第六話 神
村の入り口まで来た所で、双輝は銀葉を降ろした。そして、そのまま村の中まで入っていった。双輝が中に入ると子供が数人駆け寄って来た。
「そうにぃ!そうにぃ! かえってきた!」
子供たちは雄たけびを上げて周りに集まってきた。双輝もそれに合わせて腰を下ろして子供たちと目線の高さを合わせてから会話を始めていた。
「そうにぃ、たいへんなんだよ! ユーが、ないて、ないて、なきやまないんだ!どうしたらいいかな?」
「わかった。今行くよ」
双輝は立ち上がると、銀葉に向かって笑みを投げた。
「悪いけど、何かあったみたいだからちょっと、いいかな?」
銀葉は頷く。双輝は騒いでいた男の子に着いていく。その場に立っているのもなんだか不安な感じがあった銀葉はその後を追った。
着いたのは小さな小屋のような所だった。双輝は男の子の後を追い、中に入った。銀葉も続く。
「ひっく、ひっく」
中に、泣いている女の子がいた。
「ユー。どうした?」
「ひっく。 そ、そうにぃ~・・・」
顔をゆがませながら双輝に飛びついた。女の子は双輝の腕の中でしばらくしゃくり声をあげた。
「どうした・・・?何があった?」
「き、キーが、しんじゃった・・・」
「・・・・そうか。今、どこにいる?」
「そこのカゴのなかにいる。うごかせない。こわくてさわれないんだもん」
銀葉はカゴを探して目にした。中には息絶えた小鳥がいた。紛れも無い生物の死に、少女は嘆いた。
「いいか、ユー。生き物って言うのは、いつか必ず死んでしまうんだ。でも、その死んでしまうことを受け入れて、しっかりとキーを見てあげな。そうしたら、きっと、キーも喜ぶ。そして、そのまま四季神様が天国へ連れて行ってくれるよ」
「ほんとう・・・?」
「もちろん」
双輝の笑みで、女の子は歪んだ笑みを見せて、カゴを双輝の前に持ってきた。
「どうすればいい?」
「供養してあげよう。外に出て、お墓を作ろう」
ユーの肩をしっかりと掴んだまま双輝は立ち上がると、一緒に外に出て、ユーの希望でその小屋の横にキーの墓を作ることになった。
墓を作り終わると、双輝はその前で手を合わせた。そして、顔を上げて子供たちに声を掛けた。
「さ、コレで大丈夫。後は、ちゃんと、天国にいけるように祈るんだよ」
「はい」
双輝は立ち上がって、子供たちが手を合わせている様子を少し下がって見ていた。銀葉に一度、目を向けたが静かに微笑み、子供たちに戻した。銀葉は、軽く目を閉じ、その死を重んじた。そして、ふと、双輝の口から耳にした事のある単語を聴いたような気がして双輝をガン見した。
「何か・・・・?」
その視線に気づいた双輝が少し身を引いてたずねた。






