十八話 仮面王
遅くなりました。
テストが終わってまたテスト・・・終わりがないです。
あといつも感想を入れてくれてる方ありがとうございます。
あなたたちの応援のメッセージのおかげで、作者のメンタルはまだ崩壊してません
お気に入り登録してくれた方もありがとうございます。
では、本編をどうぞ。
「・・・なぜ・・・お前が、ここにいる・・・―――”仮面王”・・・!」
―――”仮面王”。
名前は誰も聞いたことがなく、噂だけが一人歩きする謎の男だ。
ただわかることは、俺の友人であり、俺の通っていた高校―――白鷺高校のトップに立っているということだ。
いや、実質的にトップは三人いるのでそれは正しくないかもしれない。
そのトップは、三人とも二つ名みたいなものがついており(主催、生徒会)、それぞれこんな感じになっている。
”仮面王” ”電脳皇” ”遊戯帝”
・・・全部ビックリするほどの厨二病であろう。あと、残念なことに”遊戯帝”は俺だ。
ちなみに、この名前は全校生徒から生徒会が秘密裏に集計したものであり、俺は全く関与していない。
・・・”仮面王”は何かやっていたみたいだが。
だが、そんなことは今関係ない。
今重要なことは、何故こいつがこっちにいるかということだけだ。
「・・・そう睨むなよ。詳しい話はなかで話そうじゃないか、そっちの天使もな」
天使という言葉に反応して、聖女がびくりと震える。
しかし、竜地はそれに気づかず、〈春風の宿場〉に入っていくのであった。
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〈春風の宿場〉に入った俺たちは、少し早い夕食を取ることにし、そこで話し合うことになった。
四人がけのテーブルに座り、俺の隣に聖女、正面に”仮面王”という配置になった。
料理の注文を終えると、”仮面王”は、話し始めた。
・・・こっちの世界にもスパゲッティーやピザはあるんだな。
「さて、お前は聞きたいことがあったんだろ?一体何が聞きたい?」
「・・・わかってていてるんだろ。あっちの世界にいるはずのお前が、なんでこっちにいるかだよ」
「それは簡単な答えさ―――呼ばれたのさ。お前さんと同じように、こっちの世界にな」
「俺と同じ・・・?それならお前は―――」
『―――ストップです』
問いただそうとしたところ、アテネが横から入り止めてきた。
不機嫌な感じを丸出しにして、心の中から呼びかける。
(今ちょっと重要な話をしてんだ。止めないでくれ)
『私的にはどうでもいいんですけどね・・・聖女の前でその話をしてもいいんですか?あなた達的に』
・・・え。
ゆっくりと聖女のほうに顔を向けると、そこにはこちらを見つめる無表情の聖女が・・・。
しまった!完璧に頭のおかしい奴だと思われてる!
どうごまかそうかあせっていると、俺は一つの異常に気がついた。
聖女は、こちらをただ見つめているだけで、身動き一つしていないのだ、―――呼吸さえも。
周りを見渡しても、食堂にいる人々全員がまるで時間が止まっているかのようにかたまっているのだ。
俺と、アテネと―――”仮面王”を除いて。
「話が漏れることに関しては安心しろ。ここら一帯の時間は止めてあるから聞かれることはないはずだ。時空神の奴でも来ない限りな」
あっさりと、人外じみたことを話す”仮面王”。
「・・・本当にお前、何もんだよ?」
「お前だって、他人のこと言えない立場じゃないか。なあ、史上最悪の魔剣の所有者さん?」
「・・・やっぱり、本物の”仮面王”だったな・・・」
これまたあっさりと俺の一番の秘密を言い当てる”仮面王”。
これもまた、元の世界では一般的な光景。
そもそも、あの学校でトップに立つやつは全員普通じゃないやつばかりだ。
・・・俺は手違いだからな!
まず、第一に目の前にいる”仮面王”。
どこからともなく現れ、いつの間にか消えていく神出鬼没さ。
勘違いにより襲ってきた暴走族を、無傷どころか、その燕尾服に汚れ一つつけず勝利する身体能力。
ありとあらゆる知識を持つ頭脳。
第二に”電脳皇”。
その姿は誰も見たことがなく(不登校)、明らかにオーバーテクノロジーの技術を使い自分の代わりのロボットを作り上げる技術。
どんなセキリュティーでも突破する、卓越したハッキング技術。
こんな感じに、白鷺高校のトップは超人ばかりだ。
俺?俺は、ただゲームが好きで、将棋クラブでもチェスクラブでも卓球部でも伝統遊戯部でも、さまざまな部活に問答無用で決闘を申し込んで、すべてに勝利しただけのただのゲーマーだよ。
サッカー部の、『一人で部員全員抜きゲーム』は、さすがにきつかった。
目が殺しに来てる目だったもん、まじ怖かった。結局勝ったけど。
そもそも、ゲームと名のつくものなら、負ける気はしない。
そんな、『全部活制覇ゲーム』をクリアしてしまったせいで、”遊戯帝”なんて不本意な二つ名が付けられてしまったんだけどな。
「?何を当たり前のことを言ってるんだ。俺の偽物なんているはずないだろう?それより、早く話を進めてくれ、この魔法はただでさえ疲れるんだから」
『・・・この人、本当に人間ですよね?時間干渉は、一応神でも難しい技なんですけど・・・』
「そんなこと言ったて、出来るもんはしかたないだろう。こんな魔法も神は使えないのか?」
『基本的に、神は魔法は使えないですからね・・・今度上に掛け合って―――って、私の声が聞こえてるんですか!?』
「そりゃ、目の前で喋られて聞こえないわけないだろう。俺にも似たもんいるしな」
パチンっと指を鳴らすと、”仮面王”のちょうど隣の椅子に座る影がうっすらと浮かび上がり、そこに現れたのは・・・。
「ヒック、・・・もう・・・だめなんっすよ・・・ヒック・・・世界が・・・滅べばいいのに・・・」
とんでもなく物騒なことを酔っ払いながらつぶやく、四枚羽がついた青い髪の少女だった。
酒瓶片手にテーブルにうなだれる姿は、ダメ人間にしか見えない。
「なんか、いろいろと限界っぽいんだけど・・・」
「こいつが俺を連れてきた奴だ。名前は確か―――」
『―――ラファ!!??』
”仮面王”が名前を言う前に、アテネがその名を叫んだ。
ラファという名前からして、ラファエルかな?アテネもいるしギリシア神話が中心なのか?
「ヒック・・・その声は、アテネさんッスか・・・?」
『そ、そうです。アテネです。それにしてもあなたらしくないじゃないですか、明るさがあなたの持ち味でしょう?』
アテネがそう尋ねると、ラファと呼ばれた少女は、震える手で自分の横にいる人物を指して言った。
「あちきにはもう無理ッスよ・・・この人無茶苦茶なんですもん・・・やりたい放題なんッスよ」
『・・・一体何をすれば、天界一の元気爆発娘をここまで弱らせることができるんですか・・・?』
「何を言っている。ただ、そいつの言ったとおりに普通に過ごしただけだろう」
「あれの・・・どこが普通ッスか!!!」
ラファが大声を上げ、飛び上がる。
なんとなくわかる気がする。たぶん、勝手に行動しまくって、そこらへんを荒らしまくったんだろう。
元の世界でもそうだった。こいつは、自分の興味があるものに関してはとことん研究をするのだ。
ましてや、ここは異世界である。
元の世界にはなかった魔法や、技術、文化などなど、こいつをじっとさせておくことができないほどの宝の山ばかりだ。
どんな魔法を使って閉じ込めようが、突破してくるだろう。
「人聞きの悪いことを言うな。生きるために、金を集め、素材を集め、商売をしただけだろう」
「盗賊のアジトに喧嘩売って財宝奪って、〔ロックコング〕の群れを素手で全滅させて、貴族を騙したことのどこが普通ですか!!」
想像を斜め上に突き抜けるレベルだった。
やりたい放題だな、本当に。
「人聞きの悪いことを言うな。盗賊は討伐対象の奴だったし、〔ロックコング〕は防具を作るためだったし、貴族のほうは中身が腐ってた。横領で結構もうけてたから、多少の損もわかってくれるだろう。もっとも、盗賊の財宝は全部大した金にならなかったし、〔ロックコング〕の防具はこの服より性能低かったし、貴族のほうは後で私兵が山のように押し掛けてきたがな」
『・・・おかしいですね。人間を選んだつもりなんですけど』
「ラファだっけ・・・大変だったな・・・」
「うっ・・・名前も知らぬお方、わかってくれたんッスね・・・」
思わず、ラファの苦労を考えると涙が出てくる。
こいつは、周りのことを考えずに行動するからな・・・。
「ああ、俺にはわかる・・・お前の苦労がな・・・俺もいろいろと振り回されまくったものだ・・・」
「あちきののことをわかってくれるのはあんただけです・・・よろしかったら名前を教えてくださいッス」
「俺の名前は、『朝葉 竜地』だ。お前の名前は?」
「あちきの名は、『ラファエル』ッス。よろしくッス」
そう言ってラファエルに右手を差し出し、固く握手をして、
「あっ・・・」
”仮面王”のめったに聞こえないような声が聞こえ、
「「・・・は?」」
握手した手の隙間から―――紅い鎖が噴出し、手を縛り付け、
・・・じゅっ!
「「・・・・ギャアアアアアアアアアアッッッ!!!」」
お互いの手を焼いた。
「あ、あちきの右手がぁぁぁぁぁっ!!!」
「あっちいいいいいいいっっっ!!!」
二人仲良く、床の上で右手を抑えてのたうちまわり、
ガンッ!
二人仲良く、テーブルの脚に後頭部をぶつけて悶絶した。
アテネは、今の光景に目を丸くし、”仮面王”からは呆れの視線が飛んでくる。
『・・・今のはいったい・・・?』
「これはまた・・・おもしろ―――面倒なことになったな」
『なんか不謹慎な言葉が聞こえた気がしますが・・・なにが起きたのかわかるんですか?』
「ああ、とても簡単なことだ―――ラファエル、”遊戯帝”、自分の右手を見てみろ」
後頭部の痛みもまだ残っているが、おとなしく右手を見るとそこには―――。
「これは・・・風か何かの模様か?」
「あちきのは、剣ですね」
魔剣の紋章を囲むように、風を抽象化したような紋章が描かれていた。
そして、ラファエルの右手には俺の右手にあるものそっくりの紋章が・・・まさか。
「なんとなく気がついたようだな。そう、これも魔剣の能力が一つ、《傲慢の眷属》。そして能力は、条件を満たした相手の―――永久隷属だ」
俺、とんでもないことしちゃったかも。
PV五十万超えました。ついでにユニークも五万を超えました。
読んでくれている方、ありがとうございます。
誤字脱字アドバイスなどがありましたら、ご報告おねがいします。




