第6話
第6話「戦闘るフィールド」
まだ西歴と呼ばれた時代。
文字通り世界を巻き込んだ大戦が、この世の文化のすべてを焼滅せしめた。
教育と洗脳、その境界はどこにあるのか。それはある意味において、発酵と腐敗のようなものと人は言う――
カリキュラムに忍ばされた、それすなわち意識操作。
――世界の『大崩壊』から百年。
人々の努力と幾許かの奇跡により、文明の再興は成った。
しかし、重要度が低いと見做された文化の再現は遅れ、時に見下され、その連続性を絶たれていった。
伝統芸能、スポーツ、そして美食――
世紀末美食伝説。
それは、己捨て喰らいつく悲しき顎。
世紀末美食伝説 ムラサキ、前回までは――
「既に手配を済ませておきました――美食争覇のね」
「!!!」
最愛の妻、シオの手掛かりを得るべくマフィア狩りをするムラサキとシローの前に現れたのは、組織の頭脳たる眼鏡の男、木手劽斎!
「――良いだろう。その勝負、受けよう」
ムラサキは、卑劣な罠があることを承知で敵の用意した舞台に上がる!
「『お題』は漬物だ」
時間の限られた美食争覇においておよそ適切とは思えないお題を選んだ理由、それは――
「こちらが、十時間漬けたものです」
「何ィッ??!!」
キテの会社が開発したと言う、時間旅行装置(漬物限定)の存在!
勝敗が決したと誰もが思ったその時!
「実現すれば革命が起きる代物だ。そう、実現すれば、な」
「な、何を――」
「疑義を申し立てる――その壺の中身、確かに今日この場所で作ったものかどうかについて!」
ムラサキによって、その不正が鮮やかに暴き立てたられたのであった!
「では約束通り教えてもらおうか――貴様らの目的を。シオを拐かした理由をッ!」
「良いでしょう……ただし、この事実は貴方にとって些か以上に不都合な真実を含みます――それでも良いと仰るのなら」
◇美食争覇会場
「良いでしょう……ただし、この事実は貴方にとって些か以上に不都合な真実を含みます――それでも良いと仰るのなら」
地べたに座るキテが、ムラサキを見上げながら語り始める。
完膚無きまでの敗北を味わったその相貌は、心なしか試合開始前よりも何歳か歳を重ねたようにも見える。
一方で、挑むような眼差しは、未だ衰えてはいない。
「――何?」
「貴方は、我々がシオ様を無理矢理連れ去ったのだとお思いなのでしょうが……実際はそうではありません。自発的に下ったのですよ。我らが首領にね」
瞬間、激昂したムラサキがキテの胸ぐらを掴み上げた。
脱力したキテの身体が揺れる。
「貴様ッ!! この期に及んで――」
「今の戦いは美食争覇であった事をお忘れなきよう! 『ロレーヌの誓約』が有効な今、私が嘘偽りを述べる事はありません」
「…………」
キテの言葉に僅かに瞠目したムラサキは、その両腕に込めた力を緩めた。
解放されたキテは、スーツの襟を正す。
「そしてシオ様の居場所についてですが――私が知り得る範囲では、そうですね。どちらかと言えば『澤パレス』に滞在する事の方が多い、ということでしょうか。シオ様御本人と直接お話したいのなら、確率的には『澤パレス』登城をお勧めしますよ」
「『澤パレス』……それって、兄ちゃんと同じ五聖天の……」
「ええ。……ですがお気をつけを。あの場所には今、シオ様を含めた残り全員が揃っているはずです。そう、貴方以外の五聖天全員が、ね」
「!」
◇市内
夕暮れの道を往くムラサキとシロー。
だが、その足取りはいかにも重く、両者の間には会話も無かった。
(兄ちゃん……)
この気まずい空気の原因は明白だ。
先の美食争覇において打倒した敵手、木手劽斎。
彼から齎された、ムラサキの探し人の情報。
渇望していたはずのそれが、よもやこのような結果になるとは。
シローは、師たるムラサキの背負った運命の苛酷さに打ち拉がれる思いであった。
関わりの薄い自分でさえそうなのだ、況やムラサキをや。
(……)
気休めなどは、言えようはずもない。
美食争覇に際して交わした約定を違えるのは流石にやめといた方がいい――『ロレーヌの誓約』として知られるそれが、キテの言葉が真実であることの証なのだから。
当て所無く歩く二人は、賑やかな雰囲気に引き寄せられたのか、いつの間にか繁華街へと辿り着いていた。
そろそろ腹も空きそうで、かと言って夕食には些か早い時間帯。どこかで時間を潰したい所だ。
(……)
依然として覇気の無いムラサキも気掛かり。
何か気晴らしになるものでもあれば良いのだが――
そう考えていたシローの視界に、楽しげな色合いの店舗が映り込む。
「ゲーセンだ」
シローもそう頻繁に訪れた事は無いが、買い出しの帰りなどに両親の機嫌が良い時には、クレーンゲームに挑戦させてもらえる機会もあった。
シローよりもむしろ父コトブキの方がムキになって散財し、母ツカサにこっぴどく叱られた事もあった。
料理では無い何かに打ち込むことで、幾許かの気分転換になるのではないか。
「…………兄ちゃん、憂さ晴らしにゲーセンでも寄って行かないか? お、おいら欲しい景品があってさぁ! 取るの手伝ってくれよ」
それはシローなりの精一杯の気遣いであった。そして、そうであることを隠すという気遣いでもあった。
「…………ああ」
それを分かってだろうか。
ムラサキは、ややあってから肯んじたのだった。
◇ゲームセンター『宏子』
「いやぁ~久々のゲーセン楽しみだ、な…………あ?」
意気揚々と入店したシローは、想像と隔絶された光景に虚を突かれた。
「クレーンゲームが無い……太鼓は……?」
そこはシローの知る『ゲームセンター』とは一風変わった様相だった。
立ち並ぶ身の丈ほどの白い筐体の前に座るのは、どう見ても社会的道義というレールからドロップアウトした輩の姿。それも集団だ!
「あゎゎこんなのおいらの知ってるゲーセンじゃない……か、帰ろうか兄ちゃん」
すかさず回れ右を選択するシロー。
その選択は正しい。だが時既に遅し!
「一ゲームも遊ばず退店たぁ随分とナメられたもんだなぁ、えぇ?」
複数の不良が行く手を阻むように展開する。
そのトラディショナルな動きの洗練され具合は、彼らが年季の入った不良である証左だ。
「な、何だよ急に! あんたらも客だろ? あんたらには関係ないじゃないか!」
「ところが関係大ありなんだな、これが。この店は今じゃ数少ない、俺達の屯できる理想の場所! だが最近どうも客入りが悪いらしく、嘆かわしいことにオンラインクレーンゲーム導入の話まである。あんなチャラチャラした物なんぞ入れて見ろ、ここは老若男女に開かれた活気ある店になっちまう! 俺達のオアシスを守るため、今は少しでも客に金を吐かせにゃならんのだ」
不良の言葉にシローは、客が少ないのはお前達のせいなんだからお前達が責任もって支えてやれよと思った。
「客が少ないのはお前達のせいなんだからお前達が責任もって支えてやれよ――あ」
「何だとてめぇッ!!」
シローは咄嗟に口を抑えるが後の祭りだ。
キレた不良共が口々に罵詈雑言を放つ!
「ガキが調子に乗りやがってッ! 俺等を不良と思って馬鹿にしてンだろッ!」
「ま、待ってくれよ! 今のはつい本心がポロッと雫れただけで、わざとじゃないんだ!」
「おちょくってんのかコイツ?!」
必死の弁解も火に油!
もはや理性的な会話は不可能だ。と、そこに――
「……子供のした事だ、と言っても、そちらも治まらないだろう。ここは一つ、勝負をしないか? その結果如何で手打ちにするというのはどうだ?」
入店以来黙したままであったムラサキが、はじめて口を開いた。
その巨躯から肉体的不利を直感した不良達の興奮が収まる。
人間より猿に近い彼らは、一般人より野生の勘がよくはたらくのだ。
「…………いいだろう。その提案、乗った」
「え。いいんスか?」
先程から会話を主導していたボス格の不良が頷く。怪訝に思う他の不良達。彼らに向かってボス不良は、
『俺に任せておけ――長年の勘だ、こいつらは罠にかかる』
潜めた声で説得した。
「――よし決まりだな。では場所を変えようか。ここでは満足に調理できまい」
満足そうにそう告げるムラサキに、不良らは、
「はぁ? 調理ぃ?」
「調理って、料理ってことか?」
「料理で何の勝負になるって言うんだ??」
口々に疑義を呈し始めた。
「兄ちゃん、おかしいぞッ?! さてはこいつら、料理人じゃないんだ!」
「何ッ?!」
嗚呼、何ということか!
今まで美食五聖天の手下や美食マフィアの手のものとばかり争っていたためついつい失念していたが、料理勝負の概念は一般に普及しているとは言い難いのだ!
「……料理では、ないのか?」
「たりめぇだろ? でもってこれはそっちの落ち度だ、内容はこっちが決めさせてもらうぜ! そうだな――」
ボス不良は少しばかり思案する様子を見せ、
「こうしよう。この店にあるゲームで勝負し、その成績に応じた金額を払ってもらう。無論、俺達が負けたら俺達も払う」
あからさまに自分達が有利そうな条件を提示した!
「面白い……良いだろう、その勝負乗った。丁度、憂さを晴らしたいと思っていた所だ……」
「あ、兄ちゃん?!」
かくしてムラサキとシローは、不良達とのゲーム勝負をする事と相成ったのだ!
「え、おいらも?」
「対戦するゲームは……コレなんか丁度良いな」
下卑た笑いを浮かべながら、ボス不良がある筐体の上部に手を置いた。
「FPS、チーム戦でどうだ?」
「!」
その画面に映し出されているのは、アサルトライフルを抱えながら煤けた戦場を走る兵士の姿だ。
「え、FPS……おいら、こういうゲームはまだ早いって禁止されてたけど、塗った泡の面積を競う奴なら友達ん家でやった事あるぜ! ……ところで、FPSって何の略なんだ?」
「えっ、そりゃあお前……えっと……」
「FPS――Free to Play Shooting(射撃者なら無料)の事だ。無料の物が多いから、この呼び名が付いたと言われている」
返答に窮する不良達に代わって応えたのはムラサキ!
「そ、そうだったのか……兄ちゃん、まさか腕に覚えが?」
「ああ。FPSで重要な物は手先の器用さ、反射神経、ドライアイで無いか、そして度胸だ。いずれも料理に通じる所があると、厳しい修行をさせられたものだ――」
心強い笑みを見せるムラサキだったが、過去の話題に及ぶに連れ、次第に遠い目へと変わっていった。
昔日の彼にいったい何があったのか――今はまだ、それを語るべき時では無い。
「ほぅ経験者か。なら文句は受け付けねぇぜ……勝負は三対三のチームデスマッチ! 試合終了時のK/D比の差、かける一万円を敗者が払う事とする!」
「な、何ィッ?!」
シローはボス不良の口から繰り出される専門用語の数々に面食らったが、それでもなお聞き流せない文言に待ったをかける。
「三対三って言ったって、こっちはおいらと兄ちゃんの二人しか居ないじゃないか!」
「それはチームを組む努力を怠ったお前達が悪い。それに、そういう場合は欠員をCPUが補うようになっているから安心しな」
「CPUって、ゲーム側が自動で動かすAIみたいなもんだろ? そんなのおいら達が不利に決まってるじゃないか!」
「そうとも限らんぜ? 大抵のプレイヤーはキャンペーンでリトライするだろ? つまりCPUは、そこらの人間より強いってことだ」
「なるほど」
巧妙な論理展開に納得させられるシローだが、このもっともらしい主張は実態に即したものではない!
キャンペーン、所謂ストーリーモードの難所で出てくる敵は、集団であったり特殊な武器を携行していたりするもの。
同数かつ装備も共通であるという条件下では、当然生身の人間の方が手強いのは道理!
「他に聞いておきたいことはあるか?」
親切そうなこの問いも、話題転換で先の虚言に違和を抱かせぬため。
この不良、存外に狡猾!
「えっと……ほぼほぼ何言ってるか分かんなかったけど……きるれ? って言うのは?」
「キルレシオ、あるいはキル/デスレート――平たく言えば『殺される前に何人殺したか』だ。1ゲームの間に100人殺し100回殺されたのなら、100÷100でキルレの値は1となる」
「じゃあ、お互いにきるれが1同士だったら――」
「支払いは1-1で、0万円だな」
なるほど、とシローが頷く。
「ちなみに、そのキルレはどのくらいが普通なんだ?」
「そうだな……では実際の場面を想像するとしよう」
ムラサキがそう言うと、周囲の風景が戦場のそれへと変化した。これはあくまで想像力豊かなシローの脳内でのみ起こっている現象だ。
「今、俺とシローのツーマンセルが戦場を歩いているとする。そこへ敵が現れた! 奴らもツーマンセルだ! 互いに銃を構え、撃つ――この時、簡単のため四人全員の実力が同様だとする。すると何が起きるか」
「えっと……全員撃たれて、死亡?」
脳内イメージのシローとムラサキが凶弾に倒れる。
仰向けのまま片手を高く上げ、揃って「ヒットー!」と宣言した。
「互いに違う相手を狙った場合は、その通りだ。だが現実はそうとも限らない。仮に、敵二人がシローだけを狙ったとする」
「おいらだけ?!」
「すると何が起きるか」
脳内イメージのシローが凶弾に倒れる。
同時に、シローの放った弾丸が敵の一人を屠る。
無傷のムラサキがその隙に残る敵をノックアウト!
倒れた相手に小走りで近寄り、死体の上で屈伸を始めた。
一見単なる準備運動に見えるが、これはアンガーマネジメントを怠った者を戦闘不能に陥らせる高度な呪いだ!
「この場合、シローがキル1/デス1、敵がキル0/デス1とキル1/デス1、俺がキル1/デス0となる。四人合わせてキル4/デス3。キルレは平均、約0.3。さっきのケースでは0.25であることを鑑みれば、この辺りが平均値だ」
「そ、そうだったのか……! 試合全体でキルとデスは必ず同数になるから、平均は1だとばかり思ってたぜ!」
ムラサキの説得力溢れる説明に納得のシロー。
「じゃあ、同じような事がまた起きたとして、またムラサキの兄ちゃんが生き残ったら……天文学的キルレが出来上がるんじゃ――!」
期待と興奮に胸踊らせるシロー。しかし、ムラサキは無情な現実をしる漢。
「当然誰しもそう考える……だが幸運は長く続かない――」
屈伸中のムラサキの眉間に銃弾が飛来! ヘッドショット!
「戦闘後の隙を狙った別の敵が、常に我々を狙っている。彼らは通称、『不可視の軍事作戦』――Invisible Military Operation(I. M. O.)スナイパーと呼ばれ、恐れられているのだ」
「なんてこった……人生そう甘くないってことか」
シローは知らず唾を飲み込んだ。
それは、自身がこれから挑もうとする巨壁、その一端が垣間見えたことによるものだ。
「クックッ。小僧、俺達の戦績を知りてぇかあ?」
「おいやめておけ。『本当につよいやつは強さを口で説明したりはしない』。ゲーム聖書の一節だ」
にやにや笑いをする不良を諌めるボスは、
「『口で説明するくらいなら』、俺達は『牙をむく』。だろう?」
そう言うと歯を剥いて嗤った。
粗方の説明が終わったと見て、ボス不良が後ろに控える集団に手招きをした。これに応じた不良が二人。
「こちらの面子は、俺、引事覚を含めたこの三人だ。――挨拶しな!」
「俺は御前頑張郎だ」
「ヒッヒッヒッ……勝又ぱいん」
「――俺はムラサキ」
「お、おいらはシローだ!」
「装備一式は、互いに初期から選べるものを使うこととする。対等な条件って奴だ」
一歩進み出たサトシが挑戦的に言い放つ。
その全身からは自信が漲っている。
「課金装備は見た目の圧による著しい優位性があるが――武士の情けだ、使わないでおいてやるぜ。元から持っていないがな」
「上等だ! 後悔しても知らないからな!」
ムラサキ達はしゃもじをアサルトライフルに持ち替え、硝煙立ち込める戦場へと足を踏み入れた――!
――『Course of Fruity』。
FPS界において『Cattle Field』と人気を二分するタイトルである。
このゲームセンターは余程のCoF派と見え、丸々CoFの筐体に占拠された一画があるほどだ。
ムラサキとシローは、ずらりと並ぶ筐体に隣り合って座る。
向かいには対戦相手の不良達が。
筐体は全部で十二台。
最大で六対六の試合を行うことができる。
座ってしまえば、ムラサキ達の側から不良達の姿は見えない。
場外戦術に依らず、ゲームの画面にのみ集中させるための計らいだ。
「コインを入れて――っと」
予め専用のコインに両替を済ませていたシローが、ゲームを起動する。
いざ、試合開始……の前に。
「シロー、まずはロードアウトだ」
「???」
「自分にあった武器を選択するのだ」
「そんなこと言われても……友達ん家で遊ぶ時は、コロコロ使ってたけど……」
シローは不安な面持ちでコントローラーのスティックを操作する。
メイン/サブの二種の武器を選択し、更にそれぞれにアタッチメントと呼ばれるカスタムパーツを取り付ける。近接武器を選び、手榴弾なども携行し、多種多様なスキルをいくつも決定し、敵を倒した時の特典を設定し――
「ふ、複雑すぎるッ! こんなの、人間には無理だッ!」
あまりの情報量の多さに、シローが思わず悲鳴を上げた。
だがそれも無理からぬ話。
キャラクリだけで一時間かかるというのは、古の時代より口伝されているゲームの宿命なのだ!
「――シロー、ならば俺のセットアップを真似ると良い」
「! ありがとう兄ちゃん、助かるぜ」
「リスクは大きいが、一応試合中にも変更が可能だ。手に馴染まなければ、変えてみると良い」
的確なアドバイスを受け、シローの装備が整った。
いざ出撃するは――
『ステンバーイ ステンバーイ……』
決戦の地!
『GO!』
ムラサキとシロー。師弟のツーマンセルが走り出した!
「シロー、まずは舞台となるマップを把握する事が先決だ。敵の潜んでいそうな場所、遮蔽物が無く狙われやすい道、そして裏に回るための隠し通路などを探すのだ」
「ラジャーだぜ、兄ちゃん!」
両者が持つのはアサルトライフル。どの距離でもそつなく戦える優等生で、初心者から熟練者まで幅広く使える一丁だ。
「このサブウェポンのハンドガンはいつ使うんだ?」
「それはゴミだ。自死する時に使え」
ああ、何と言うハンドガンの神が聞いたら二丁拳銃で襲い掛かるレベルの暴言か!
「いやでもさ、そういう誰からもゴミだと思われていた武器を使いこなして勝つのって憧れるじゃん? もしかしたら、こっちのアサルトライフルよりも性に合ってるかもしれないし、ハンドガン人口少ないから俺一番うまいと思う」
シローの発言に思う所があったのか、ムラサキは一旦その歩みを止めた。
「……成る程一理ある。ではそこで試し撃ちをしてみるか」
二人は連れ立って手近な建物へと入った。
机とソファー、それにブラウン管テレビなどが配置された居間だ。
幼い子供が居たのだろう、テレビの上にはぬいぐるみが鎮座している。
家具や床には、ガラスが吹き飛んだ窓から入り込んだ埃や砂が堆積している。
そうした光景が、この地で起きた悲惨な出来事を想起させた。
「よし、じゃあそこからこのぬいぐるみを狙って撃ってみろ」
「え」
「心配するな、このオブジェクトは無敵判定があるから、一定時間弾痕が付くだけですぐ元通りだ」
ムラサキが指し示す先は、テレビの上のぬいぐるみだった。
糸がほつれている。手縫いのようだ。
「まずはアサルトライフルからだ」
「……悲しいけどこれ、戦争なのよね」
シローは照門を覗き込む。対象の姿を照星と重ね――
「――ッ」
射撃!
連続して発射された三発すべてが狙い過たず命中し、ぬいぐるみにえぐれたような痕が付いた。
「何か三発も出たけど、これって?!」
「一度のトリガーで三発の銃弾を吐き出す、その名も三点バーストだ。熟練の兵士でもフルオート射撃で高い命中率を維持できるのは三発が限度――そうしたことから生まれた、お役立ち機能だ」
「お役立ちて」
シローは突っ込みながら武器を入れ替える。今度はハンドガンだ。
「ぃよっし、いっちょこっちも試してみるか!」
意気揚々と構えるシローだったが――
「そ、装弾数が少ない! それにこれ、一発ずつしか撃てないじゃないか!」
待ち受けていたのは非情な現実!
それを口汚く罵ろうとしたシローであったが――現実には、彼にそのような時間は残されていなかった。
突如として降り注ぐ銃弾の嵐! 何発ものそれがシローと、そして共に佇んでいたムラサキの身体を蹂躙する。
Pain killed Murasaki
Pain killed Shiro
画面の端に表示が現れたと思ったら、今度は視点が切り替わる。
そこに映し出されたのは、先程自分達が入っていった部屋を外から見ているかのような風景だ。
その画面はシロー自身の操作とは関係なく動き、見慣れない二名の兵士を視界に収めた。
いや、どこか見覚えのあるその容姿は、対戦相手である不良達のものだった。
「相手の画面が表示されている……? これを見てどこから撃たれたのか確認しろってことか!」
数秒後、シローの画面がまたも切り替わり、カウントダウンが表示された。
「……やられた。再出撃までにはある程度時間がかかる。だがこのミニゲームをすることで、それを早めることができるぞ」
そう言ってムラサキはコントローラーのボタンを連打し始めた。ムラサキの画面に表示された玉ねぎが物凄い勢いでみじん切りにされていく!
「申し訳程度の料理要素来たな。てかこれ、指が疲れて不利になるんじゃ……」
シローは一瞬ミニゲームに気を取られそうになるが、今はそのような場合ではない!
「それより兄ちゃん、なすすべもなくやられちまったよ! もしかして、試し打ちの音で居場所を悟られたんじゃあ?!」
「――いや、それは無いだろう。この喧しい店内で、僅かな音を聞き取る事は不可能だ。その上、位置を特定するとなれば尚更」
「た、確かに……」
連打を続けるムラサキの言う事はもっともだ。
このゲームセンター内は他のゲーム筐体から発せられる電子音やファンファーレ、それにポップコーンの注文を催促する音声などで相当にうるさく、この中でゲーム内音声を聴き分けるのは困難に思える。
だが相手は学校にも行かずゲーセンで屯する新人類。
環境に適応して聴覚が異常発達を遂げていてもおかしくはない。
シローは相手の会話から何か得るものがないかと、両目を閉じて聞き耳を立てた。
視覚を封じることで鋭敏となった聴覚が、喧騒に混じった不良達の声を拾う――
『noob』
『lol』
『lol』
わずかに届いたそれは、シローには理解の及ばない謎の言語だ。
恐らく何らかの符牒であり、こちらに気付かれぬよう作戦を立てているのだ!
謂わば麻雀で言う所の『通し』!
位置がバレた件について得るものは無かったが、やはり一筋縄では行かない事だけは理解できた。
次からは一層気合いを入れなければならない!
決意新たに戦場に降り立ったシローの眼前で、
Pain killed Murasaki
ムラサキが撃たれ斃れた。
「??!!」
突然の出来事にシローは反応できない。そして、棒立ちの彼を見逃す敵では無い!
Pain killed Shiro
シローの画面は再び敵のカメラを映し出し始めた。
画面には現在のスコアが表示される。
TEAM OUTLAW 5 / TEAM BESHOCK 0
「あ、兄ちゃんまずいよ! 奴らこのゲーム相当やり込んでいるッ! それか、何か卑怯な手を使ってるに違いない!」
「…………ああ、そうかもしれん。そうでもなければ、到底説明がつかない事態だ」
歯を食いしばりながらボタンを連打するムラサキ。その表情はいつにもまして厳しい。
「お、おいらちょっと偵察に行ってくるッ」
再出撃までの猶予を使い、シローは単身、敵情視察に向かう。
対戦中に相手方を覗くなど、マナー違反この上ない行為だ。
しかし状況が状況、致し方なかろう。
シローは敵に気付かれぬよう筐体の陰に隠れながら、今ばかりは自分の矮躯に感謝した。
「――ッ!」
そうして垣間見た不良達の姿に、シローは絶句する。
三人の姿は、シロー達と同じゲームをしているとはとても思えないものだったからだ。
まずは頭部に目が行く。不良達の両耳は円形のクッションに覆われている。いや、あれはクッションなどでは無い!
(ヘ、ヘッドホン――!)
そう、筐体のイヤホンジャックから有線接続されたそれは、紛うこと無きヘッドホン!
彼らはこれを用いて、ゲーム内で発せられた足音などの情報からムラサキ達の位置を捕捉していたのだ!
通話用のマイクまで備わっており、チームメイトとの意思疎通にも何ら障壁とならない。
それだけでは飽き足らず――
(あ、あれは……キーボードと、マウス?)
ゲームのコントローラーでプレイしていたシローらと異なり、不良共は左手でキーボードを、右手でマウスを操作しているではないか!
しかもキーボードは極限まで小型化された、0から9までの10個のキーしか無い特注品だ!
『そろそろリス位置変更の頃合いだ。B地点に回り込む』
『ケー』
『ケー』
シローはこっそりと、敵の画面が見える位置に移動する。
三人は一糸乱れぬ隊列で『そこ通れるんだ』的通路を練り歩いていく。
そうして画面端に挙動不審な人影が映り込み――
Pain killed Murasaki
『キル確認――っと』
次の瞬間、その人影は地面に倒れ伏していた。
驚くべきは敵の捕捉能力。
マウスで狙うその動作は、もはや画面上に現れた虫を撃ち落とすミニゲームの如きお手軽さだ!
えっちらおっちらスティックを動かしているシローとムラサキでは、到底この速度に追いつくことなど出来ようはずもない!
そしてシローは知る由もないが、このゲームは照準時のアシスト機能が殆ど無いため、キーボードとマウスの二刀流こそが最適解なのだ!
隔絶した実力の差をまざまざと見せつけられたシローは、悄然としたまま自席に戻った。隣では、ムラサキがまた連打をしていた。
「これ以上、みじん切りしてしまうと、俺は玉ねぎになってしまう」
「兄ちゃん、のみこまれたらだめだ……」
なおもブツブツと呟くムラサキを残し、シローは絶望の戦場へと戻った。
それからの数分は、地獄だった。
Pain killed Murasaki
リスポーン地点を予測されて倒され、建物の屋根から不意打ちされて倒され、
Pain killed CPU1
上にばかり注意を向けている所を死体に偽装した敵に倒され、
Pain killed Murasaki
そして正面からの撃ち合いで倒された。
Pain killed Murasaki
「またペインだ!」
途中、シローが破れかぶれに投げた衝撃手榴弾が功を奏し、それぞれが1キルをもぎ取ったものの、報復とばかりに銃弾の雨がその強さを増した。
TEAM OUTLAW 12 / TEAM BESHOCK 2
この状況に、ムラサキは内心とても焦っていた。
(まずい……現状、敵のK/D比は6に対しこちらは1/6……すなわち、支払額はおよそ五.八万円……このレート、試合開始前には大差がつきにくいと感じていたが、狙いは別にあるッ! 数万円と言うのは大きいものの、決して払えない額ではない。これが数十万円だとか、数百万円などとなれば、たかがゲームで払うにしては金額がデカすぎるとでも言って有耶無耶にできるが……その手も通用しないッ)
Pain killed Murasaki
(何か手を打たねば……何か、何かないのかッ?!)
焦るムラサキ。
このままでは、突如として十万円ほどの出費が発生してしまう!
美食五聖天と言えどかなり痛い上、こんなしょうもない理由でしょうもない
連中に支払うのは真っ平御免だ!
「…………何、してるの?」
「――え、いなり?! なんでここに?」
画面に集中するムラサキとシローの背後に、いつの間にか入店していたいなりが立っていた。
いつぞやの忍装束ではなく、年相応のラフな私服姿だ。
「じーp――た、たまたま通りかかって。で、何してるの?」
「え、や、この店の不良に絡まれて、FPSで勝負して――いやそんなことよりいなり、いやいなり様! 手を貸してくれよぅ!」
シローは涙目になりながら訴え始めた。
「このままじゃムラサキの兄ちゃんの財布が大変なんだ! 加勢してくれ、いやくださいッ!」
床に額を擦り付けんばかりの勢いで拝み倒すシロー。
いなりはその様に少々の愉悦を覚えつつ、ムラサキが齧り付く筐体をちらと一瞥。
「えー……でもわたし、たぬきに借金返すゲームくらいしか、した事ないよ」
「それでもいいから! 猫の手も借りたい所なんだ!」
「しょうがないにゃあ……」
シローの隣に、渋々と言った様子でいなりが座る。
「なんだ助っ人か小僧?」
ボス不良、サトシはいなりを一瞥すると、あからさまに侮った表情で鼻を鳴らした。
「いいぜ認めてやろう。まあ、今更何をやっても遅いがな」
HERE COMES A NEW CHALLENGER!
――いなり、参戦!
「助かるぜ、いなり……適当に弾幕張ってくれるだけでも有り難い。後はおいらと兄ちゃんで何とかするぜ……」
悲壮な決意を滲ませるシロー。一方のいなりはコントローラーをあれこれと動かし、
「これがこうで、ここが――うん、だいたい覚えた」
武器をハンドガンに持ち替え、疾走りだした。
「は、早い?!」
呆然とするシローを置き去りに、忍者が今、戦場に降り立った!
『サトシさん、いいんスか? 途中参加なんて認めて』
圧倒的優位に立つ敵三人は、遮蔽物に隠れながら休息を取っていた。
『長時間画面に集中することは良くない。一、二時間に一度は、ストレッチや遠くを眺めるなどのインターバルを挟む事が大事だ。』
それは、かつてこのゲームセンターを治めていた男がサトシ達に遺した金言だった。
彼は、若さを頼りに自らの身体を顧みずゲームをし続けた結果、重篤な眼精疲労を患いこの界隈から脱落した。
その苦悩する姿を間近で見てきたサトシは、仲間達にもこの教えを徹底させていたのだ。
『なあに心配いらない。見た所、ゲームなんざオシャレなまほうのカードくらいしかやった事のなさそうな小娘だ。俺達の脅威になんざ、なるはずも――』
次の瞬間、乾いた破裂音と共に話していた仲間の頭が撃ち抜かれた。画面端に無機質な表示が流れる。
Okitsune killed Gambaro
『??!!』
直前までの温い試合展開に完全に油断していたサトシは、それでも反射的に敵が居ると思しき方向へ銃口を向けた。
一瞬だけ垣間見えた敵の姿は、素早い挙動でサトシの照準から外れる。
『速ッ?! ハンドガン使いか――』
「戦闘中に話したりする余裕があるの?」
Okitsune killed Satoshi
立て続けに二人を処したいなり。だが後方から、それを狙う敵あり。残る不良の一人、狙撃主のぱいんだ。
(突然の事に面食らったが……攻撃の直後に生まれる隙、そこを――)
トリガーに指をかけたその時、高倍率スコープの先に確かに捉えた敵の姿が、前触れもなく消え去る。発射された弾丸は空を貫き、乾いた地面に弾痕を残した。
すぐさま顔を上げて行方を追おうとするぱいん。だが視界にそれらしい人影は見当たらない。
(どこに――)
Okitsune killed Pain
――いったのだろうか、という思考は、直後の銃声と共に絶たれた。
リスポーン地点に集まった不良三人組は、緊急会議を開いていた。
「ぱいんまで殺られたってのかッ?! たかが小娘一人に、俺達三人がッ?!」
「サ、サトシさん落ち着いて! たぶんまぐれか、ビギナーズラックか、何かの間違いだろう」
先の戦闘で自身が見舞われた事態を処理しきれていないのか、サトシが大声で喚き散らす。見かねたガンバロウがそれを宥めた。
「――いや、動作に一切の迷いを感じなかった……間違いなく只者じゃねぇ。それにあの速さッ! 俺はずっと視ていたんだッ、そのはずだってのに、そこにいたのにいなかった……一体何が起きているんだ……」
ただ一人、三人の中で最も実力のあるぱいんが脂汗を流しながらそう吐露する。常に無い彼の様子は、二人に現在直面しているコトの深刻さを実感させるのに、これ以上ないほど効果的だった。
その時だった。
「――――え」
クールダウンしたサトシの視界の端が、動く影を捉えた。
「もうついたのかッ?!」
「はやい――」
焦りで手元が覚束ない中、それでも日々の反復練習で身に染み付いたルーティンが、サトシに銃を構えさせた。
偶然にも、覗いた先には敵手の頭部。降って湧いた幸運に心拍数の上昇を感じながら、サトシはトリガーを引き――
しかし着弾のその瞬間には、既にその姿は無く、
「ぎゃあああああッ!」
Okitsune killed Gambaro
断末魔を上げるガンバロウ。その背後にはコンバットナイフを突き立てる少女兵が。
「ちぃッ――」
ぱいんが土嚢を飛び越えて走る。彼の位置からでは、ガンバロウの身体が邪魔で相手を狙えないのだ。スライディングを交えた高速移動で崩れかけたブロック塀の陰に滑り込み、即座にエイム、からの射撃!
「??!!」
だが当たらない! 小刻みな左右移動にジャンプとしゃがみを交えた奇っ怪な挙動により、ぱいんの照準は定まらずその弾丸は空しく虚空を穿つのみ!
「――!」
Okitsune killed Pain
そうして弾倉に残るすべての弾丸を吐き出したぱいんは、成すすべもなく頭を撃ち抜かれた。
「ひ、ひぃぃっ」
超常の動きを目の当たりにしたサトシは、一目散にその場からの脱出を図った。
チーム随一の実力者がタイマンで勝てない相手に彼が勝てる道理もない。一度合流し、作戦を練らねば。
「――」
だが、敵はそれを座視するほど甘くは無かった。
結果として、仲間と合流するという目的は、すぐに果たされることとなった。
TEAM OUTLAW 13 / TEAM BESHOCK 50
50キル先取という勝利条件が満たされたことで、不良達は悪夢から解放されることとなった。
「か、勝てた……なんて言うか……さすが忍者だ」
「に、忍者?! この嬢ちゃん、忍者だったのか?!」
「汚いぞ?! さすがに忍者はきたない!」
試合に参加していなかった取り巻き不良達からブーイングが上がる。
「――よせ! ルールは互いに納得ずく。後からごちゃごちゃ言うなんざ、不良の沽券に関わる」
それを制したのはボス格のサトシだ。
吹っ切れたような彼の表情は、この戦いから何か得る物があった事が窺える。
「勉強させてもらったよ。俺等は所詮、仲間内でイキりあっていた凡人。まさしく『無課金は大会に出られない』、ってわけだ……」
「御託はいい。出すもん出してもらおうか」
そうした感慨を、ムラサキが容赦なく切り捨てた。
「…………そうだな。ええと、13対50だから……計算が面倒だな」
「バグンダダ持ってきましょうか?」
「13対50? それはチームの話だろう。ここは個人のレートを合算すべきだ」
ムラサキの高圧的な物言いに、しかし不良らは否やを口に出すことはできない。
勝者こそがルールであり、敗者に語る資格なし。それが不良の掟なのだ。
「……わかったよ。ええと、嬢ちゃんのレートが…………??!!」
渋々了承したサトシの表情が一瞬にして青白く変わる!
気付いたのだ、ムラサキの張った罠に、まんまと引っ掛かった事実に!
「50キル、0デス――これの意味する所が理解できるな?」
「「!!!」」
遅れて他の不良達にも衝撃が伝わる! キルレとはキル数÷デス数で定義される指標である。すなわち――
「デス0、つまりキルレ∞ッッ!!」
ゼロ除算の結果はそもそも定義できない事は就学前に習う概念であるが、相手は何せ不良!
タバコも吸うし宿題もやらない事が仇となり、この巧妙な話術がハッタリであると見抜くことができない!
「払ってもらおうか……無限万円を」
「そ、そんな金持ってたら、ジュニアNISAにオールインしている……」
「なら今持っている全財産を出せ」
ムラサキは威圧的にそう告げ、不良達全員から奪ったなけなしの小銭を懐に仕舞った。
明日から彼らは、どのようにしてコインゲームに興じるのか。
いつもやっている、店舗の掃除で得られるお小遣いはたかが知れているのだ。
だが、敗者の心配など勝者のする事では無い。
ムラサキはまた因縁をつけられる前に退散することにした。
「――しかし本当に凄かったぜ。いなり、ありがとうな!」
「べ、べつに、それほどでもないよ」
かくして、唐突に始まった試練はムラサキ達の完勝に終わった。
だが彼らはまだ知らない。それが、この先に待ち受ける、想像を絶する苦難の序章に過ぎぬということを――!
第6話「戦闘るフィールド」・了
――次回
ムラサキとシローが辿り着いた所は、昔の遊びしか無い不思議な町だった
束の間の楽しさを味わうムラサキ
だがそこに、遊戯の門番、笹宮トシが現れる
ムラサキが台と向き合う時、ホープを託したスロットのハンドルが引っ張られる
次回、世紀末美食伝説ムラサキ 『冒険! タベモンと僕』
今、美食が進化する




