なんて言った?この女神は。
『強すぎる力は呪いにもなっていて・・・憤怒は味方も巻き込み孤独になり、暴食は持ち主からもやたらめったら魔力やら神力を喰らい持ち主を干からびさせ、嫉妬は絶対に持ち主から離れなくなり、強欲は使用した対象の能力を解除すると消えてしまうから持ち物は、ほぼ使い捨て。しかも他にも力はあるみたいでそれにともない呪いも・・・』
「―――そんなもん使わせるな!!!」
道理で言いづらそうだったわけだよ!
そりゃ言えないよ。
その剣、呪われてますって。
『いいじゃないですか!結果オーライで!』
「もし俺がそれで死んでたらどうするつもりだ、テメエ!」
『えっと・・・』
「・・・・・・」
『・・・どんまい!』
プチンッ!
その時、俺の何かが切れた。
「そこになおれ!堕女神!今すぐ俺が引導を渡してやる!」
『やめて下さい!その剣は流石に洒落にならないです!」
「よっしゃ!いいこと聞いた!いざ、成敗して――ん?」
『・・・これは』
そんな時、俺に聞こえた音それは鋼鉄のぶつかる音、馬の足音、そして―――
「キャァァアアアアアアアアッッ!!!」
―――悲鳴だった。
説明回です。
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訂正 暴食の欄に神力を追加しました。