表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

十六話 聖女の願い

はわわわわわ!

ちょっと前まで三桁だったポイントがいきなり四桁に!

お気に入り登録も、千を超えてる!

ランキングも二位にたどり着いた!

うおおおおお!うれしい!

応援してくれてる皆、ありがとう!



今回は聖女のおはなし。

〈side 聖女〉  


 いつも周りから聖女と呼ばれ、名前で呼ばれることは無かった。


 いや、それは正しくないかもしれない。


 彼らは知らなかったのだ。私の名前を。


 私の名前は、誰一人として知っている人はいなかった。


 もちろん―――自分さえも。



 

 私は聖女と呼ばれる前、孤児であった。


 親に捨てられたわけでない。死んだのだ。まだ私が幼いときに。

 親だけでない、隣人も友達も兄弟も王様も、皆皆死んだのだ。

 それは天災などでなく、一人の狂った魔法研究者の実験のせいだった。

 詳しくは言いたくない。しかし、狂った魔法研究者の実験のせいでみんなが死んだのは確実だ。

 狂った魔法研究者も、その実験の余波にに巻き込まれ死んだ。


 そして、私だけ生き残った。


 誰もいない廃墟からでて少し、若い男女の旅人に保護された。

 その二人は、私が誰も頼れる人がいないとわかるとすぐに教会に連れて行ってくれた。

 教会では旅人たちが話し合っている時、うっかり綺麗な水晶に触ってしまって水晶を割ってしまった。


 今思えば、そこから狂いだしたのだ。


 どうやら水晶は神力をはかるためのものだったらしく、それを破壊できるほどの神力を持った私はすぐに教会に保護をされることが決まった。

 神父はその光景を見て、天が使わした聖女と私を呼んだ。

 そこで、私は聖女と呼ばれることになった。

 私はそこから教会の総本山―――〈ロマリア教国〉に行った。

 旅人とは、そこで別れた。その時、男の方の旅人が餞別といって、真っ白なペンダントをくれた。

 とても精緻な飾り付けがしてあるペンダントで、私はこんなものは貰えないといったが、二人は『最後まで面倒を見られなかったせめてもの償い』と言って強引に渡した。

 旅人たちが旅立ったあと、私の教育は始まった。

 どれもこれも難しいものばかりだったようだが、私にとって見ればどれも簡単なものばかりであった。

 高名な神官から、最強と呼ばれる冒険者から、天才と呼ばれた魔法師から、いろんなことを学んだが、私の願いを叶えるようなものはなかった。


 そしていつしか、私は教会にあった全てのことを学び終えてしまった。


 そこで私は旅立とうと思った。

 最初に出会った二人の旅人に感謝を伝えるため、ということもあるが他にも私の願いを叶えるためということもあったからだ。

 大司祭にそれを伝えると、『一人では危険だ。丁度もうすぐ巣立ちの時期がやってくる。その時まで待ってくれんか』と言ってきた。

 巣立ちとは、〈教国〉で学び終えた神官や治療師(ヒーラー)が己の見聞を広めるため世界に旅に出ることだ。

 しかし、その性質上神官は外の常識を知らないことが多く、そのためBランク以上の冒険者に護衛ついてもらうことが定例だ。

 もちろん、神官も冒険者の仕事を手助けしなくてはならないが。

 正論だったため、私は大司祭の言うことを聞き、旅立ちはしばしお預けすることにした。

 心配してくれている大司祭の善意を裏切るのも嫌であったし。




 そして、巣立ちの時がやって来た。

 私のため、中央教会自体が貸し切られ、盛大な歓声と共に巣立ちを迎えることになった。

 私の護衛として呼ばれたのは、三人の男だった。


 私から見て左から順に、金の髪に金の派手な鎧―――バスフール・サラン。

 自分の血統に誇りを持ち平民を常に馬鹿にしている、貴族だ。

 教会からは勇者の神託を受けたようだが、どうみてもついていったらロクなことになりそうにない。


 真ん中、青い髪に青い鎧―――ゲラーだ。

 冒険者ランクAとなかなかの手練であり、危険区域〈蒼氷の針森〉の中層でしか手に入れることの出来ない蒼紺鋼製の鎧を持っていて、さらに魔法剣士というなかなかのステータスだ。

 しかし、裏の情報によると性格はそこそこ外道であり、強盗や恐喝なども行なっているという情報もある。

 ちなみに、大司祭や護衛の選定係はこのことを知らない。私だけが知っていることだ。情報は私の式から聞いた確かなものだ。


 最後の男。

 赤い髪に革の鎧身につけた男―――ファイレーンだ。

 今回の護衛候補の中で一番厄介なのがこの男だ。

 なにせ、全くと言っていいほど情報がない。それこそ、名前しかわからないくらい。

 ここまで情報が分からないのも、たぶん情報操作でもしているからなんだろう。

 ある意味、危険な男だ。


 ここで、どうやってこの人たちに断りを入れようか悩んでいると、一人の黒い髪の男が目に付いた。

 その男はファイレーンと比べるまでもなく―――異常だった。

 まず、隣にいる存在。

 隠れてはいるようだが、明らかにおかしい量の神力が漏れ出ている。

 あれはきっと、かなりの高位の精霊だろう。

 男の様子から見て会話をしているように見える、つまりあの存在の契約者なのだろう。

 精霊は、心の清いものにしか契約できない、これであの男の性格については合格だ。


 そしてもう一つ、異常なほどの魔力濃度。

 ある一定の魔法士や神官は、相手の魔力濃度を見分けることができる。

 魔力濃度が濃ければ濃いほど色が濃くなり、薄ければ薄いほど色も薄くなる。

 色は、その人物の得意属性を表しており、火なら赤、水なら青といった具合だ。


 それを使ってあの黒い男を見るとそれは―――混沌だった。


 ありとあらゆる色が混ざり合い、それらで塗りつぶされたかのような魔力濃度をしている。

 唯一、右手だけが原型を見れるくらいには薄いが、それでもかなり異常だ。


 そして私は、確信した。

 その男こそが私の願いを叶える存在だと。

 だからついていこう。あの男なら私の願いを叶えられるはずだ。

 

 手を伸ばしてきたバスフールを無視して、一直線に黒い髪の男に向かう。

 固まったままの男の前に私は片膝を付き、誓約を行う。

 

「・・・我が魂は、此の方と共に」


 これで、ほかのものには何も言えない。

 私が誓約を行なってしまったから。


 ああ、早くこの願いは叶わないものか。

 早く、早く私を―――











































――――――――殺して欲しい。

ブラック!なのか?


次はちゃんと本編やります。


あと感想の返答は活動報告で一部だけですが行うことにしました。

時間等ありましたら、読んでください。




感想が増えているのは嬉しいけど・・・辛口コメントはやめてね!

作者は豆腐メンタルだから!


訂正

・ゲラー紹介時の『噂』を『情報』に変更しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ