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隠し金庫

 侵入した部屋はホラーゲームの廃墟のような部屋だった。ボロボロになったソファと、本棚に今にも崩壊しそうな数冊の本がある。机も光沢が失われ、触れたらささくれが刺さりそうだ。

 大体のゲームにおいて、重要な情報があるのは一番上の階か地下だと思う。ゲームの主人公はこんな不法侵入しないで一階から探索するだろう。そしてRPGらしく戦闘して、最後に到着するところで秘密を発見する。王道だ。


 私はなるべく楽したいので、ショートカットさせていただく。


 でも私は主人公ではないので、この階どころかこの建物に人攫いの情報があるとは限らない。

 さらっと調べて無理そうなら撤退しようと思う。無理は禁物だ。こっちは一人だし、私まで捕まったらモブ君にも迷惑がかかる。

 そんな事を考えながら、とりあえず侵入した部屋を物色する。

 机には何もなし。本棚の本も、数年触っていなさそうな埃に覆われていて、中の文字も滲んでいる。


 アイリスなら、すぐ見つけられるんだろうなぁ。


 そう思いながら、本棚から離れようとした時、妹の言葉を思いだした。


『棚に扉や金庫が隠されているのは王道だよ。ゲームでも小説でも漫画でも、あるあるなんだから』


 『恋革』とは関係ない、別のゲームで詰まった時に言われた言葉だ。

 私は『恋革』のゲーム内容をあまり知らないけど、これも『ゲーム』というなら同じかも知れない。


『その棚だけ埃をかぶってなかったり、奥行きがおかしかったり、パターンは色々あるよ』


 妹の言っていた通りに、一箇所だけ埃をかぶっていない棚がある。

 その棚の中には何もない。

 しかし棚の奥、壁と接しているはずの板に僅かに指を引っかける隙間がある。

 何かしらの魔法がかかっていないか確認してから、その隙間に手を伸ばして奥の板を引っ張る。


 そこにはダイヤル式の隠し金庫があった。


 これだけは廃墟とかした部屋の中で異様に綺麗で、いかにも何か重要な物が入ってます、と言わんばかりだ。

 ただ、ダイヤルの回す順番がわからない。

 こういう時、再び探索して答えを見つけてくるのが正解なんだろう。


 だが、そんな時間はないので再びショートカットさせていただく。


 再度『身体強化』で聴力を強化する。

 そのままダイヤルの音に集中して左右に回していく。そして微かな音の違いを頼りに反対方向へダイヤルを回す。

 途中で周りの音を警戒するのも忘れない。下の人がいつ上がってくるか、わからないからね。

 そうして集中する事、30秒弱。

 金庫は無事開いた。


 これも院長から『金庫の開き方を忘れた時に便利だよ』って言って教わったけど、確実に『王の影』で使う技な気がする。

 ジェードの件もあるし、ひょっとしたら私を『王の影』にしたかったのかもしれない。


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