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行方不明

「実は最近、孤児院の子がいなくなっちゃったんだ。少し時間が経ってるから無駄足かもしれないけど、近場を探しに来たところだったの」


 私の話に、モブ君は神妙な顔になる。


「そうだったんだ。さっきの子達に聞いたら、怪しい男達に連れ去られる子どもを見たって言われたんだ」


 モブ君はその怪しげな男達が入った建物の様子を見に行くと言うので、一緒につれて行ってもらう事にした。

 勿論、私がついて行く事に反対されたけど、私も人探しの途中で気になるからと、無理を言って勝手について行こうとした。

 最終的にモブ君は諦めて折れてくれた。


 すまない。今度何か奢るから。


 連れられて行ったのは複雑に入り組んだ路地の先にある、3階建の建物だ。ボロボロで今にもお化けが出て来そうな出立だ。人が住んでいるようには思えない。


「あの子達が言うには、同じような身なりの子が無理矢理連れ込まれる所を見たって事だったんだけど......」


 モブ君は少し考えこむ。


「中に人がいたとしても、子どもの戯言だとしらばっくれたらお終いだし、誰もいないと思って無理矢理入って何かあったらグレイ隊長に迷惑になる。とりあえずグレイ隊長に相談してみるよ」

「相談して聞いてもらえるの?」


 グレイ隊長は確かに優しいけど、こういう事例で動いてくれるのだろうか。

 あくまでモブ君一人の調査で、あるのも子どもの証言。

 子どもの行方不明だって、別件が重なってるだけかもしれない。この世界、貧乏で子どもを自分から捨てたのに『いなくなった』って言う親もいるから。


「聞いてもらえるとは思うけど、大々的に動いてはくれないと思う。精々協力してくれる人達で交代して見張るくらいかな。それで動きがあるかわからないし、こっちの動きに気づかれたら拠点を移動されそうだな......」


 モブ君の言う通り、今にも崩れそうな建物から別の建物に移るくらい訳なさそうだな。組織的な何かだったら尚更だ。

 しかし本当に子どもが何人も行方不明になってるのなら、事件にもならないの怖いな。

 私も魔法が使えなかったら、同じようになっていた可能性が高い。

 前世でも思春期の子どもがいなくなってもただの家出で処理されて、後で事件に巻き込まれてた事がわかる事もある。結局、実害とか証拠がないと警察は中々動かないものだ。

 モブ君みたいに気にしてくれる人もいるけど、この世界だと余計に少ないのかもしれない。


「これがゲームだったら、私達が見てる間に都合の良く犯人の動きがあったりするんだけどなぁ」


 思わず呟いた言葉に、モブ君が苦笑する。


「現実はそう上手くいかないよ。行方不明者も高頻度で出てるわけじゃないし、証拠がなければ無理矢理家宅捜査なんて出来ないよ」

「証拠......。つまり証拠があればいいの?」



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