五話 これは・・・・・・
今回は長いです。
結果、六秒で負けた。
あいつ、やっぱり女神じゃないよ。魔神だよ。いやそれ以上だよ。
あの後、悪魔もドン引きするぐらいボコボコにされた。
ちなみに、今もボッコボコにされて床(?)に這いつくばってる感じ。
・・・いや・・・まあしょうがないよね。
神様だもん。厨二病臭い名前した女神様だものってそれは関係ねえか。
だけれど・・・
「・・・すごいですね。まさか保険(光の矢)をかけておいたとはいえ最初の一撃をよけられるとはおもってもいませんでしたよ。人間ではよけるどころか認識すらできない速度だったんですけどね」
だって。
これは・・・喜べばいいんだろうか・・・?
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なんとかあの状態から復活した俺。
この中にいれば、魔法かなんかは知らんけど、よくわからんものが働いて傷の治りが早くなるみたいだ。
骨折は流石にしてないが、全身打撲が五分で治るって・・・。
「―――つまり、お前が言いたい事は世界を救えっていうか魔王を倒せって感じか?」
「まあ、そんな感じです」
なんというテンプレ。
もう少し内容を捻る努力をしたほうがいいと俺は思う。
「どのみちあなたに選択権はありませんので、さっさと元の世界と決別をつけて出発したほうがいいですよ」
「・・・人ごとだなお前」
でもまあ、アテネの言ってることも一理ある。
このままグダグダいるよりは、さっさと出発してしまったほうが後腐れなくていいかもしれない。
どうせ、もう死んでるんだしな・・・ハハッ。
「よし!その世界に行ってやるから―――ほら!」
そうして俺は手を差し出す。
異世界トリップにはあれがつきものだろ?
そう―――チート能力が。
「・・・?なんですか、その手は?」
でもアテネには通じないみたいだ。
・・・これだから駄女神は・・・。
「何言ってるんだよ。そのわけわからん世界とやらに行って救ってやるんだから武器かなんかよこせよ」
「なるほど、そういうことですか・・・。じゃあ、これなんてどうですか?
『零番封印倉庫、解放せよ』」
〈真名を〉
またアテネが呪文のようなものを紡ぐと、なぜか頭の中で声が響いた。
『アテネ』
〈ようこそ”断罪の女神”様。
御所望の品はいかがでしょうか?〉
『封印番号001番を』
〈そちらは禁忌指定となっておりますが、よろしいでしょうか?〉
『是』
〈では、転送を開始します〉
・・・気のせいだろうか?
アテネが名前を言った瞬間、頭に響いていた声が聞こえなくなったはずなのに、体の奥底から逃げろと言う声が聞こえるのは。
〈転送を終了しました〉
そんな声がまた頭に響くと目の前に白い穴が開き紅い柄が出てきた。
「・・・これは?」
「お望みの武器ですよ。そのまま引っ張れば出てきますよ」
ふむ、嫌な予感がバシバシするが・・・まあいいだろう。
そして、俺は剣を引っ張り出した。
―――――――――真っ赤に血で錆びた巨剣を。
「ぎゃあああああああああああ!!!」
なにこれ!?なんかめっちゃ呪われてそうなんだけど!
急いで手から離そうと思っても接着剤でくっつけたようにガッチリ固定されている。
・・・・・・・・・なにこれ?
「言っておきますが、その魔剣は一度触れると二度と離れることはありませんので」
いやらしく悪魔のような笑みをしながらアテネは言った。
コイツ・・・いつか殺す。
「それでは早速必要な物も全て揃ったことで旅立つとしましょう!
『汝は逝くは光の道。神が認めし者の道を照らし、世界へと誘え』
さあでは・・・いってらしゃい!」
「ちょっ!おま、これなんとかして――」
抗議の声をあげようにも、突然現れた部屋よりも暗き穴に飲み込まれて叶わなかった」
「てめ!いつか覚えて―――ぎゃあああああああ!!」
その言葉と共に竜地は旧世界を旅立ったのであった。
*
竜地を(無理矢理)送り出したアテネは、一息ついていた。
「ふう、やっと終わりましたか。元気があるのもいいことですけど、有り過ぎるというのも、困ったものですねぇ。
さて、私もそろそろ行くことにしま――ん?」
そこで気づけたのは幸いか、アテネは先ほどの(強制)転送の失敗に気づいた。
「……これは……やっちゃいましたね……」
失敗、それはなにか、
「転送先の座標指定……わすれてましたね……」
アテネは祈る。
「さてと……では最初に勇者を探すとしましょうか」
どうか、勇者が死んでいても自分に責任が来ませんように、と。
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