十二話 もういやっ!
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『姫様ぁぁぁぁぁ!!!』
(やっと来たか、てか遅くね?)
あの白銀の鎧と言動からして、この姫様の護衛か何かだろう。
白銀の鎧は関係ないだろって?バカを言うな。
お姫様の護衛は、傭兵でもない限り白銀の鎧に決まってるだろ!
まあ、俺の偏見に満ちた考えだが。
護衛と思わしき青年は、こちらを見るなり全速力で走ってきた。
そして、間合いに入ったところで、抜刀し。
振りかぶって―――振り下ろした。俺に。
「死ねぇぇぇぇ!!」
「のわッ!」
間一髪で右に避ける
なんで!?
俺、姫様の命の恩人なのに!?
「避けるな下郎!姫様を危険におかしたその罪、命で償え!」
「なんで!?俺、一応命の恩人だよ!?」
「なにをふざけたことを!では貴様の横にいる盗賊の首領はなんだ!」
あっ、そういえば遠くてめんどくさかったし、姫様にあたる可能性があったから、盗賊リーダーだけ生き残ってるんだっけ?
てか首領だったんだ、こいつ。
それにしても、なんでこんなことに・・・。どうすれば逃げられる?
・・・そうだ!姫様に助けを求めれば!
「・・・・・・・・・」
だめだ!あまりの展開についていけず、処理能力に限界をきたしている!
それなら、イチかバチかで盗賊リーダーに―――!
「・・・・・・・・・」
こっちもダメだ!立ったまま、気絶してる!
お前盗賊だろう!?仲間が全滅してしまった場合の対策ぐらい考えとけよ!
どいつもこいつも、役たたず!
「―――はっ。あ、あのレムス・・・!」
そう思っていたら、姫様が目を覚ましてくれた。
頑張って!姫様!そいつを早く説得して!
じゃないと俺が殺される!折角助けたのに!
ガンガン!ギャリンッ!
「レ、レムス!早く剣を収めて・・・!」
ギャリンッ!シャン!シャン!
「・・・?すいません姫様。こいつとの打ち合いのせいで、聞き取れません」
いやいや!ちゃんと俺には聞こえてるから!聞こえるだろ、お前!
「・・・ですが姫様。あなたの言いたいことはわかります・・・。つまり―――」
おおっ!護衛騎士のレムスとやらが剣を止めてくれた!ありがとう姫様!
それにしても、もうちょっと早く姫様の考えに気づいて―――
「―――必ずやコイツを討ち取れということでしょう」
―――全くもってわかってなかった!
今すぐ姫様見てみろよ、真っ青な顔で首を横に振ってるじゃねえか!
「安心してください、姫様。私はこのような奴には負けません」
しかも、それも都合のいいように解釈してるよ!
もういやコイツ!人の話はちゃんと最後まで聞けよ!
そんなんじゃ、社会で生きていけねえぞ!―――ってもう立派な騎士に就職してるか。
とりあえず、こいつはどうやって止めれば・・・。殺すのはNGだし。
そう思ってたら、更に五人ぐらい護衛の騎士らしき者が現れた。
お願い、この暴走騎士を止めて・・・!
『おい、団長が戦ってるぞ!』
『見ろ、姫様もあそこだ!』
『おい待て!あれは、盗賊の首領じゃないか?』
『ということは、あの紅い錆びた鎧を着ているものは、盗賊の仲間か!』
『なんと!いますぐ助太刀しますぞ!』
あれ?なんか雲行きがおかしくなってないか?
『『『『『 死ねぇぇぇぇ!!! 』』』』』
「もういやッ!!」
勇者は、逃げ出した!
『待てぇぇぇ!!逃げられると思うなよ!盗賊めが!必ずやその罪!その命で償わせてやるからな!』
なんか、レムスが物騒なことを言っているが無視無視。
さっさと、逃げることにしよう。
本当に、なんでこんなことに・・・。
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〈side レミア〉
『姫様ぁぁぁぁぁ!!!』
この声は・・・私の騎士、レムスですね!遅いんですよ、全く!
それはそうと、本当にこの不審者さんにはお世話になりました。
私を助けてくれたどころか、盗賊の首領を殺さずに無力化し、証人として残してくれるとは・・・。
これで情報を引き出し、証拠として突き出せば、帝国の悪を証明し、戦争を有利に進められるかもしれません。
それはそうと、どのようにお礼をすればいいんでしょうか?
私には、そういう叙勲みたいなものはよくわからないですし・・・。
そうだ!レムスに相談すればいいじゃないですか!それでもダメならば、姉上や父上に相談すれば。
ちょうど、レムスもこちらにたどり着きました。
レムスは、私をすり抜けて剣を振りかざして、振り下ろしって、えっ?
「死ねぇぇぇぇ!!」
「のわッ!」
い、いきなり不審者さんに襲いかかりました!
驚きのあまり思考停止してしまいました。
そういえば、レムスは、この方が私の命の恩人であることを知らないんでした!
た、大変です!このままでは不審者さんが危ないです!
ガンガン!ギャリンッ!
「レ、レムス!早く剣を収めて・・・!」
ギャリンッ!シャン!シャン!
「・・・?すいません姫様。こいつとの打ち合いのせいで、聞き取れません」
ダメでした。私はもともと声が小さいので、これ以上の大声は無理です。
どうにかして、レムスを止めなければ・・・。
「・・・ですが姫様。あなたの言いたいことはわかります・・・。つまり―――」
どうやら、声は聞こえなかったみたいですが、考えはわかったみたいです。
そうです、今すぐに戦いをやめて―――
「―――必ずやコイツを討ち取れということでしょう」
ガーン!まるで伝わっていなかったみたいです。
私は、首を横に振って、否定の意を示しますが・・・。
「安心してください、姫様。私はこのような奴には負けません」
違います!そういう意味じゃないです!
そして、戦いはますます激しさを増してきました。
強いとは知ってましたが、本気のレムスと打ち合えるとは・・・。
レムスも、王国一の騎士のはずなのに、あの不審者さんはどれだけ強いんでしょうか。
そう思っていたら、先に盗賊を足止めしてくれた騎士が帰ってきました。
五人いるということは、皆無事みたいです。
私は、五人にレムスを止めるように命令を出そうと思うと・・・。
『『『『『 死ねぇぇぇぇ!!! 』』』』』
不審者さんに襲いかかりました!
それで、不審者さんはもう嫌になったのか、逃げてしまいました・・・。
ああっ・・・命の恩人になんてことを・・・。
「待てぇぇぇ!!逃げられると思うなよ!盗賊めが!必ずやその罪!その命で償わせてやるからな!」
そんなことを、言ってから、レムスが私に近づいてきました。
もちろん問答無用で、叩いておきます。
レムスは、一瞬驚いた顔をし、深く頭を垂れました。
「・・・申し訳ありません。必ずや我が名にかけましても探し出して・・・」
「違います!あの人は、私の命の恩人なのですよ!」
「・・・・・・?」
レムスは、なにを言っているのかわからない、という顔でこちらを見ています。
それに私はレムスが来るまでの経緯を説明をすると、どんどん顔を蒼白にさせていきました。
やっと、自分のした事の重大さに気づいたようです。
「私は、なんてことを・・・」
「とりあえず、国に帰りましょう。そして、父上に報告し、ギルドに依頼として頼んでみましょう」
「・・・わかりました」
そして、私たちは死んでしまった護衛を埋葬し、母国へと出発しました。
そして、情報はどこかで捻じ曲がり・・・
・・・・・・紅い錆びた鎧の騎士は、姫を襲った盗賊の一味として指名手配されることになった。
ひたすら、かわいそうな主人公・・・。彼に幸せはいつ来るのだろうか?
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