第一話 世界恐慌と異世界開拓の始まり
第一話です。
追記、すみませんが二話以降の話を執筆するために一部内容(主に国家名)を変更しています。今一度確認をお願いします。
異世界への穴が発見されたとの連絡があってから2日後、穴がある倉庫街一帯は政府の直轄管理地となった。
そして政府指導のもと、穴の向こう側である異世界の調査並びに保護を求めている住民の救助が始まった。
調査隊がまず行ったのは、住民の救助である。
救助と言っても、キャンプにいる人数の確認や、食料の供給などである。
この食料の供給というのは、キャンプにある食料が底をつきかけていたからである。
このキャンプに住んでいた住民は、全員エルフと呼ばれる種族であり、この異世界にある嶺という国家に迫害されて、ここまで逃げて来たそうであった。
そのため食料を探そうにも嶺の兵士に見つかりでもすると殺されてしまう可能性があったため、積極的にキャンプ付近から移動することができず、食料を探すことが出来なかったのである。
実際、ケリーはあまりにもお腹がすいたため、食べ物を求めて森に入ったところ、なぜか出来ていた異世界に通ずる穴に入ってしまったのである。
調査の結果、住民は37人。
以上であった。
元々は100人以上いたらしいのだが、ここに着くまでに多くの仲間が犠牲になったという。
とりあえずキャンプの隣にキャンプの護衛兼周辺の調査のための政府と軍共同の宿泊施設が作られることとなった。
湖に沿って作られることになったため、水に関しては現地調達で済むこととなった。
そして穴とキャンプ周辺の調査が行われたものの、周りには森林以外何もなく、あるのは見たことのない自然動物と湖に流れ込む川、そして草木だけであった。
そのため付近は安全と断定した政府は開拓使の設置。
1933年の秋頃、異世界への開拓が始まった。
1929年、アメリカのウォール街にて株価が大暴落。
これに連鎖して世界中で株価や生産量が激減。
いわゆる世界恐慌が発生した。
もちろん日本も例外ではなく恐慌が襲いかかってきたが、当時大蔵大臣であった高橋蔵相による積極的な歳出拡大や1932年から始まった自力更生運動、さらには金の交換禁止の円相場の下落もあり、アジア地域を中心とした輸出により1932年には欧米諸国に先駆けて景気を回復することに成功した。
しかし、同年にイギリスはブロック経済を発動。
これにより日本はイギリスやインドの経済から追い出されてしまった。
そのため国内や数少ない植民地、満州事変によって建国された満州国などとの交易にだけになってしまった。
そのため失業者が数多く生まれてしまったわけだが、その失業者の受け皿として考えられたのが異世界である。
幸いにも周りには人は住んでいないようだったので、移民を送り込んでも大丈夫だろうということで、1934年から開拓使は移民の受け入れを開始。
初めは移民ではなく屯田兵として受け入れがスタートし、主に湖を中心に商業施設や住居、軍の駐屯地などが合わさって街が作られていくこととなった。
後の絵留札留市の元となる街である。
また、元から住んでいたエルフたちもキャンプ地はそのままにテントから平屋建てで簡素なものの、戸建てが政府によって建て替えられた。
そして、特区に指定され、基本的にエルフたちはそこで保護されることとなった。
そして穴と街を結ぶ街道が建設され、現世からの物資輸送に一役買うこととなった。
そして現世の方では、倉庫街があった場所はそのままとなり、物質集積地として運営された。
ただし、穴がある場所は開拓使の本部兼移民の受け入れ場が建てられ、当時近くにあった兵庫県庁舎よりも豪華であった。
そして政府が行ったのは開拓だけでは無い。
魔法の会得である。
ケリーや他のエルフ、その他現世からの教員、さらには軍人などが配置され、湖のほとりの一角には学校が建設された。
移民の子供や特区に住んでいるエルフ、果てには士官学校の生徒までもが集まる絵留札留初等/中等学校の誕生である。
通常の授業だけでなく、魔法やサバイバル術などが教えられる特殊な学校である。
無論、魔法に関しては士官学校の生徒は必ず受けることになっていた。
彼らの任務こそ魔法の会得である。
とは言え魔法の会得にはかなり難易度が高かったようで一年目は生徒17名のうち、扱えるようになったものは僅かに4名のみであった。
しかもその4名はケリー曰く筋がよく尚且つ魔力に慣れることのできた素質のある生徒であったそう。
そのため魔法の扱いが得意では無くても魔法を扱えるようになる補助具の開発が急務となった。
そんな時、その後の日本に大きく関わってくる大きなモノが発見された、、、
次回、第二話 魔石と魔製鉄、そして転用
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