二十一話 神森
お待たせしました。本編です。
そういえば今、リクエスト・・・があったわけではありませんが、番外編を執筆中です。
いつできるかはわかりませんが、暇があったら見てください。
お気に入り登録してくれたお方、評価してくれたかたありがとうございます!
戦闘が終了し、つい先ほどまで生きていたはずの物を埋葬していく。
俺的には、殺しにかかってきたのだからそのへんに放っておいてもいいんじゃないかと思ったが、”仮面王”が言うには、死体をそこらへんに放置しておくと、〔ゴースト〕や〔リビングデッド〕といった、アンデッド系のモンスターに変化してしまうらしい。
埋葬しておけば、そのまま放置しておくよりはアンデッドになる可能性が低くなるということ。
どうしてもアンデッドにしたくない死体(例えば、恋人や親など)がある場合は、教会に頼めば《浄化の聖炎》という魔法で、死体を火葬してアンデッドにならないようにしてくれるみたいだ。
・・・金は必要だが。
アリアは、死体を埋葬している間に起きていた。
体の調子は、少しだるいぐらいだと言っていた。
神力不足と、”仮面王”は笑っていたが、俺はその笑いには何故か乗れなかった。
死体を見たからではない、先ほどの戦闘で”仮面王”が最後につぶやいた言葉だ。
―――なあ、”遊戯帝”。今のを見て、お前はどう思った?
俺は、答えられなかった。
ひどいとも、そこまでやる必要はないんじゃないかとも、元の世界に居た頃なら持っていたはずの言葉が。
―――力には常に代償が付きまとうもの。強力になればなおさらだ。そのことを、胸にとどめておけよ。
”仮面王”は、そう言った。
その言葉で最初に思い浮かんだのは、右手に入っている『魔剣』。
この魔剣は、確かに強力だ。それこそ、理不尽とも言える能力を持っている。
なら、これこそそうなのではないだろうか?
―――力は突然増えることはない。ただ、日々の積み重ねにより増えるのみ。
急に倍増した力、圧倒的な力。アテネからは、強力すぎる能力ゆえの呪いを聞いている。
しかし、本当にそれだけなのだろうか?
この魔剣を使ったさいの代償は、本当にそれだけなのだろうか?
そして、俺の中で次の目標のようなものが決定される。
この魔剣は、もうこの手からは離れない。ならば、俺はこの魔剣について知らなければいけない。
知識も無く、この魔剣を使い続けるのは危険すぎる。
そのために目指す場所、初代の持ち主―――魔王。
俺は、その場所にたどり着かなければいけない。
それにしても、どんな皮肉だろうか?
魔王を倒すために渡された武器のために、魔王に会いにいかなくてはいけないとは。
素直に教えてくれるとは思えない、ならば取る方法は一つだけ―――力ずくだ。
埋葬が終わるまで、俺は終始無言だった。
アテネも、ラファエルも、アリアも、”|仮面王《ペルソナ』”も、空気を読んだのか、誰も話しかけてこなかった。
「・・・これで、死体に関しては大丈夫だろう。先を急ぐぞ。時間は有限だからな」
”仮面王”が、そう言い、歩き始める。
血に濡れていたはずの燕尾服も、水属性の魔法の応用なのか、今は汚れ一つついてない。
”仮面王”の後ろを歩きながら、俺はふと気がついた。
今までも見てきた、”仮面王”の無茶苦茶さ、そしてその圧倒的な力。
―――なあ、”仮面王”・・・お前は、何を代償にその力を手に入れたんだ?
そう、口に出すことは結局俺は出来なかった。
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程なくして、俺たちは〈神森〉にたどり着くことができた。
〈神森〉自体、教国が管理している場所なので、そんなに距離は離れてないのだ。
〈神森〉は、とても幻想的なところであった。
木々は規則性もなく、縦横無尽に生えているのに、どこか明るく、周囲は色とりどりの光る玉が飛び回っている。
光の玉は、虫かと思って触ってみようにも、手をすり抜けて消えてしまった。
これがもしかして、精霊なのだろうか?
「この場所は、常に神力で満ちているため、魔物が入ってくることはない絶好の野宿ポイントだ。ついでにいえば、精霊にとっても絶好の住処だ。周囲を飛び回っているのが下位の精霊で、まだ存在がうまく固定されていないから、魔力に触れると消える。だから、無駄に触って消すなよ”遊戯帝”」
慌てて手をどけるが、光の玉はそこらじゅうにあるせいでどけた手がぶつかり、一気に三つ位消えてしまった。
「・・・どうするんだよ。某弾幕ゲームもここまで鬼畜くねえぞ・・・」
「じっとしておけばいいだろうが。精霊は、好き好んで自分の存在を消そうとはしないからな」
”仮面王”に言われたとおりじっとしておくと、精霊は俺の体にぶつかることなく避けていく。
なんとか対策法は見つかったが、このまま動くなということだろうか?
”仮面王”は、どこからだしたのか白い一本足テーブルと椅子に座り、紅茶を飲んでるし、アリアも”仮面王”と同じく紅茶を飲みながら、精霊と戯れている。
少女の周りを飛び回る精霊・・・カメラはどこだ!
・・・すまない、少し暴走してしまった。
アテネとラファエルは、入口のところでお別れ。
曰く、神がここに入ると、色々とヤバイらしい。立場上。
てことで、孤立無援みたいな?
・・・・・・誰でもいいから助けて、というかこの状況をどうにかして欲しい。
「・・・・・・ん」
視線での救助要求が伝わったのか、アリアが椅子を降りて近づいてくる。
もちろん、アリアの周囲を飛び回っていた精霊もついてくるということで・・・
・・・シュッ!
ギャアアアア!精霊さんが、一気に消滅!?ナニコレ俺が悪いの!?
慌てふためる俺の手を取り、アリアは先ほどまで座っていたテーブルまで俺を連れて行く。
俺が動けば、当然のごとく精霊にもぶつかるので、どんどん消滅していく光の玉。
・・・諦めよう。これは、こういうものだ。
精霊のことは、もういないものとしてなるべく気にしないように歩き、いつの間にか用意されていた俺の席に座る。
「やっと来たか。ちなみに、下位の精霊は魔力にぶつかって消滅するから、魔法でも使えば自然に離れていくぞ」
「さっさと、言えよそれ・・・というか、俺は魔法を使えるのか?」
「魔力濃度も問題なし、属性は・・・まあ、気にしなくてもいいだろう。魔法の発動の仕方は、魔力を発動したいところ、だいたいは指か手の平に集めて、自分がこうしたいと強く願えば発動するぞ。魔法陣も、知識としてインプットしてあれば勝手に発動する」
「ずいぶん適当だな・・・それなら俺にも―――しまった!」
俺は、あることに気がづき、思わず頭を抱える。
”仮面王”は、紅茶をまた一口口に含み、アリアは、首をかしげる。
・・・いちいち仕草がかわええなコノヤロウ!
「・・・・・・どうしたの?」
「いやな・・・魔力って何?」
「その言葉では、まるっきり俺のことを聞いてない馬鹿に聞こえるぞ。お前が言いたいことは、魔力がどういうものか感じられないということだろう?ほら、これでいいだろう」
”仮面王”は、こちらに腕を向けて、見えない”何か”を放った。
害意はないようなので素直に受けてみると、当たった瞬間皮膚がザワッ!と騒ぐ感じがした。
”何か”は、そのまま体の中に消えていき、最終的に横隔膜らへんで止まった。
「感じたか?これは、赤ん坊に魔力の塊をぶつけて、魔力を滞りなく使わせるための技だ。まさか、この年の男に使うとは思わなかったがな」
「お前は、本当に一言どころか、二言三言余計だな」
あいも変わらず、人をイラつかせるやつだ。
「それで、魔法は使えるはずだ。最後に魔力がたどり着いた場所を思い浮かべて、そこに着くまでの道を頭の中で逆向きにたどりながら、最後に指から放って発動したい魔法を思い浮かべてみろ。俺的には最初は、《水の弾丸》がオススメだ」
「なんでだ?初歩魔術と言ったら、《火の球》じゃないのか?」
「そんなもん魔法初心者が発動したら、ここら一帯が火の森になるぞ」
「・・・なるほどね」
確かに、こんな森の中で火の球なんか出そうものなら、一気に燃え広がって自分まで巻き込まれてしまう。
魔王との戦いでもなく、魔王の四天王に近いものとも戦ってないのに、自分の魔法に巻き込まれて死亡とか、割と本気で泣ける。いや、別に死にたいわけじゃないんだけどね。
それに比べて、《水の弾丸》は周りへの延焼効果もなさそうだし、弾丸というからには色々と突き抜けそうだが、周りが水浸しになるということもなさそうだ。
「発動するのはいいが・・・水はどこにあるんだ?」
「これでも使え」
パチンッ!と指を鳴らすと、テーブルの中央にティーカップ一杯ぐらいの水が出現した。
「・・・・・・何もない空間からの水の生成は、かなりの高等技術のはず。・・・・・なにものなの?」
アリアが、”仮面王”を見ながら質問するが、”仮面王”は、笑って誤魔化し、瞬間、威圧感が返答の代わりに放たれた。
「これが、俺の特殊魔法だ。他にもいろいろとあるが・・・―――試して欲しいか?天使」
「・・・・・・遠慮しておく」
フッ、とピリピリとした空気が、先ほどまでのものに戻り、一息つく。
なんで、この二人はこんなに不機嫌なんだ?空気が、やたらと重い。
俺も、”仮面王”が用意してくれた紅茶を一口含む。
・・・うまい。でも、少しミルクが欲しいな・・・。
早速、魔法を試そうとすると、右腕がクイクイと引かれる感じがした。
横を見ると、先ほどより大きい光の玉から、触手のようなものが出てきていて右腕に巻き付いていた。
・・・思考停止中。
とりあえず一言言えること・・・リアルに触手を見ると、気持ち悪い。
いつまでも絡みつかれても嫌なので、絡みつかれていない左手で触手を払う。
しかし、光の触手は右手をすり抜けてしまい、逆にこちらが引っ張られるだけであった。
そんな触手との攻防を続けていると、アリアがこちらに気がついた。
「・・・・・・それ・・・中位の精霊・・・何があったの?」
「おお、本当だ。中位の精霊は、存在が比較的安定した精霊のことだ。いちおう、感情らしきものは備えてるはずだから、人間にはうかつには近づかないはずなんだがな・・・何か伝えたいことがあるんじゃないか?」
そう言われてみれば、確かにどこかに行ってほしそうだ。
椅子から立つと、精霊は意外に強い力で俺を引っ張り始めた。
「おっとっと、意外に力強いな。じゃあ、行ってくるよ」
「頑張ってこい、気に入ってもらえたら契約してくれるかもしれんぞ」
おっしゃ!精霊!契約!ファンタジーの定番!あれだろ?確か・・・
―――僕と契約して、光の勇者になってよ!
・・・ってやつだろう?
もしかしたら、この世界の歴史にも出てくる勇者の契約したと言われる光の精霊と契約できるかな?
ウキウキ気分でスキップしながら、俺は精霊についていった。
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精霊に連れられていった場所は、光輝く湖だった。
キラキラと輝く湖、飛び交う精霊、そして・・・中央に鎮座する大きな白い光の塊。
『よくぞ参った。精霊に導かれし者よ』
おお!なんか威厳のありそうな声が!他の精霊とデカさが違う、まさに大精霊といった感じ!
『キタキタ、クロイカミ』
『キタヨキタヨ、クロイカミ』
『ヌシサマノ、キタヨ』
『ユメ、カナウ。ヌシサマノユメ』
『ヨカッタネ、ヨカッタネ』
周りに飛び交う、中位精霊以上、真ん中の大精霊以下の赤青緑の光の玉がカタコトでしゃべる。
これは多分、上位の精霊だろうか?
ヌシサマ・・・ということは、これ白い光の塊こそ、歴史に残る勇者が契約した光の精霊なのだろう。
『ああ、そうだな。これで我が夢も・・・導かれし者よ、ここにいるということは我との契約を望むのか?』
「えっ、あっ、はい!」
うおー!なんか緊張する!高校受験の面接の何倍だよこれ。
・・・って、考えてみたらあんまり緊張してなかったな。あの学校、色々変だし。
『ならば・・・』
光の塊は、湖にゆっくりと沈み、湖に魔法陣のようなものを描く。
いや、これは紋章か?
二匹の蛇が、互いの尾を飲み込む無限の象徴・・・って、これまさか・・・?
白い光の塊は、紋章に触れている部分から紫に染められていき、完全に紫に染まった時、光がゆっくりと霧散していく。
そこから現れたのは、紫紺の大きな瞳。
口元に生え揃うは、万物を引き裂かんとする鋭牙。
その手には、山をも砕くと思われる剛爪。
全身を覆うは、鋼鉄をも超える強度を持つ、黒い堅鱗。
山と見違えんばかりの巨体。
そうそれは伝説の生命体―――黑龍であった。
『さあ、導かれし者は我との契約のため、我は我が夢のため、ともにその力を持って―――殺し合おうではないか?』
光の精霊ェェェェェェッッ!!
カムバックゥゥゥゥゥゥッッ!!!
残念だったね!光の精霊じゃなくて龍だよ!
てことで、どんどん勇者からかけ離れていく主人公。
それにしても、アテネとラファが出すタイミングが・・・やりづらい!
誤字脱字アドバイスなどありましたらご報告ください。




