エピローグ
エピローグ 「名も無き料理人」
「ここがネオトキオ――」
シローとムラサキは今、美食の聖地、ネオトキオへと足を踏み入れていた!
『迷惑料代わりさ。その目でしかと見るがいい。ネオトキオの真髄を。「魔都」と、そう呼ばれる所以をね』
美食マフィアのドン・ソルレオーネとの激闘からはや一週間。
彼の口添えで入都許可証(一日フリーパス)を手に入れたムラサキは、シローをお供に連れ添って、この地へとやって来たのだった!
「……栄えているって話だったけど、県境のせいか人っ子一人居ないな」
「ああ……だが油断するなよ。どこに料理人が潜んでいるかも分からない。敵地だということを、常に忘れないことだ」
「わ、わかってるってばよ……常在洗い場の精神で行くぜ!」
ムラサキの警句に、思わず唾を飲み込むシロー。
これまでの戦いを思い出し、包丁を握る手にも自然と力が入る。
と、そこに――
「あっ! あそこに人がいるぜ!」
第一都民、発見!
「ああ、それに見てみろ。奴の服装を」
ムラサキの指摘する通り、その都民は特徴的な白の上下、すなわち調理着を身にまとっている。
間違いない、料理人だ。
「やったぜ兄ちゃん! 『東京のレベルを知るためにも、まずはその辺の雑魚に料理勝負を仕掛ける』――ここに来る間に立てた計画通りだ! モブ顔だし、どうせ料理力も大したことないに違いない。こいつぁ幸先いいや!」
「待てシロー。確かに奴からは美食オーラを感じ取ることは出来ないが――逆に、オーラの出力を自在に変えられるほどの使い手である可能性もある。外見で判断せず、気をつけなければならない」
「分かったぜ、流石は兄ちゃん!」
ムラサキとシローは、慎重かつ大胆に料理人と思しき第一都民に近付く。
「そこのあんた! もしかしなくても、料理人か?」
「えっ……はい、そうですけど」
突然声をかけられた男は、怪訝そうな顔でムラサキとシローを観察する。
「実は今、料理勝負の相手を探している所なのだ」
「そうそう! 何を隠そう、こちらにおわすお方こそ、畏れ多くも美食五聖天のムラサキその人! その目に留まるなんて、光栄な事だぜ?」
「は、はぁ……」
「なんか顔も反応薄いなぁ……知ってるだろ? 美食五聖天」
「いやぁ……あ、五鉄人なら知ってます……」
「五聖天も知らないなんてモグリかよ?! 信じられないぜ!」
「す、すみません! まだ料理を始めて日が浅いもので……一応、美津濃グルメガイド百名店に選出されたビストロで、修行させてもらってはいるのですが……」
シローの発見した料理人からは、一流が持つ独特な波動が一切感じられない。
「あまり相手を威嚇するものじゃないぞ、シロー。……すまないな、弟子が失礼をした。だがそういうわけだから、ここは一つ料理勝負をしてもらえないだろうか」
「そういうわけだ」
「はぁ、僕なんかでよろしければ……」
「礼を言う。改めて名乗らせてもらおう。俺はムラサキ。美食五聖天、ソイ・ソースのムラサキだ。そちらは?」
「えっ、いやいや、僕なんか、名乗る程の者ではありませんよ……」
「なんだか覇気の欠片も無いなぁ」
「シロー、よせ。……この辺りは土地勘が無くてな、すまないがどこか料理勝負できそうな場所を知っているだろうか」
「え? ああ、それならすぐそこにスーパーがありますから、併設の美食対決場でしましょう」
「「???」」
「となると、ルールはスタンダードに、スーパーで調達した食材で作るのが手軽ですね。今日は肉の特売日なので、お題は肉料理でいかがですか?」
「あ、ああ。じゃあそれで……」
こうしてムラサキ達は、モブ顔の都民に連れられて、スーパーマーケットへと足を運ぶこととなった。
店舗の裏手には、簡素な机とそれを取り囲むように配置された四つのプレハブ小屋があった。
小屋の内部は調理スペースであり、小さな料理店クラスの設備が整っていた。
「実際に調理している所は、見えないようになってるんだな」
「技術や技能を隠したがる人も多いですからね。名のある大会なんかでは逆ですが」
どの調理スペースを使用するかを決めると、特に合図などはなくぬるりと試合が開始された。
こういう時だけは、いかに司会の存在がありがたかったかを思い知る。
決められた金額の範囲で買い物をし、時間内に調理を完了する。
購入の時間も含まれているので、あまりそちらにかまけてばかりもいられない。
売り場を確認してのメニュー決め、食材の瞬時の目利き、合計金額の暗算、そして早く空きそうなレジの見極めなど、このルールは単純なようでいて、多岐に渡る美食技能が要求される総合種目と言えるのだ。
「流石はネオトキオ、と言ったところか」
ムラサキは不敵に笑いながら、一切の躊躇無く食材をカゴに放り込んでいく。
「……シロー、これも社会勉強だ。あの料理人がどんな技術を用いているか、よく観察して来い」
「敵情視察って奴だな!」
「手の内を探れというわけではない。不正は駄目だ。あくまで、教えを乞う体で行くのだ」
「でもさ、おいらはムラサキの兄ちゃんの弟子だぜ? 今更、そこいらの木っ端料理人から学ぶことなんて、無いと思うんだけどなぁ」
腕を頭の後ろで組みながらぼやくシローに、ムラサキは真剣な表情で向き直る。
「いいやシロー、それは違うぞ。お前はまだ若い。この先、様々な料理人と出会うだろう。それはお前よりも優れた料理人かもしれない。あるいは、お前よりも才覚に劣る料理人かもしれない。だがなシロー、どのような料理人であれ、そこから学び取れる物は必ずあるのだ。そうして見聞を広めつつ、自身に取り入れる信条を取捨選択していく。そうすることで、お前という一皿が完成していくのだ。それは見果てぬ、遥かに遠い先にある終点だ。俺すら、まだその途上にいる。だからな、シロー。実は俺も、お前から得ている物があるのだ。それを忘れるなよ」
ムラサキのその言葉に、シローの心中を何か熱いものが満たし、それは液体となって両の眼から溢れ出た。
「あ、兄ちゃん……分かったよ…………敵情視察だなんて、おいら、自分が恥ずかしいぜ」
シローは袖で涙を拭うと、その勢いのまま対戦相手の調理場へと走って行った。
「見学、ですか? まぁ、いいですけど。あんまり参考になるかはわかりませんよ? さっきも言いましたけど、僕はまだ見習いも見習い。肉の火入れなんて、賄い以外は店でやらせてもらった事もありませんし」
「大丈夫大丈夫! おいらより劣ってても、学び取れる物が必ずあるから! 反面教師として!」
ムラサキの教えを完璧に理解したシローは、そう言って無理矢理に見学させてもらえる事になった。
「で、何を作るつもりなんだ?」
「そうですね……そちらは多分、手の込んだ物を用意しますよね? 提供時間が被ると申し訳ないし、簡単に豚のポワレにしようかな」
「ほうほう?」
「丁度良さそうな肩ロースが売っていたので、これを使います。実は火入れがまだ苦手で……肩ロースなら、多少余計に火が入っても美味しいですからね。安心です」
(そうなんだ)
「まずはマリネ……肉の重さの一パーセント程度の塩を打ってから……薄切りにしたニンニクと、フレッシュなローズマリーを……これを袋に入れて、肉に行き渡る程度のオリーブオイルを……」
「そ、それってどんな意味があるんだ? いやあるんですか?」
シローは敬語になった。
「ああ、君の言う通りだよね。流石に鋭いなぁ……確かに、あまり時間が無いから、この工程に意味は無いかも知れない。でも、やらないよりはマシかなって」
「へ、へぇ……」
想定していなかった返答であったが、シローは何故だかそれを指摘する気持ちになれなかった。
「この間に付け合わせを用意しちゃおうかな。ピュレドポムドテールのつもりでじゃがいもを買っちゃったけど……このキッチン、ライサーが見当たらないんだよね……パッセがちょっと面倒だから、シンプルにチップスかフリッツ――チップスで行こうかな」
男はじゃがいもを洗い、慣れた手つきで芽を取り除くと、恐るべき速度でそれを輪切りにしていった。
「??!! 切、速、えっ……??!!」
「あ、ああ、これはお恥ずかしい……やっぱりちょっと遅いよね? 最初に言ったけど、僕はまだまだ見習いで……先輩達の三分の一も出せてないんだよ」
「そ、そうですか……」
スライスされたじゃがいも改めて観察すると、その厚さはどれも均一に揃っていた。
男はじゃがいもを塩水に入れると、トマト、アスパラガス、人参、玉ねぎなどの野菜を取り出し、下拵えを始めた。
特筆するような技巧は無く、軽く焼き色をつける程度の工程であった。
しかし、一つ一つの所作が丁寧で、それでいて洗練された動きであった。
シローはその姿を、食い入るように見つめていた。
「野菜たちには肉の火入れまでプランチャで休んでてもらって……芋がそろそろかな」
塩水に漬けていたじゃがいもは、キッチンペーパーでよく水気を拭われた後、あらかじめ熱されていた油へと投入される。
しばしの後、男は芋を引き上げると、コンロの火力を上げ、そこに再び芋を投入した。
軽快に鳴る揚げ音。
芋は先程よりも短い時間、油の中に滞在し、そして取り出された後はミルで挽かれた岩塩が振りかけられた。
こんがりと揚がったチップスは、先程の野菜達と共に、鉄板の上で保温される。
「じゃあいよいよメインだね……緊張するなぁ」
男はトングを用いて袋から肉を取り出すと、脂身を下にしてフライパンで焼き始める。
脂に十分火が通り、香ばしい焼き色がついた事を確認した男は、火を少し弱め、フライパンの上に肉を寝かせた。
そこに、肉と一緒に漬け込まれていたニンニクやローズマリーを入れる。
フライパンを傾けると、肉の脂身から出た油が下の方へと落ちていった。
男はスプーンでそれを掬うと、肉の表面にかけ始めた。
「アロゼの間隔は、こんなもんで良いのかなぁ……」
そんな不安そうな呟きが漏れ聞こえるものの、シローの目からは何ら淀みのないように見える。
男は両面に同様の処理を施した後、金属製の針のようなものを肉の中心に突き刺し、唇の下につけるという奇っ怪な動作をした。
シローにはそれが一体なんのために行ったのか見当もつかなかったが、考えるに恐らく、宗教的な儀礼めいたものなのだろう。
そうして何らかの美食神に奉ぜられた肉が、バットに上げられた。
だがどうやら、これで調理完了、というわけでは無いらしい。
「うん。後は火を入れた分だけ休ませて、仕上げにさっと温め直したら、白ワインでデグラッセ……あ、君、僕の方はそろそろ終わりそうだから、悪いのだけれどムラサキさんに伝えてくれないかな?」
「え、あ、はい」
シローは言われるがまま、男の調理場を後にする。
(…………)
シローの脳は、これまでに体験したあらゆる美食エクスペリエンスを凌駕する情報の渦に焼かれていた。
放たれるオフチョベットしたテフをマブガッドしてリットしたような呪文は、意味こそ分からなかったが決して出鱈目ではないことだけは理解できた。
なぜならば、それを裏打ちする数々の高等技術が繰り広げられていたからだ。
シローが未だかつて、目にした事の無かったような――
(あ、あれ……?)
それは、今まで黒と信じていた物が実は白だったかのような衝撃。
シローの脳内で、それまでの常識が崩れる音がした。
(あれ? 兄ちゃん……?)
今まで気付かなかった――あるいは、努めて気付かないようにしてきた想念が浮かびかける。
(い、いや、そんなはずはない……兄ちゃんは、これまで何度も強敵達を、ゲームや料理や、それからゲームで打ち倒して来たんだッ……!)
根幹とも言うべき何かを喪失してしまう感覚。
それを払拭すべく、シローは走った。
師ムラサキの待つ調理スペースへ。
そこでは恐らく、抱いた不安が一息で吹き飛ばされるような、何らかの革命的調理が行われているに違いないのだ。
「あ、兄ちゃん!」
「戻ったか。何か少しでも学べる物はあったか?」
銀色に光る寸胴をかき混ぜながら、ムラサキが穏やかに出迎えた。
「え、あ……う…………そ、それより、兄ちゃんは何を?」
「フッ……カレーだ」
言われてみれば、独特の香ばしい香りが辺りに漂っている。
それに気付けない程、シローの心は揺れに揺れていたのだ。
「肉料理の勝負――となれば恐らく、相手は単に焼いたような代物を出すだろう。そこで、お題の懐の広さを逆手に取ったこの選択だ。薄い印象を一瞬で塗り替えること間違いなし。完璧な作戦と言えよう」
「そ、そうなのか。さすがは兄ちゃん……」
「更に念には念を入れ、秘策も用意してある。まさに『獅子は千人がかりで兎を突き落とす』だな」
「秘策!」
そう、これまでの激しい戦いにおいて、ムラサキは敵の想定を上回る奇策とも言うべき手段でこれらを掻い潜って来たのだ。
恐らく今回も、シローには及びもつかない、何らかの打開策を講じてあるに違いない。
「それは一体、どんな策なんだ?!」
「なんだ、やけに食いつくじゃないか……実はな――」
「実は?」
いや増す期待感に、シローはごくりと喉を鳴らした。
「――実は、カレーを作る際、二種類以上のルーを混ぜると、よりおいしいんだ」
「………………そ、そうなんだ」
シローの胸中が、再び不安感に満たされていく。
それは美食五聖天達との絶望的な戦いの際にすら感じたことのなかった、恐ろしき感覚であった。
少しでも力を込めれば脆く崩れ去ってしまう、砂で拵えた台の上にでも立っているような錯覚。
いや、台ならまだ良い。
これは橋だ。
崩壊したら最後、どことも知れぬ闇の底へと落下する、そういった類の。
「………………そうだ、向こうの料理、もう出来上がるって」
シローは何とかその言葉を振り絞った。
「僕の皿は『豚肩ロースのポワレ』。それでは、ご賞味ください」
(ポ、ポアンカレ――?)
「……うむ、いただこう」
無もなき料理人の差し出した皿は、まるで芸術作品のような輝きを放っていた。
丁寧に火入れのされた豚肉が中央に麗しく鎮座しており、付け合わせがそれを彩るように配置されている。
肉の表面を彩る焼き色は、それだけで見る者の空腹を誘う。
ムラサキが入れたナイフが、乙女の柔肌のように抵抗無く肉を切り裂く。
その断面から垣間見えるのは、美しき薔薇色。
しっとりとした肉汁がほのかに滲む様は、血色の良い唇を思わせる。
そのあまりの艶めかしさは、幼きシローにあって今すぐ口中をそれで満たしたい欲で満たされるほどだ。
肉本来が持つ旨味すべてを余す所なく閉じ込めたと、そのような錯覚すら抱かせる芳醇な味わいが、ムラサキの口腔内を蹂躙した。
「うぶっふ」
「?!」
瞬間、思わず咳き込んだムラサキが、口元を手で覆う。
その刹那、シローは確かに目撃した。師の口から漏れ出た、黄金の光を。
「……うん、うん……なるほどね。なるほど、うんなるほど」
ムラサキは咀嚼と嚥下の後、口をナプキンで拭きながらそう言って席を立つと、そのまま調理スペースへと消えていった。
「あ、兄ちゃん……」
去りゆくムラサキの背と残された料理とを見比べていたシローは、その蠱惑的な姿に耐えられず、食べさしを口に運んだ。
「!!!!!」
止め処なく溢れ出る極限の旨味の嵐。
シローは視界一杯に広がる虹色のオーロラを幻視した。
それは、受け止めきれぬ情報の奔流が視覚野にまで漏出した結果であった。
気付けば皿は空になっていた。
シローは残りがどこかに隠されているのではないかと、一縷の望みをかけて皿の後ろを覗いた。
「お、おいら……おいら、こんなに美味いもの、はじめて食べた……」
その一皿はシローの美食観を、いや人生をも変えた。
まさしくパラダイムシフトと、そう呼んで相違ないだろう。
「いやぁ、お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞なんかじゃない、本ッ当に美味かった! なああんた、いやあなた様は! 実は、さぞや名のある名店の若きシェフ! そうなんだろ? そうだと言ってくれ!!」
シローの懇願に、しかし――
「えっ……そんなわけないよ。この位の料理、ある程度自炊好きな人なら作れるはずだけど……」
無惨に打ち砕かれた。
「そう言えば最初から、なんだか話が噛み合っていない気がするなぁ。この程度の料理に、その驚き様……君、まさか『文系』? だとすると密入都か――? いや、君の年齢だと、選別試験はまだか――」
男の眼差しが徐々に疑惑の色を帯びていく。
例えようのない居心地の悪さを感じたシローは、逃げ場所を探して辺りを見回した。
(そ、そうだ……兄ちゃんは……)
目についたのは、ムラサキが家庭的なカレーを仕込んでいる調理スペースだ。
ムラサキならこの状況を何とかしてくれる。
一度は消え去りかけた一縷の望みが再燃する。
シローは、師の頼もしい笑みを思い浮かべながら、走って、走って、扉を開いた。
「兄ちゃ――――」
だが、部屋の中に、ムラサキの姿は無かった。
つい先程まで煮込まれていたのか、火の消えた寸胴からは、白い湯気が立ち昇っている。
「兄ちゃん……?」
開け放たれていた窓から、風が吹き込んだ。
卓上の紙が揺れ、シローの目に留まった。
シローはゆっくりと紙に近付き、それを読んだ。
『レッスン2だ、シロー。勝てない相手からは逃げる。これぞ常勝無敗の極意也 ww』
「………………」
シローの思考が白に染まる。
再び吹き抜けた風が、呆然と立ち尽くすシローの手から、師の最後の言葉を奪っていった。
――世紀末美食伝説ムラサキ、完
【特報】
《デンデンッ!》
激しい戦いの果て――
『ふふふ……』
《デンデンッ!》
平和な日常を手に入れたムラサキ達――
『ははは……』
だが、束の間の平穏は、過去の亡霊によって引き裂かれる――
『久し振りだな、兄ちゃん――いや、ムラサキさんよぉ?』
『ッ?! 生きていたのか、シロー――!』
《疾走感のあるBGM》
袂を分かった師弟――
『シローなぜこんなことをッ! まさか、洗脳されて――?!』
『Non! Non! Non! 口を閉じろ、アッシェにするぞッッ!』
『いなりちゃん、貴方までどうして――?!』
『ごめんなさいシオさん……でも、今の私はネオトキオの女――』
その溝は果てしなく深く――
『調理師免許も持っていない、似非料理人風情が!』
『おのれ、言ってはならん事をッッ――!!!』
再び埋まる事は無いのだろうか――
『さようならだ、美食五聖天ムラサキ。いや、兄ちゃん――』
『!!!!!』
そして舞台は、従来の常識が通じぬ魔の都、ネオトキオに――
『――――ここは?』
『ようやく気がついたか』
『澤?! それに、皆も……美食五聖天が、揃い踏みと言うわけか』
『それだけじゃないわ』
『ああ。全国から集められたようだ。県を代表する、ご当地料理人達が』
一同に会す猛者達――
『確かに見知った顔がある……あれは美食五賢老か』
『向こうは五超星』
『では、あの子供達が?』
『ああ。当代の美食五年生らしい』
世界に名だたる美食の聖地を――
『これはこれは。元【む】担当のムラサキさんじゃあねぇか……裏切り者が、よくも俺達の前に顔を出せたな』
『美食五英傑、味噌の金山寺……』
陰謀の闇が染め上げる――
『お集まりの木っ端料理人の皆様! 皆様にはこれから、ゲームをしていただきます――』
『?!』
『――死のゲームをね』
先の見えぬ熾烈な争い。そしてついに、一行を悲劇が襲う――
『ジ、ジロウ――?!』
『ムラサキぃ……どうやら己は、ここまでのようだぁ……』
《感動的なBGM》
『不可解と思われる物事には、必ず何か裏がある。そう、「真円を描いている時、コンパスを使っている」ように――!』
『幸運の女神は独特の髪型をしているの、知らないのか?』
『オレが新しい【ム】担当だ、よろしくなぁ、先輩?』
『確かに兄ちゃんとの日々は、俺のジュとなっているさ――だが今は、それが堪らなく不愉快んだよッッ!!』
果たして、師弟の絆を取り戻すことはできるのか――
そして、ムラサキ達、美食五聖天の運命は――――!
《デンデェーンッ!!》
世紀末美食伝説ムラサキⅡ
『出すしか無いようだな……これがV2、V3を超えた美食の極み――』
(※嘘予告です)




