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十八話 仮面王

遅くなりました。

テストが終わってまたテスト・・・終わりがないです。

あといつも感想を入れてくれてる方ありがとうございます。

あなたたちの応援のメッセージのおかげで、作者のメンタルはまだ崩壊してません

お気に入り登録してくれた方もありがとうございます。


 

 

では、本編をどうぞ。

「・・・なぜ・・・お前が、ここにいる・・・―――”仮面王(ペルソナ)”・・・!」


 ―――”仮面王(ペルソナ)”。

 名前は誰も聞いたことがなく、噂だけが一人歩きする謎の男だ。

 ただわかることは、俺の友人であり、俺の通っていた高校―――白鷺高校のトップに立っているということだ。

 いや、実質的にトップは三人いるのでそれは正しくないかもしれない。

 そのトップは、三人とも二つ名みたいなものがついており(主催、生徒会)、それぞれこんな感じになっている。


 ”仮面王(ペルソナ)” ”電脳皇” ”遊戯帝”


 ・・・全部ビックリするほどの厨二病であろう。あと、残念なことに”遊戯帝”は俺だ。

 ちなみに、この名前は全校生徒から生徒会が秘密裏に集計したものであり、俺は全く関与していない。

 ・・・”仮面王(ペルソナ)”は何かやっていたみたいだが。 

 だが、そんなことは今関係ない。

 今重要なことは、何故こいつがこっち(異世界)にいるかということだけだ。


「・・・そう睨むなよ。詳しい話はなかで話そうじゃないか、そっちの天使もな」


 天使という言葉に反応して、聖女がびくりと震える。

 しかし、竜地はそれに気づかず、〈春風の宿場〉に入っていくのであった。

 



■□■□■□■□■□■□■□




 〈春風の宿場〉に入った俺たちは、少し早い夕食を取ることにし、そこで話し合うことになった。

 四人がけのテーブルに座り、俺の隣に聖女、正面に”仮面王(ペルソナ)”という配置になった。

 料理の注文を終えると、”仮面王(ペルソナ)”は、話し始めた。

 ・・・こっちの世界にもスパゲッティーやピザはあるんだな。


「さて、お前は聞きたいことがあったんだろ?一体何が聞きたい?」


「・・・わかってていてるんだろ。あっちの世界にいるはずのお前が、なんでこっちにいるかだよ」


「それは簡単な答えさ―――呼ばれたのさ。お前さんと同じように、こっちの世界にな」


「俺と同じ・・・?それならお前は―――」


『―――ストップです』


 問いただそうとしたところ、アテネが横から入り止めてきた。

 不機嫌な感じを丸出しにして、心の中から呼びかける。


(今ちょっと重要な話をしてんだ。止めないでくれ)


『私的にはどうでもいいんですけどね・・・聖女の前でその話をしてもいいんですか?あなた達的に』


 ・・・え。

 ゆっくりと聖女のほうに顔を向けると、そこにはこちらを見つめる無表情の聖女が・・・。

 しまった!完璧に頭のおかしい奴だと思われてる!

 どうごまかそうかあせっていると、俺は一つの異常に気がついた。

 聖女は、こちらをただ見つめているだけで、身動き一つしていないのだ、―――呼吸さえも。

 周りを見渡しても、食堂にいる人々全員がまるで時間が止まっている(・・・・・・・・・)かのようにかたまっているのだ。


 俺と、アテネと―――”仮面王(ペルソナ)”を除いて。


「話が漏れることに関しては安心しろ。ここら一帯の時間は止めてあるから聞かれることはないはずだ。時空神(クロノス)の奴でも来ない限りな」


 あっさりと、人外じみたことを話す”仮面王(ペルソナ)”。


「・・・本当にお前、何もんだよ?」


「お前だって、他人のこと言えない立場じゃないか。なあ、史上最悪の魔剣の所有者さん?」


「・・・やっぱり、本物の”仮面王(ペルソナ)”だったな・・・」


 これまたあっさりと俺の一番の秘密を言い当てる”仮面王(ペルソナ)”。

 これもまた、元の世界では一般的な光景。

 そもそも、あの学校でトップに立つやつは全員普通じゃないやつばかりだ。

 ・・・俺は手違いだからな!

 まず、第一に目の前にいる”仮面王(ペルソナ)”。

 どこからともなく現れ、いつの間にか消えていく神出鬼没さ。

 勘違いにより襲ってきた暴走族を、無傷どころか、その燕尾服に汚れ一つつけず勝利する身体能力。

 ありとあらゆる知識を持つ頭脳。

 第二に”電脳皇”。

 その姿は誰も見たことがなく(不登校)、明らかにオーバーテクノロジーの技術を使い自分の代わりのロボットを作り上げる技術。

 どんなセキリュティーでも突破する、卓越したハッキング技術。

 こんな感じに、白鷺高校のトップは超人ばかりだ。

 俺?俺は、ただゲームが好きで、将棋クラブでもチェスクラブでも卓球部でも伝統遊戯部でも、さまざまな部活に問答無用で決闘を申し込んで、すべてに勝利しただけのただのゲーマーだよ。

 サッカー部の、『一人で部員全員抜きゲーム』は、さすがにきつかった。

 目が殺しに来てる目だったもん、まじ怖かった。結局勝ったけど。

 そもそも、ゲームと名のつくものなら、負ける気はしない。

 そんな、『全部活制覇ゲーム』をクリアしてしまったせいで、”遊戯帝”なんて不本意な二つ名が付けられてしまったんだけどな。


「?何を当たり前のことを言ってるんだ。俺の偽物なんているはずないだろう?それより、早く話を進めてくれ、この魔法はただでさえ疲れるんだから」


『・・・この人、本当に人間ですよね?時間干渉は、一応神でも難しい技なんですけど・・・』


「そんなこと言ったて、出来るもんはしかたないだろう。こんな魔法も神は使えないのか?」


『基本的に、神は魔法は使えないですからね・・・今度上に掛け合って―――って、私の声が聞こえてるんですか!?』


「そりゃ、目の前で喋られて聞こえないわけないだろう。俺にも似たもんいるしな」


 パチンっと指を鳴らすと、”仮面王(ペルソナ)”のちょうど隣の椅子に座る影がうっすらと浮かび上がり、そこに現れたのは・・・。


「ヒック、・・・もう・・・だめなんっすよ・・・ヒック・・・世界が・・・滅べばいいのに・・・」


 とんでもなく物騒なことを酔っ払いながらつぶやく、四枚羽がついた青い髪の少女だった。

 酒瓶片手にテーブルにうなだれる姿は、ダメ人間にしか見えない。


「なんか、いろいろと限界っぽいんだけど・・・」


「こいつが俺を連れてきた奴だ。名前は確か―――」


『―――ラファ!!??』


 ”仮面王(ペルソナ)”が名前を言う前に、アテネがその名を叫んだ。

 ラファという名前からして、ラファエルかな?アテネもいるしギリシア神話が中心なのか?


「ヒック・・・その声は、アテネさんッスか・・・?」


『そ、そうです。アテネです。それにしてもあなたらしくないじゃないですか、明るさがあなたの持ち味でしょう?』


 アテネがそう尋ねると、ラファと呼ばれた少女は、震える手で自分の横にいる人物を指して言った。


「あちきにはもう無理ッスよ・・・この人無茶苦茶なんですもん・・・やりたい放題なんッスよ」


『・・・一体何をすれば、天界一の元気爆発娘をここまで弱らせることができるんですか・・・?』


「何を言っている。ただ、そいつの言ったとおりに普通に過ごしただけだろう」


「あれの・・・どこが普通ッスか!!!」


 ラファが大声を上げ、飛び上がる。

 なんとなくわかる気がする。たぶん、勝手に行動しまくって、そこらへんを荒らしまくったんだろう。

 元の世界でもそうだった。こいつは、自分の興味があるものに関してはとことん研究をするのだ。

 ましてや、ここは異世界である。

 元の世界にはなかった魔法や、技術、文化などなど、こいつをじっとさせておくことができないほどの宝の山ばかりだ。

 どんな魔法を使って閉じ込めようが、突破してくるだろう。


「人聞きの悪いことを言うな。生きるために、金を集め、素材を集め、商売をしただけだろう」


「盗賊のアジトに喧嘩売って財宝奪って、〔ロックコング〕の群れを素手で全滅させて、貴族を騙したことのどこが普通ですか!!」


 想像を斜め上に突き抜けるレベルだった。

 やりたい放題だな、本当に。


「人聞きの悪いことを言うな。盗賊は討伐対象の奴だったし、〔ロックコング〕は防具を作るためだったし、貴族のほうは中身が腐ってた。横領で結構もうけてたから、多少の損もわかってくれるだろう。もっとも、盗賊の財宝は全部大した金にならなかったし、〔ロックコング〕の防具はこの服より性能低かったし、貴族のほうは後で私兵が山のように押し掛けてきたがな」


『・・・おかしいですね。人間を選んだつもりなんですけど』


「ラファだっけ・・・大変だったな・・・」


「うっ・・・名前も知らぬお方、わかってくれたんッスね・・・」 

 

 思わず、ラファの苦労を考えると涙が出てくる。

 こいつは、周りのことを考えずに行動するからな・・・。


「ああ、俺にはわかる・・・お前の苦労がな・・・俺もいろいろと振り回されまくったものだ・・・」


「あちきののことをわかってくれるのはあんただけです・・・よろしかったら名前を教えてくださいッス」


「俺の名前は、『朝葉(あさは) 竜地(りゅうじ)』だ。お前の名前は?」


「あちきの名は、『ラファエル』ッス。よろしくッス」


 そう言ってラファエルに右手を差し出し、固く握手をして、

 

「あっ・・・」


 ”仮面王(ペルソナ)”のめったに聞こえないような声が聞こえ、


「「・・・は?」」


 握手した手の隙間から―――紅い鎖が噴出し、手を縛り付け、


 ・・・じゅっ!


「「・・・・ギャアアアアアアアアアアッッッ!!!」」

 

 お互いの手を焼いた。


「あ、あちきの右手がぁぁぁぁぁっ!!!」


「あっちいいいいいいいっっっ!!!」


 二人仲良く、床の上で右手を抑えてのたうちまわり、 


 ガンッ!


 二人仲良く、テーブルの脚に後頭部をぶつけて悶絶した。


 アテネは、今の光景に目を丸くし、”仮面王(ペルソナ)”からは呆れの視線が飛んでくる。

 

『・・・今のはいったい・・・?』


「これはまた・・・おもしろ―――面倒なことになったな」


『なんか不謹慎な言葉が聞こえた気がしますが・・・なにが起きたのかわかるんですか?』


「ああ、とても簡単なことだ―――ラファエル、”遊戯帝”、自分の右手を見てみろ」


 後頭部の痛みもまだ残っているが、おとなしく右手を見るとそこには―――。


「これは・・・風か何かの模様か?」


「あちきのは、剣ですね」


 魔剣の紋章を囲むように、風を抽象化したような紋章が描かれていた。

 そして、ラファエルの右手には俺の右手にあるものそっくりの紋章が・・・まさか。


「なんとなく気がついたようだな。そう、これも魔剣の能力が一つ、《傲慢の眷属》。そして能力は、条件を満たした相手の―――永久隷属だ」


 俺、とんでもないことしちゃったかも。

PV五十万超えました。ついでにユニークも五万を超えました。

読んでくれている方、ありがとうございます。


誤字脱字アドバイスなどがありましたら、ご報告おねがいします。

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