第十八話 穴
森に入ってから例の妖怪の気配を追ってここまで来ているが、どうにも近づくことができない。何かの力にはまったか。
「双輝?」
「ん?」
「大丈夫?」
「あぁ。少し考えるから待っていて」
「うん」
双輝はその場に座り込むと、目を閉じて何かを考え始めた。銀葉は、自分に何かできないか、必死で考えたけどこの世界全てが自分にとって無知なる世界。どう考えた所で何をしろという。
「よし」
しばらくしてから双輝が立ち上がった。
「こっち」
「おい、双輝。そっちに道はねぇぞ?」
「だから行くんだ」
双輝は高々と茂る草を乗り越えて向こう側に行った。その後に続いて、ガスイ、銀葉とその方向に足を進めた。
「え・ ・ ・ ・ ・ ?」
銀葉は絶句した。超えた瞬間、足元が無くなった。
「ぎゃーーーー!!!!??」
墜落。しかし、すぐに地面にはつかない。下を見る余裕がなぜかあった。遠い。下がものすごく。もっと言えば、真っ暗で何も無い穴の中に落ちたと、気づいた。
「そーーーーきぃーーーー!!!???」
「あ~~、いや、悪い。まさかこんなことになっているなんてなぁ~・・・」
「のんきな声あげている場合じゃないでしょ!? どうするのよ、コレ!?このままじゃ地面についたとき、死んじゃうよ!?」
「大丈夫だろ」
応えたのは双輝ではなく、ガスイだった。ガスイは普通に下を見て落ちているというよりは降りているように見える。無論、双輝もそうなのだが。
「うん。ガスイの言う通りだな。大丈夫。もう地面が見える」
「え?」
どう見ても銀葉には真っ暗で何も見えなかった。しかし、双輝には見えるという。コレは一体どうして・・・・・?
「銀葉は夜目に慣れていないのか?」
「うん」
「だからだろう。俺は夜でも目が利くから、地面が見える。 銀葉。今のうちに許可をもらいたいんだけど、いいかな?」
「落ちているのに呑気だな・・・・。 うん、何?」
「抱えていいか? 地面に着地できないだろう?」
「・・・・はい」
「許可は?」
「します」
「わかった」
「俺は?ソーキィ。抱えて?」
「お前は落ちてろ」
皆さん、知っていますか?今は落下中です。そんなことを銀葉は思った。だんだん、落ちることが当たり前に感じてきた時、双輝が銀葉の腕を掴んだ。もう、地面だという事がなんとなくわかった。
ドンッ!
鈍い音と共に妙な浮遊感が終わった。あたりは薄暗い。大体の位置と表情が読めるくらいには明るかった。洞窟らしきこの場所の奥で上から差しているであろう日光がきらきらと輝いている。少し歩けばそこまで行けそうだった。
「っつー!!」
双輝の漏れた声を聞いて、慌てた銀葉は双輝の腕から離れると安否を心配した。
「大丈夫!?」
「平気。ちょっと高かった!」
「・・・うん。凄く落ちてきたんだよ・・・」
「双輝なら問題ないだろう」
「おう・・・」
そう言って立ち上がった時の双輝の目に驚いた。警戒している表情だ。