表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/372

氷のステージ

 扉が凍り付いたのと同時に、床にも氷が形成されていく。

 確かこのルートボス戦、ステージ全体に鈍足付与効果があった。装備か耐性がないと、とてつもなくめんどくさい。

 なるほど、氷で足を取られて上手く進めない事のゲーム上の表現だったのか。知りたくなかった。


「シールド!」


 フラックスが魔法を発動してくれたおかげで、私たちの周りだけ足元に氷が生えてこない。

 しかしそれも本当に二人分の足元だけだ。恐らくルートボスのアネモネに視認されて、攻撃されたら初期レベルのシールドなんて一発で割れる。

 アネモネはまだゆっくりと階段を下りている最中だ。ゲームのムービーからして、階段を下りきったら戦闘が始まるはず。ゲームとは場所が違うけど、氷の演出は同じなんだから戦闘開始も同じだと信じたい。

 いまのうちに聞きたいことをフラックスに聞いておこう。


「ブルーアシード様のお母様って、いつもこうやって歩き回ってるんですか?」

「そんなわけないだろう。母上はいつも、この屋敷にある部屋で夢うつつの状態なんだ。部屋から出ることはおろか、ベッドから離れる事の方が稀だぞ」


 完全に不測の事態じゃないか。歩き回る事が多々あるなら、対抗策くらい屋敷に用意されてるんじゃないかと思ったんだけど無理だな。


 それならやはり倒すしかないのか。


 ゲームでのアネモネは戦闘中、絶えず氷を飛ばしてくるのでスリップダメージが地味に辛い。遠距離攻撃でちまちま削るか、ダメージ覚悟で近距離で挑むかだ。彼女は魔法耐性が高いから、魔法で遠距離から攻撃してもダメージを全然食らわないから近距離で殴った方が早いんだよね。


 そうなるとやはり殴るか。


 今、ムービー中でしょ? ム―ビー中は彼女から氷が飛んでこないし、今実際に彼女から氷が飛んできているわけではない。周囲が勝手に凍っているだけだ。

 ならばムービー中に殴ればいい。ヒーローだって変身途中で攻撃すればただの人だ。

 相手は貴族の奥様だし、本来なら一発殴って気絶させるのは容易いだろう。ただ本人が発狂しているせいで、自分の限界を無視して魔力を放出して魔力耐性や身体能力が向上している。

 彼女が戦闘が不慣れなのを考慮しても、死角から一撃で決めないとこちらが死ぬ。


「ブルーアシード様。申し訳ありませんが、お母様を気絶させて止めます。あんな無茶な魔力放出してたらお母様の命に関わりますし、私たちも危険です」

「……どうするつもりだ? 解決できるプランがあって言ってるんだろうな」


 私の言い方を真似して皮肉るフラックスに思わず笑ってしまう。


「死角から不意をついて気絶させます。気づかれてない今しか出来ませんけど、なんとかやってみせます」


 昔、院長から教わった水面を渡る方法―――あれを使えばいけるはずだ。


『いいかい、サクラ。水面なんて妖精の加護がなくても渡れるんだよ。身体強化して足が水に沈む前に水面を蹴ればいいだけだから!』

『なるほど、わかりました!』


 というわけで出来るようになった。

 ちなみに壁や天井を走るのもこれの応用である。

 氷だって足を取られる前に次の一歩を踏み出せば行ける。周りが凍っていようがなんだろうが、隙だらけの相手に一発入れられるくらいは院長から鍛えられてるんだからな!


たとえ魔法があっても普通はそんな方法で普通は水面を渡れません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ