第九話 結果
日が落ちるころ、双輝は巫女のところへ行こうと言った。銀葉は頷き双輝に従った。
巫女のいる社に着き、中に入ると巫女が美声で応え始めた。
「その者は確かにここに在るべき人ではないようです。四季神様はこの場に留まり、護人と共に生活をし、片時も離れてはなるまいと。四季神様もそのお方の存在は不思議に御思いのようです」
双輝はそれを受け止め、それ以上は巫女も話が無かったようで立ち上がった。だが、銀葉は固まって動けなかった。崇められている神様ですら自分を元居た世界に帰すことは出来ない?銀葉は顔を伏せた。立ち上がっていた双輝が、銀葉に一言声を掛けた。銀葉はそれに従い、立ち上がった。そして、社を出た。
「・・・私は・・・・」
「落ち着いて考えれば、きっと答えも見つかるさ」
「・・・・・」
双輝の家までそれからは喋らなかった。
家について、中に入ると。
「あっ!こら、ヒコウ!何を・・・!」
双輝の声が少し大きめになっていた。ふと、顔を上げると、ヒコウがガスイを足で踏みつけていた。
「なんだよ。こいつが文句ばかり言うから少し絞めて・・・」
「ヒコウ・・・。 ガスイも・・・。いつものことだが、あまり挑発するな・・・?」
「し、仕方・・・ねぇじゃん・・・」
「ふぅ・・・・」
「なぁ、双輝。お願いがあるんだけど?」
ヒコウはガスイの襟首を掴んで言おうとしたが、双輝が言い切る前に言葉を切った。
「却下」
「えー!いいだろう?!」
ヒコウの男っぽい口調で双輝に願い下がる。
「だめだ。 今は特にそんなことをしている場合じゃない。銀葉について巫女様から結果が出た。それの話し合いもするから」
双輝はそう言って、奥から座布団を持ってきて、銀葉に勧めた。
「ありがとう・・・・」
銀葉は気になって、気になって仕方なかった。双輝はここに来る前に、説明をしてくれた。女性に対しては大抵の願いは利くのが礼儀だと。しかし、この、ヒコウという女性に対しては、決してそういう態度を見せない。
「双輝・・・」
「何?」
「女性って、この世界じゃ、特別、なんだよね?」
「? そうだけど」
「どうして、ヒコウは特別じゃないの?普通に接しているけど」
「うん。それも今から説明するから。はい、全員、集合!」
双輝のその声で、ヒコウとガスイのバトルから逃れるために別の部屋に居たクレハとスイセツが戻ってきた。






