フラグ回避は全力で
食事会の後、ドレスを脱いだらさっさと帰ろうと思っていたのに、なぜか使用人さんたちに捕まった。
ドレスを破いたか汚したのかと戦々恐々としていたが違った。
ドレスを返すついでに化粧落としまでされた。ついでにスキンケアからボディケアまで入念にしてもらった。
貴族ってこれがデフォルトなの? 何回でも言うけど、私には無理だわ。
そんな事までしてもらっていると当然時間は経過するわけで、結局夜も遅くなってしまったので泊まることになった。むしろ化粧を落とされた時点で泊まって行けという圧を感じた。
案内されたのは客室というには広すぎる一室だった。
ベッドはふかふかのキングサイズ。枕も丁度いい弾力で寝がえりが打ちやすい。
でも高級感がありすぎて眠れない。こういう時、貧乏性は損だなって思う。
ついでに夕食で食べた高級食材たちがお腹の中に留まり続けている。慣れないものを食べたせいで胃が消化しきれていないに違いない。
暫くベッドで目を瞑ってゴロゴロしていたが、あまりにも眠れないので夜の散歩に出かけることにした。
散歩と言っても屋敷内だ。
勝手に出歩いたらいけないとは言われていないので、ベッドから抜け出して部屋から出る。
広い屋敷の中で迷ったら迷惑になるので、同じ階だけ歩くことにする。
歩きながら考えてしまうのは『真実の水鏡』に映った妹の映像についてだ。
過去に妹とあんな会話をしただろうか。私にはまったく記憶にない。覚えていないだけかもしれないが、フラグが立つ音が聞こえた気がしたのは気のせいではないだろう。
あれは水鏡を通した予言かもしれない。
今まで通りに過ごすと、また巻き込まれる気がするので対策を立てなくては。
そこで改めて『恋革』のゲーム内容を思い出してみることにした。
『恋革』は基本ルートが3ルートあった。
ロータス。フラックス。そしてフォーサイシアだ。
そこから隠しルートのジェードや帝国の皇子ルートがあったりするんだけど、それは割愛。
今、重要なのはフォーサイシアだ。
フォーサイシアは妹の言った通り、教皇の息子だ。
この世界で広く信仰されている『虹の女神』を中心とした教会の関係者である。
確か彼のルートも教会関係で色々問題が発生してたはずだ。
そうなると、まず教会に近づかない。教会関係者にも近づかない。
これに限る。